四十二、1度も見たことないくらい綺麗な花畑!
作戦はこう。
まずフィアがワープの紙に「昨日ジェーンと花を摘んだ場所」と書き込んで使う。
その後周りを見渡して俺をすぐ見つけられるようならそれでよし。そうじゃなかったら頭上に魔法〈ファイア〉を唱える等で俺が辿り着くまで合図を送り続ける。
多少見晴らしがきく場所に移動してから予定通りフィアがワープする。
数分待ってもフィアから何も無ければ近くではないということは確かだ。
案外近くにあったりして。
遠くの空中に炎の爆発が起きる。
フィアだ。進行方向は……げ。戻るじゃねぇか。ワープの紙を渡しておいて正解だったな……
この辺か……?
空中で爆発が起きても、爆発を起こすためのフィアのファイアの軌道がよく見えなくて距離感が分かりにくい。
「あ、イチさーん!」
「お、フィアー!」
ちょっと高台になっている所にフィアが立っていた。
「イチさーん! ネックレスもありましたー!」
嬉々として上げられたその手の先には確かにネックレスが握られていた。
落としそうで怖いな……
「そっち行くからちょっと待ってろー! 間違ってもネックレスを落とすなよー!」
「はーい!」
ったく。元気は良いんだからなぁ。
人前じゃ人一倍静かだけど。あの人見知りは直さないとこの先冒険者を続けるのは厳しいんじゃないか?
「よいしょっ……と」
意外と回り道だったし登るのも段差が結構あって大変だった。
登りきるとそこには様々な種類の花が混ざって咲いていて、地上にできた虹のような花畑だった。
「綺麗だな……」
「ジェーンさんが教えてくれました! サイゾー山には素材を採取しに何度か行ったことがあって、こういう穴場もあるようです」
へー。なるほど。
サイゾー山は様々な環境ができやすい場所らしく、そのおかげで他の森や山とは比べ物にならないほど色んな種類の素材が採れるらしい。木の実や動物、岩石だとか魚だとかな。だからこそ素材を採取に向かいやすい頂上にゴウチ村がある、と前にジェーンからゴウチ村について教えてくれていた時に言っていた。
「ガー! 《スロー》!」
うお!? 何だ!?
「イィチィさぁーんー」
!?
なんかフィアがゆっくりになってる!?
必死な顔っぽい気がする……いやよく分からないな。
あのカラス……もしかしてこっちに向かってきてるんじゃあ……
「ガァー!!」
おいおいおい! こっちに来てるぞ!
でもなんか随分とゆっくりじゃ……!
あれ……首が回らない……?
手も足も……まるで夢の中みたいだ……
カラスを目で追うのがやっとだ。
フィアがカラスに驚いて防御しようとする。
だけどカラスはフィアの手元のネックレスを奪っていく。
そこでカラスは視界の端から消えていった。
現在上手く体を動かせないでいる俺の体勢は、
恐らくコケている感じだというのはわかる。
空中に居るっぽいからな。
地面に触れている感覚がない。
ちくしょう……たまの休みだと思ったらこれだ……
早く動け俺の体!!




