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序章 取り憑かれました

前作にて、目標を越えて1100pvを達成できました!

これも、皆さんのおかげです!

これを教訓に、より邁進していく所存です!


ログイン出来る方は評価と、ご感想、ブクマを宜しくお願い致します!

そうでない方は、名前だけでも覚えて言ってください!

それでは、楽しんでいって下さい!

ネテミでした(^_^)/~

「高城 みやびのスマートフォンには、君宛のラインが残っていた‥‥‥。それがどうやら、彼女の最期のメッセージらしい。―――本当に、心当たりはないのかね?」


壮年の刑事が、けだるげに質問してくる。

薄暗く、狭い、取り調べ室の中央に、机が一つ。そこをスポットライトが煌々と照らしている。

取調室。初めてこんな場所に来たが、どうにも落ち着かない。

何もしてなくても、悪い事をした気分になる。


刑事さんは、ひび割れたスマートフォンを取り出し、ライン画面を見せてくる。

それは、やっぱり高城先輩のスマートフォンだった。文面は……。


『やっぱり私、楽くんには享楽に生きて欲しいな(´・ω・`)』


この場に不釣り合いな、意味不明な言葉と顔文字が映し出されていた―――。


「そのメッセは俺も見ましたが、俺もわけが分かりません」

「我々も、家族の方や周辺の人に確認したが、まるで分からないんだよ。まあ、我々は今回の事を事故だと考えている。だが、ダイイングメッセージと言う線も無いではないからな‥‥。このラインは―――どうやら事故の直後に送られたものらしいんだよ」

刑事さんはDNA鑑定の結果、ひび割れたスマートフォンの画面から、先輩の血で濡れた指紋が出た事を説明した。


つまり、死の直前、俺なんかに連絡してきたということだった。


そこへ後ろから、正確に言うと背後の上空から不意に話しかけられる。


「そうだぞ、めちゃくちゃ痛かったけど頑張って打ったんだから噛みしめて熟読するんだぞ?」

俺は超小声で反論する。

(そのせいで、俺取り調べられてるんですけど?)

「ちょうどいいではないか。前に、取調室で食べるカツ丼って美味しそうだって言ってただろう。チャンスだ!」

背後ではしゃいでいる存在に、げんなりしつつ、(いいから先輩は黙っていて下さい)と、やっぱり小声で釘をさす。

その様子を、怪訝な様子で眺めていた刑事さんが尋ねる。

「楠木君、どうかしたのかね?後ろが気になるのかい」

「い、いえ、なんでもありません!先輩が亡くなってしまった事が未だに信じられなくて‥‥」

俺は、顔を伏せて悲嘆にくれた演技をする。


「楽君!君はそんなに私の事を思ってくれているのか!寂しくないぞ、高城先輩はここにいるぞ〜( ´∀`)」


背後の存在は、全力でシカトした。

あまりかまってしまうと、真っ白い窓のない部屋に収監されて、灰色の人生を歩みそうだったからだ。

「―――そうだな…彼女は、君の部活の先輩だったんだろう?思うところもあるだろう。彼女は才色兼備で、おしとやか、とても可憐なお嬢さんだと聞き込みをしたみんなが口を揃えていたよ。

