三十九、1回やってみたかったんだ!
落ちながら壁を蹴る。
その勢いでさらに身体を捩って一回転しながら足を地面に向ける。
ジェーンをお姫様抱っこのように両手で抱えたまま両足でしっかりと着地。今のは十点の満点だな!
「目、目が……」
「おっと、すまん。ジェーンはフィア達の方へ行ってやってくれ!」
「は、はいぃ……」
グルグル回転しながら落ちたからか少し目を回してふらついていた。ちょっと配慮不足だったな。申し訳ない。
自分ではなんとなく地面までの距離と自分の体の姿勢が分かっていたから酔わなかったな。三半規管とかそういうのも強化されているのだろうか。
「っと。お前の敵は俺だぞ!」
フィア達に近づこうとしていたので駆け足でゴーレムに近づいて正面に立つ。
スイッチでも入ったみたいに今は体が軽い! というかむしろ今まででもやろうと思えば出来たんじゃないかと思う程だ。
それに、こういうでかい敵を相手にする時アニメみたいにやってみたかった事があるんだよ。
「来い!」
ゴーレムの腕が高く振り上がってから……重力と合わさって強烈に落下してくる! それをサッと後ろに躱すと轟音が目の前で鳴り響く。
この構図だ。ゴーレム自体が岩で、腕の横幅も広いし、行けそうだ。
地面から腕を引き抜こうとする前に駆け出す。地面に刺さったままの拳に向かってジャンプ!
とん、とゴーレムの拳に乗る。懐からナイフをしゃっと取り出しながらそのまま駆け上がるようにゴーレムの腕を辿って頭に――――
一撃!!
乾いた金属音が響く。完全に決まった。
ゴーレムが崩れ去る前に飛び降りる。丁度着地した時にゴーレムはガラガラと崩壊し始めた。
よっし!
うはー! やってみたかったんだよアニメでよくある巨人の腕を走って攻撃しに行く奴! 主観で見ると疾走感が半端なかったな! 実際走ってたんだけども!
「す、凄いですね……!」
ジェーンが感嘆の声を上げる。最初の一体目みたく躱してすぐに足とかでも良かったのに、わざとカッコつけて倒したのを褒められるのは正直恥ずかしいな。
「いやあ、不意打ちにも冷静な対処、確実に相手を仕留める技量。素晴らしいです」
不意打ちへの対処は正直出来てなかったし、確実性はかなぐり捨てた戦法だったのに……なんか申し訳が……
「……何カッコつけて戦ってるんですか」
……一人にだけ俺がカッコつけていたことが筒抜けだった。ジト目が痛い! 視線が痛い!
賞賛の視線も今は痛い!
ゴーレムみたいな無機質な敵は罪悪感抱かなくて戦いやすいな。前のレスレスとか炎で苦しむ時の動きと言ったら……生物って感じが。
とりあえずこの姿は動きやすさが段違いってことがよく分かった。元の姿のままだときっと足でまといだし……何とかこの姿を利用する方法はないかシャーレさんに相談してみるか。




