第2話~謎の少女との出会い的なアレ~
妹と一緒に家を出た俺たちは駅へと向かった。駅まではそう遠くない。少し歩けばすぐくらいの距離だ。時間にして3分かからんくらい。
だから、出掛けるのが嫌いな俺でも気軽に出掛ける気がでる。
だが、最近その時間すらも長く感じてしまうまでになってしまった。
「...........................」
「...........................」
「...........................」
俺たちは基本会話をしない方だが、会話がないと3分とはいえかなり長く感じるだろう。
俺は適当に話題を振ってみた。
「なぁ、最近学校で何かあったか?」
「..........なにも」
「そうか......」
「..........................」
「..........そうか」
「え?何で2回言ったの?」
「え?いやー、会話を繋げようと」
「そんなんで会話繋げられるわけないでしょ」
「俺にとって会話ってのは、ほかのなにより難しいんだよ..........ほら、そんな事言ってるうちにもう着いたぞ。」
「今日は人多いね〜お兄ちゃん」
いつの間にか、駅前に来ていた。日曜だからか、今日はいつもより人が多かった。周辺にあるあちらこちらの店がほとんど満員のようだ。こりゃ昼飯苦労しそうだな。
「よし、本屋行くぞ?」「.....」
あれ?妹がいない?まさか、この人混みのせいでどこかにはぐれてしまったのか。くそっ!どうしてこんな時に限って携帯を家に置いてきたんだよ俺は!!
「とにかく、早く探さないと...!」
だめだ。見当たらない。駅周辺はほとんど探したが気配すらしない。あと残すところといえば...。
そこは駅のすぐ横の路地裏だった。人気がなく、この地域は不審者がよく出やすい。だから、ここに足を踏み込む人はいないだろう。だがこの時、彩は嫌な予感がしていた。
恐る恐る足をすすませていると、奥から女の子の声が聞こえてきた。
「うぅぅうっううぅ」
恐る恐る近づいてみると、
「うぅぅう。おかあさあん、ううっ うっうっ」
そこには小学生?いや中学生?くらいの少女が蹲って泣いていた。
少女はろくな服装をしていなかった。子供用の服を着てはいるが所々に穴が開いており、とても着れたものじゃない。それに靴を履いていない。どうしてこんなところにいるのかは分からないが、取り敢えず声をかけてみることにした。
「どうしたの?君のお母さんどこにいるの?」
「うっうっううう、、、」
「君、名前は?」
「縁川凜」
「凜ちゃんって言うんだね。お母さんは?」
「お母さん、事故で死んじゃった。お父さんは最初から居なくて、だから、私の事知ってる人もう誰も居ない。」
俺は驚いた。
両親がいない?そんな事がありえるのか。確かにそういう家庭もあるだろうが他の遺族の人が居るだろうに、どうしてこんな幼い子供が。
「!!」
ちがう。今はそれよりもしなきゃいけないことがある。俺は妹を探していたんだ。のんびりする時間はない。急いで探さないと!
「どうしたの?」
「俺の妹が迷子なんだ。早く探さないと行けない。でも、君を野放しにしておくのはあまりに危険すぎる。」
「私も.............がす」
「え?」
「私も一緒に探す!!」
「探すって言っても君は」
「お願い!一緒に連れてって!ずっとここにいるのはいやだよ。ここ、すごく寒いし、足も痛い。それに......誰も頼れる人がいないから」
今にも泣きそうな目でこちらこを見つめてきた。
それもそうだ。こんな幼い少女がこんな路地裏でずっと一人ぼっちなんて。俺だったら耐えられない。
凛をここにおいていく訳にはいかない。だが、このまま外を出歩け状態訳でもない。
どうにかしなければ。俺は少し考えていると、一ついい案が思い浮かんだ。
「そうだ。おにいちゃんの服着てもらってもいいかな?」
思えば簡単じゃないか、服なんて隠してしまえばいい。
「うん」
凛は素直に俺のパーカーを着た。
俺はそのまま凜を抱っこしながら路地裏を出た。
「さて、最初はどうするか」
警察か、それとも妹探しか。本来は警察が先なのだろうが、俺は妹が心配なので妹を探すことを優先した。