三十三、欲しい薬の素材が1つもない!
「薬屋……あれじゃないですか?」
フィアが指をさした方にそれらしき建物があった。
結構探すのに苦労したぞ……この村の建物の雰囲気ほとんど研究所っぽいからパッと見で分からなかったわ。
とりあえず店っぽいので中をチラッと確認すると、入り口からすぐにカウンターが構えていて、色々な色の液体が入った様々な種類のある瓶が棚に乗っていた。
「間違いなくここですね! 私の成果です!」
とフィアはドヤ顔する。
するのはいいが……
「そろそろお前、もうちょっと離れてくれないか?」
「嫌です」
というのも、大体どの村も訪れてすぐはフィアがくっついて離れてくれないのだ。人見知りを発揮するのはいいが歩きにくいし何より絵面が悪化している。ずっと裾掴んで俺の後ろにいるからな。
フィアと俺だけだと兄妹っぽく見えるが、少女を背負ってジェーンもいるとなるともう怪しくないか……? 裏で変なことしてそうじゃん……男女比おかしいパーティとかそれだけで地雷みたいなものじゃん。って、今は俺も女か。周りから見たら一周回って普通だな。
「ふふふ。お二人共仲良しなんですね」
「仲良しじゃねぇわ!」
そのやり取りを見ていたジェーンが勝手に微笑む。
「……私は別に仲良しと思われても構いませんが」
こいつ……そういえばそういう奴だった。まだ狙ってんのか……?
逆に女の姿でいた方が貞操的に安全だったりして……
「いらっしゃい」
知的そうな青年がカウンター越しに出迎える。
「すみません、『魔法のクスリ』っていうのが売ってると聞いたのですが」
「あ、すみません。私も『イセンテンカ薬』が欲しくて……」
ん? ジェーンがゴウチ村に来たがってた理由って薬か?
この村は調合とかが得意って聞いたし、まぁそうか。
「ん……はい。すみません、実は両方とも現在薬の素材が採れなくて置いてないんですよ」
「えっ」
「え?」
ジェーンとハモる。思わず顔を見合わせる。
マジか……素材がないのか……
「ですが、その素材はこの山、サイゾー山で採れます」
「噴火口でね」
ふ、噴火口……!? 希少さが故に危ない所にあるやつじゃん〜……
「ジェーン、どうする?」
「私は……私は、行きたいです」
ジェーンの顔をじっと見る。真剣な眼差しだ。きっと本当に欲しいものなんだろう。
「良し、行こう。行きます!」
あんな顔されちゃ行くしかないな。
そうじゃなくても俺も行きたいし。
「分かりました。では、村長に頼んで採取許可を貰ってきますね」
許可が必要ってことはやっぱり危険か。
気を引き締めていかないと!




