四十五、1々遅くする面倒くさいカラス!
依然として俺を見つめ続けるカラスたち。
落ち着いてる様子の俺を見て何匹かは不思議そうにしている。中にはあくびらしき動きをしている奴もいるが。
もう少ししたらフィアが来るはずだ。フィアがあの魔法の攻撃を受けたら危険だ。悪趣味な技だぜほんと。
足元に落ちている手頃な石を拾う。あえてこの動作はゆっくりと行う。どうせカラス達は俺を見ているからな。
それからいきなり投げる!
「グェ!?」
「グァー! ガー!」
「ガー!?」
一斉に鳴き始めるカラス達。
一体命中! 二体には当たらなかったから一石二鳥とはならなかったか。
反撃してくると見るやいなや一斉に襲いかかってくるカラス達。
石だと攻撃しにくいのでナイフに切り替えて牽制する。突っ込んでくるように近づいてくるカラスに向かってナイフを振り回して近づけないようにする。誤って殺っちまったら精神的にキツい。もう既に石をクリーンヒットさせちまったが。
「《スロー》!」
またかよ!
これやられるとタイミングがワンテンポもツーテンポも遅れるからやりづらいだよ!
まどろっこしいな! 早く動けぇ!
「生憎もう効かねぇんだよ!」
つけてない隙をついてくるカラスに蹴りを入れる。靴越しに生々しい感触。素手とか蹴りとか動物っぽいやつにはやめようかな……
ダメだキリがない!
ポケットに入れたネックレスがあるかちゃんと確認してから今度はカラス達に思い切り背を向け走り出す。
「ガーガー! 《スロー》!」
おぅわ!? またかよもう! しつこいぞ!
遅くなった状態で、走り出す直前に拾った小石を振り向きながらぶん投げる。当たるかどうかはともかく、錯乱させるために投げるのだ。
ジャンプしながら振り向き小石を投げて目の前を向きもう一度走り出す。一連の動作中全て遅いままなので逆にずっと狙い続けられてやりやすかった。
そういう利用法もあるって事だな。こいつらは相手を混乱させるために使っているみたいだが。
もうこの遅い状態に用はない。
早く動け!
「グァ!?」
良し! 効果あり!
群れ相手は分が悪い……逃げ一択だ。
「〈ファイアウォール〉!」
!!
フィア! ナイス!
カラス達も火で作られた壁には怯んで留まり、俺が迎撃の態勢をとるとカラス達はようやく諦め逃げていった。
「さっきはありがとな」
「そ、それほどでもないです! ……イ、イチさんがヘマして群れに襲われていたので仕方なく! 仕方なく手を貸しただけです!」
そういえばこいつこういう奴だったな……
いつまでそんな態度をとってるんだか。
「ほら、探してたネックレス。あったぞ」
「あ、ありがとうございます! 今度は無くさないようにします!」
あー疲れた。気がつけば夕日が見えてやがる。
あのカラスたちの顔は当分見たくねぇな。
「きゃあっ」
え?
バサッと翼を羽ばたかせ去っていく一羽のカラス。
おっと……?
「あれ……あれ!?」
「おい? おいおいおいおい?」
「あの……今ネックレス……盗られました……」
「お前何やってんだよ……!」
ネックレス……回収するために……取り返すために……今日結構頑張ってたのに……
「何やってんだお前ええ!」
一度上がった好感度が下がりました!




