四十、1段落置いて休暇!
あの後順調に三体目四体目と、最終的に七体目まで倒していき、シャーレさんがホクホク顔になりつつ村へ戻った。
今は目的の薬を調合してくれるので、それを待っているところだ。
とは言っても、完成するには三日ほどかかるらしいので、村で暇をつぶしてなきゃならない。ある意味、この世界に来てからちゃんとした休みは初めてかもな。
「あのー。冷やかしなら出ていってほしいんですが」
薬屋のバイト……もとい訳あり少女。シャーレさんが調合に集中している間、店番をしても良いことになったらしい。住み込みがOKされたかは分からんが。
「良いだろ。フィアとジェーンは二人で遊びに行っちまったんだから」
薬屋の一角にある椅子に腰掛けたまま返答する。
薬が完成する前に旅の続きを進めるつもりのない俺らはせっかくだから三人で遊ぼうぜーと誘ったのだが……フィアの強い反対によって何故か俺だけ省かれてしまった。おかしい。俺が遊ぼうと提案したのだが。
「だからウチに来たんですか……生憎こちらに来ても何もありませんよ」
「君結構命の恩人への対応が雑じゃない?」
「命の恩人でもお客様ですから」
くっ……何も言い返せない。
ため息をついてようやく立ち上がる。
無理言ってフィア達の遊びに参加させてもらおう。一人はやる事がなさすぎる。スマホとかゲームも漫画もないし。あったとして金無いから買えないし!
一人ジャンケンとか一人しりとりとか始める前に行くべきだ!
店番少女に軽く挨拶を交わして薬屋を出る。
そこでばったりと二人に遭遇した。噂をすればなんとやらだな。
「ん」
こちらに気がつくと少しの戸惑いの後フィアがぶっきらぼうに何かを手渡す。
何だこれ? 二輪の花?
「えっと、村外れに咲いていた花を摘んできたんです。ついでに私とフィアによる呪文がそれぞれ施されていて……私たちに何かあれば反応すると思います」
赤色と黄色で別々の花。多分赤色がフィアで、黄色いのがジェーンのだ。
ジェーンの方は完全には咲いていないまだ緑がかっている蕾だ。このシルエットは……前の世界だとチューリップに近いような……? 花に詳しいわけではないから違うかもしれん。第一、蕾だし。
フィアだと思う方は分かるぞ。これはコスモスだな? コスモスに近い花とかだったとしたら判別できん。というか元の世界で見た花に似ているというだけで、その花じゃないしな。
「……ありがとう」
二人で俺を突き放していたのかと思ったけど、花なんて摘みに行っていたんだな。年頃の女の子らしい。
「可愛いらしい花でしょう? 私の花は蕾ですけど、そのおかげでまだ私の緑髪に似ていますよ」
「あ、やっぱりこっちの花はジェーンのなのか」
「私の花の方が私に似ていて可愛い……でしょ!」
「はは、何照れてんだお前」
照れてないと照れ隠しをして突進するフィアの頭を抑えながら、つい顔が綻ぶ。
こんな風に過ごすんだったら、退屈しないかな。




