二十八、目的地まであと1歩……!
「坂道はやっぱキツいな……頂上が遠く感じるぜ……」
額を伝う汗を拭って坂道の先を見つめる。木々や空で頂上はまだ見えない。人が通ってきた道らしいのであまり草木が進路を阻んでいないのが救いだな。
「夕方になる前に村に辿り着けないと、夜の山を登るのは危険ですね……先を急ぐ必要は無かったんじゃないですか?」
「いや……俺の心の余裕が無かったというか……うん。すまん」
フィアにダメ出しされた通りタルト村でゆっくりしてから登ればよかったのだが、正直一日でも早く女体化を解除したいという気持ちの方が圧倒的に強い。
それが原因で事故にでもあったら元も子もないのだが。
とそんな心配をしながら山登りをしていったら……
深夜になってしまった。真っ暗闇。見えるかこんなもん。
「夜になっちまったな……」
「まだ村の灯りも見えませんし、この辺りでテントを張って野宿しましょうか」
ジェーンが持ってきていたリュックサックから荷物を取り出そうとすると――――
草むらの中から突然人が現れた。
「誰だ!」
どこかで見たことあるような……三人組?
「この前はよくもやってくれたな……」
「え……!?」
な……!?
数日前のクソ野郎共!?
何故だこんな所に!? あの後村に吊し上げたはずだぞ! 逃げてきたか!
「な、なんですか犯罪者! 牢獄から抜け出ましたか!」
「犯罪者……? いやいや、俺らは犯罪してないから。牢獄にも入ってねーよ」
何言ってやがる……?
さらに奥の方から人影が……二つ……四つ……無数に現れる。
まさか……!?
「うちの村のもんが迷惑をかけたようですな」
長老のような風貌の男が前に出る。その姿は全く悪びれているようには見えない。反省しているような素振りも、迷惑をかけたという自覚も無さそうな程に。
「村ぐるみかよ、くそっ!」
「え、えーと、イチさん? フィアさん? この人たちは……?」
「敵だ! 援護を頼む!」
全方位に居るであろう敵を相手に無闇矢鱈にパーティーメンバーから離れるのは得策ではないな。
どうするか……
「大丈夫ですよ、イチさん。背中は心配しないでください」
フィアが俺にそう言うと〈ファイアウォール〉を背中側に放った!
背後でメラメラと燃える炎に加えて奴らの叫び声も聞こえた。
背中を心配しなくていい、か。その通りかもしれないな。
「ありがとうフィア!」
「イチさん! 〈ステータスアップ〉!」
ジェーンからも支援魔法を掛けてもらい気合いも入った。
少したじろぎ始めた犯罪者軍団を真っ直ぐに見つめ威圧する。
目的地まであともう少しの所だったんだ。邪魔しやがって。
「一瞬でカタをつけてやる」
なんせ今の俺はステータスカンストだから……!!




