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四、1番最初の冒険!

 十分ほど歩いた所に洞窟があるってのもどうかなー……

 城下町もまだくっきり見える距離だし。はじめてのおつかい感が……

 でもこの距離で薬草採って帰るだけなら依頼する必要もなさそうだが……このクエスト大丈夫かな?


「ヤクソーライムの洞窟……ここか」


 名前からして薬草の洞窟。城下町出た時点で見えてたけど近くで見るとやっぱり洞窟だ。周りに少しだけ草木があって道にちょっと逸れた所にある感じ。中は結構暗そうだけど明かりとかは……


「イチさん。ここにカンテラがありますよ」


「あ、ほんとだ。借りてもOKのカンテラ……とことん初心者向けだなぁおい」


 ありがたく借りてくけど。

 高さや広さはそこそこあるな。背を伸ばしても天井はもう少し高いし、横に二、三人くらい並んで歩いてても支障はないだろう。


「ところでさ、ここって何かあるの?」


「?」

「どうしてですか?」


「いや、クエストとして出されるくらいだからと思って」


「あー、そうですね……スライムがよく出る洞窟で、数が多すぎて駆除もできず、ここ以外にも薬草採取が出来るのですがそちらは遠いからって聞いたことがあります」


 意外とちゃんとした理由があったことはこの際置いておいて、


「スライム?」


 問題はモンスターが出てくることじゃねぇか……!


「はい。スライムです。冒険者の初討伐魔物として名高いスライムです」


「よく出るって」


「スライムの液体を吸って育った植物が薬草になっていますから」


 へ、へー……だからこの洞窟、よく見るとそこら中に水たまりがあんのかー……


「どのくらい進んだら薬草生えてんのかな……」


「さぁ……ただ、安心してください! 先程も言いましたが冒険者の初討伐魔物ランキング一位ですよ!」


 所謂雑魚! です! と付け加えるフィアを無視してカンテラで辺りを照らす。

 いくら雑魚だろうがよく出るってことは囲まれる可能性が大じゃねぇか。囲まれたら雑魚だろうが危険なのは間違いないのはもちろんのこと、物量作戦を前に俺が生き残れる自信がない!


「あ、じゃあフィアはスライム倒したことあるのか?」


「えぇーと……」


 あまりよろしくない反応!


「わ、私、〈ファイア〉しか使えないので」


「いや、遠距離攻撃じゃん。一方的に攻撃できるんじゃ――」


「な、何を言ってるんですかイチさん! 火は水に弱いんですよ!?」


 は?

 はぁ!?

 火は……水に弱い……!

 属性相性とかあんのかよこの世界!!

 あ、じゃあ薬草とかスライムにやられずに残るのは水じゃどうしようもないからとかそんな……?

 うおおい! 相性負け効果強すぎだろぉ! そんな顕著に出るんじゃ火じゃどうしようもないじゃん!


「イチさん! イチさん! 前方にスライムがいますよ!」


「えっうわぁぁマジだ!」


 あああしかもドロッとした見た目のタイプのスライム!

 絶対物理通じないよこんなの!


「逃げるぞフィア!」


「えぇっ!? 逃げるんですか!?」


 この娘っ……! 自分の魔法は効果ないのに……!


「決定打がない! 俺は攻撃力ないし!」


「わ、分かりました!」


 ひいぃぃ溶けて死ぬなんて嫌だぁぁぁ!




「ハァ…………ハァ……っ……ハァ」


 こええええ!

 分かれ道のない真っ直ぐな洞窟でよかった。マッピングとか逃げ帰る時に思い出したわ。次からマッピングしていこう。紙ないけど。


「ハァハァ……な、なんで逃げたんですか!」


「死にたくないからだよぉ!」


「えっ……」


 だって俺、全ステータス1だし。あのスライムも全1でもない限り無理でしょ。むしろ仲間に全部任せるつもりだった俺が頼られたことに対して怒れねぇな……


「し、正直ですね」


 困惑と呆れが見えるぞ。こいつもなかなか素直な奴だな。


「そんなこと言われたって、お前だってなんの援護も出来ないのについてきてるじゃねぇか」


 うっ、と図星をつかれた顔をしている。分かりやすい娘だな。心配になるわ。


「えっと、じゃあお互い様ですね!」


「はい?」


「だって、イチさん私の魔法が効果あると思っていたのでしょう?」


 ギク。


「私もイチさんが格闘家の類だと思っていたので、お互い様です!」


 た、他人任せ二人がお互いに期待してただけなのか……不毛すぎる……


「はぁ……じゃあどうするよ? 帰るか?」


「そ、それは出来ません! 私のプライドが許しません!」


 えぇ〜……命に代えられるものはないんだぞ……

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