三十一、1人反省会!
「何とかなりましたね……本当に」
ジョサイ国という所に本当に俺はこのまま行くべきなのか?
勇者という肩書きを背負ったまま平和な場所に行くなんて結局どうなんだ……人として。
今からでも間に合うんじゃないか? どこへ? 何が?
魔王の元へ。諸悪の根源を断ち切ること。
しかし、それを断ち切ればこの世は平和になるなんて簡単な方式じゃないだろう。事実、あいつらは人間だった。
せっかく魔王を討伐したとして同じ人間で争いあうことになるなら……俺は……
「イチさん?」
「ん? あぁすまん。考え事してて……」
「昨日の夜あんなことがあったから寝てませんもんねぇ。今日の夜はゆっくりしたいです」
フィアとジェーンに心配された。
二人共、昨日の支援や活躍は素晴らしいものだった。
それに比べると俺は大したことをしていない。
日本生まれ日本育ちだからか、平和ボケのようなものをしていたような気がする。緊急事態にとっさに状況を飲み込めず、行動できなかった。
人を殴ったり蹴ったりが精一杯だった。
と。あんまりネガティブなことを考えていてもしょうがないな。この辺で脳内反省会はやめておくか。
「この子……大丈夫でしょうか……」
あの後一命を取り留めた少女をその場に置いていくこともできなかったため、今は俺が背負っている。治療の最中から気を失っていたみたいだが、命に別状は無いはずだとジェーンが言っていた。どこの子かは分からないが、とりあえずはこの先のゴウチ村にまで届けるつもりだ。
「今は大丈夫だろう。ジェーンが傷を治してくれたんだろ」
「そ、そうですが……」
アイテ村……あの村とその住民は要注意だな。観光客らしき人物が少なかったのも頷ける。売ってる物も意味わからないものばかりだったし。
「ほら、見えてきたぞ。ゴウチ村だ」
ゴウチ村。ジェーンは過去に何回か行ったことのある村だ。調合技術に長けていて様々な薬を作れるらしい。多少有名で、俺とフィアが最初に行ったあのコード村に並ぶ程この世界では技術力や村全体の評判が良いとされている村だ。
俺はこれまでの事で完全に気を抜くつもりは無いが、他よりも落ち着いて休められる場所であることには変わらないだろう。




