七、第1パーティメンバー!
「あ、相部屋でいいので部屋一つで良いです!」
どうしてこうなった。何故こいつは平然と俺と同じ部屋で寝るつもりなんだ?
「いやいや、ダメだろやっぱり別部屋に――」
「相部屋の方が安く済むじゃないですか。それに、私はイチさんの秘密を――」
「あああ分かったそれでいいよ!」
汚ねぇこいつ! きったねぇ!
「はいはい、相部屋ねー」
あんまり騒ぐと隣の部屋に聴こえちゃうから、と宿屋のおばさんから見当違いの釘を刺される。
あのおばさんめ! 俺がこーんな貧相な体したガキに発情するとでも思ったのかぁ?
……こいつ、黙ってれば顔は割と良いな。清楚系っぽい。腹黒いけど。いやある意味見た目通りかもな。
なんでこいつは……
「……お前はなんで、俺と相部屋でいいなんて言ったんだ」
離れた距離にあるベッドからベッドへ声をかける。
ほぼ向かい合ってるのですぐにフィアと目が合う。
「だって、全部のステータスが1だなんて、嘘でも言えないですよ」
「だから信頼できると思ったんです」
馬鹿にしてるんだかしてないんだか……
昼間の時とかさっきだって散々煽ってくれたのに調子狂うな……
「それに、私が易々と勇者のあなたを見逃すと思ってるんですか?」
はぁ……?
はっ! まさかこいつ!
「俺に何を要求すんだよ。言っとくけど俺は勇者と言っても何にもできないぞ?」
「そうですね。スライムに対しても中々のビビりっぷりでクエストでも最初の一匹くらいしか倒してませんでしたね!」
「ですがあなたのステータスが全部1だとか、戦闘スキルは皆無なこととか、そんなことは関係ありませんよ!」
あーやばい。面倒なことになってきた気がする。面倒くさい要求をされる!
「率直に! 私の夫となってください!」
「嫌だ! なんでだよ!」
「良いじゃないですかどうせ勇者なんて肩書き持ってたらハーレムですよハーレム! それならいっそ私で、私だけで我慢してもらえば私だけ勝ち戦で大出世できるじゃないですか!」
「欲望ダダ漏れじゃねぇか! 余計嫌ぅぉおこっち来んなお前!」
「もうこうなったら既成事実作りですよそれで無理やり証拠を作れば――」
「馬鹿野郎そんな軽々しく自分の身体なんか売るな!!」
ドン!!
「うるせぇぞさっきから!!」
間髪入れずに壁ドンされた……勢いでなんか上手く語る感じのところを一気に冷めさせられて気まずい空気になっちまった。宿屋のおばさんも壁は薄いとか言ってたけどさ……
「いや、その、だからさ……そんな風に迫られたって俺は嬉しくねぇし、俺は女の子にそんな手段を取ってほしくない。第一、権力なんかのために身体を売らないでくれ」
俺のただのエゴでしかないんだけどさ。身勝手だけど、清く生きていて欲しいんだ。
そんな俺が汚く生きていくしかないんだけどまぁ、これがエゴだな。
肩を掴んでフィアを引き離す。フィアはベッドから降りて立ったまま話を続けた。
「……分かりました。それじゃあ正道に攻略させていただきますよ」
おい攻略とか言うな。
「イチさん、正式にあなたのパーティメンバーに入れてください。第一メンバーとして!」
そう言って手を差し出すフィア。ぶっちゃけこいつが使える魔法なんて一種類しかないし、煽ってくるし、頼りないし。俺はさっさと安全な所に行きたいってのにこいつは勇者の俺を信頼している。
「短い付き合いにしかならないと思うぞ」
「構いません!」
「……ついていけそうになかったら置いていくことになるぞ」
「覚悟はできてますよ」
仕方ねぇな。
はぁ、俺って自分で思っている以上にあまちゃんなんだなぁ。
「良いぜ! これからもよろしくな! フィア!」
「はい!」
そうして彼女の手を強く握った。