色々聞いてしまって済まないな。出前を食べたら帰って、ゆっくりするといい」


刑事さんは、いい具合に勘違いをしてくれて、おもむろに席を外した。

俺の後ろでは例の存在がくねくねと照れまくっていた。


「聞いたか楽君!私めちゃくちゃ褒められてる!やっぱり、私からぁ、滲み出るカリスマ感半端ないわ〜、困るわ〜」

見なくても分かる、殴り飛ばしたい顔をしているに違いなかった。だから、先輩のためにも振り向かず答える。


「…本当の先輩を、一人ひとりに教えて幻滅させてあげたいですよ」

「分かった!本当の先輩を知ってるマウント取りたいんでしょ!楽君、独占欲強いよ?」

「死んだからって世迷い言言いわないで下さい、塩まきますよ」

「やめてくれ〜!?」

叫ぶ先輩をよそに、どうやら到着したらしい出前を受け取る。



そうだ、お気づきだろうが俺、楠木 楽には幽霊が取り付いている―――。

俺の通っている高校の演劇部の先輩で、名前は高城 みやび。三年生だ。


よく手入れされた黒髪を、腰まで下ろし、切れ長の瞳は吸い込まれそうなほど綺麗だ。さらに所作の一つ一つが上品で生徒だけでなく、先生からも一目置かれる存在だ。


しかし先日、先輩を事故が襲った。

部活帰りに一人で歩いているところ、歩道に突っ込んできた自家用車と接触。雨が降るなか息絶えたらしい。


今朝俺は、その連絡を担任から聞き、更に刑事さんが確認したい事があるからと学校を休んでここへ来た。


連絡を受けた当時、俺は慌てて、頭の中が真っ白になった。身近な人間の死が初めてだったのだ。悲しみという感情よりも、段々と鮮明になっていく喪失感と、そんなわけないという非現実感が大きかった。


取り敢えず、詳しい話を聞く為に、自宅を出発しようと玄関の扉を開けるその時―――。


この、浮遊霊が扉の前に浮かんでいた。

玄関開けたら2秒でゴーストである。

俺は、絶叫を上げて腰を抜かした。

目の前の先輩 (浮遊)は、ゲラゲラと、およそおしとやかとはかけ離れた様子で、空中で笑い転げていた。


その後落ち着きを取り戻しつつ、先輩に直接、ことの顛末を聞いた。


そしてどうやら先輩は俺にしか見えないらしく、声も聞こえないということ。小石くらいなら頑張れば持ち上がること、そして俺に取り憑いていることが分かった…。


(最後が問題なんだよなぁ)

盛大にため息を付き、完食した出前の礼をする。最後に、見張りの書紀のような方に挨拶してその場をあとにした。


外へ出ると、お昼ののどかな世界が広がっている。

みんな、幽霊とは無関係に暮らしているんだろうなぁ。

後ろから、先輩の声が聞こえる。

「らっくん、なんでさっきの出前親子丼じゃなくて、カツ丼にしなかったの?私感想楽しみにしてたのに〜」

「そんな事は、どうでもいいんですよ!いいでしょ好きなんですよ親子丼!そうじゃなくて、なんで俺なんですか?何か恨みでもあるんですか!」


周りに人がいない事を確認すると、溜め込んでいたことを吐き出した。


「恨みなんてあるわけ無いだろう。私は未練を解消するために、君に会いに来たのだ!死の間際、君に送ったメッセージが私と君を繋いでくれたのだろうな。何と、ロマンチックなんだ‼どうだ、嬉しいだろ?」

「嬉しいかどうかはともかく、その未練とあのメッセージになんの関係があるんですか?」

ここで、ようやく当然の疑問を、投げかける事が出来た。

゛私は享楽に生きたい゛と言っていたのは、先輩だったはず。なのに、どうして―――。


「そう、私は享楽に生きていたかった。でも、それも叶わず死んでしまった。だから、せめてらっくんに、私の分まで享楽に生きて欲しかったんだ。‥‥‥そんな、らっくんを見たかったから――――つい呪っちゃった(笑)」


「呪っちゃった(笑)、じゃないですよ!え、俺今呪われてるんですか?死んだあとでも迷惑な先輩ですね」

まるで、今晩の夕飯カレーだからみたいな軽さで、受け入れがたい事実を突きつけられる。辟易する俺をよそに、なんだか先輩が楽しそうなのが腹が立つ。

「嬉しいだろ?こんな、美人な先輩がこれから、いつでも一緒なんだぞ」

「いや、美人も3日で飽きるんですよ、それに今更先輩を見てもなんとも思いませんよ」

「なんで、そんな酷いことを言うんだ?(泣)そんなこと言うと、らっくんを祟るぞ」

先輩は怪しく指を動かして、祟るジェスチャーをしている。気味が悪い!

「やめて下さいよ、今の先輩がやると冗談で済みませんから!」

心なしか、精気が吸い取られている気がするし。


「とにかく、らっくんが私の未練を解消してくれるまで、私は離れんからな。覚悟しておけ」

「勘弁してくださいって〜〜!」


警察署前で絶叫はこだました。こんな、大きな声を出したのは、ずいぶん久しぶりだった。

どうすればこの悪霊を退散できるか。それこそが、今考えるべき最重要事項だった―――。


これは、楠木楽が、高城雅の願いを叶える為に奔走させられる、心霊享楽コメディである!!


ここまで、読んでいただきありがとうございました(^^)


感無量です!

次のお話でまた、お待ちしております!

絶対来てね(๑•̀ㅂ•́)و✧

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