第6話~ハッピーエンドの流れ的なアレ~
俺の名前は夜凪彩。どこにでもいる男子高校生だ。別にどこか優れているわけでもなれけば、劣っている訳でもない。そんな高校2年生だ。
そんな俺はある日とある事情である一部の記憶を忘れていた。
何を忘れていたかと言うと、これを思い出させてくれた女の子"縁川凜"との思い出だ。
1つは俺がその子と1度あったことがあるということ。そして2つはその事そこでした会話、、、最後に俺はあの子のことが好きだったということ。
「お兄ちゃん!」隣から俺を呼ぶ声が聞こえた。
いつもの如く、妹が来たのだろうと思い目を開けた。すると、そこに妹の姿……ではなく、凜がいた。
「お兄ちゃん!朝だよ〜〜!ご飯出来てるよ〜、早く来ないと無くなっちゃうからね〜!」
目の前にいたのは妹、、ではなく、凜だった。
「凜!!??どうしてここに?」
凜は、寝ぼけたこと言わないのと微笑した。
「何言ってんの笑、昨日言ったじゃん。今日からここに住むって、先に言ったのはお兄ちゃんだよ?」
「そうだっけ?」
「もう、寝ぼけないでよー...ふふっ、下で待ってるから」
そう言って凜は下に降りていった。彩は昨日のことを思い返していた。
「凜、君があの時の女の子なの?」
彩は凜にそう言った。
凜はちょっぴり恥ずかしげに「...うん」と言った。
「ははっ。ははは、どうして忘れてたんだろう。こんな大切なこと」
「うん、でも、こうして思い出してくれた。それだけで私は十分満足だよ」
彩は凜の一人称が変わっていることに気がついた。
「凜、お前今自分のこと、'私'って」
「ふふ、私ね。いつも私って言ってるよ?一昨日と昨日だけ特別なの」
「特別?」
凜は悪戯に言った。
「そうだよ。と・く・べ・つだよ」
なんの特別か知らないが、そんなこと彩にはどうでもよかった、それよりも大事なことがあるからだ。
「てことはさ、この丘での話って事実ってことだよな」
彩はかつて自分の凜が両思いだったのか、すごく気になっていた。
「本当だよ。この丘の上でキスをすれば恋人になれるってのも、その、私たちが両思いだったってことも///」
凜は照れながらも、嬉しそうに話していた。そして、自分の胸の内に秘めていた言葉を口に出した。
「彩くん、小さい頃からずっと貴方の事が好きでした。私と付き合ってください!!」
そう告げた凜は真っ赤になり、ドキドキしながら返事を待っていた。しかし、凜の望む答えを彩は返すことが出来なかった。
「ごめん、今の俺には君に良い返事を返すことは出来ない。たとえ、昔俺たちが両思いでもそれは過去のことであって今はその、色々あって妹と付き合ってるんだ。だから、君と付き合うことは出来ない」
彩はきっぱりと断った。
「.........」
凜はただ静かに泣いていた。だが、この衝動を抑えらず遂には号泣した。
彩はその時ただ泣き倒れる凜をただじっと見ていることしか出来なかった。ここで優しくしたら自分はただの偽善者になることを知っていたからだ。それからしばらくして、凜はもう泣きやんでいた。
丘の上で俺たちは、夕焼けを見ていた。
「夕焼けってこんなに綺麗なもんだったっけ」
彩はかつて見た夕焼けに中で1番輝く夕焼けに見えた。
「彩くん、これから私どこにも行く場所がないって前に言ったでしょ?」
「あぁ、確かそんな感じのこと言ってたな」
「だからね、、、お願い!私を彩くんの家に住まわせて!」
「え?」
「大丈夫!お金は払えないけど、家事で賄うから」
いや、俺が聞きたいのはそこじゃない!と心の中で突っ込みつつも、なんやかんやでOKにしてしまう俺もどうかしてるな。
「ああ、分かったよ。でも、学校はどうするんだ?」
「え?」
凜は顔中真っ青にして言った。
「学校どうやって通うんだ?」
「学校?ナニソレオイシイノ...」
どうやら行っていないらしい。何か事情があるにせよこのままでは行けないと思い、彩は凜としっかり話をした。
「凜、学校に行けない理由があるのか?」
「...............から」
「え?」
凜は小声でボソッっと呟いた後、大声で叫んだ。
「めんどくさーーーーーい!!!!!」
「......は?」
はぁ、凜はどうやらかなりの学校嫌いらしい。
「学校嫌いはともかく、カバンや教科書類はどうするんだ?」
「あぁーあれねー。」と流しながら、凜は大変なことを口走った。
「家にあるから、帰り道に取って帰るね」
ん?聞き間違えだろうか?今家にあるって言ったよな。
「なぁ凜、」彩は狂気に満ちた顔でこう言った。
「家があるならなんでそっちに帰らないんだあああああああああぁぁぁ!!!!」
「あ、しまった」と慌てる凜は焦っていた。その様子を見ながら彩は苦笑した。
「全く、、、でも、俺もお前とはもっと仲良くしたいしな」
それを聞いた凜は、目を丸くした。
「ほんとに?やったああ!!!ありがとう!彩くん」
彩は少し照れくさそうにした。
「ほら、もうすぐ日が落ちる。暗くなる前に帰るぞ。」
「うん!」
「確かに、俺、言ったな」