二十三、1瓶もない……だと!?
「は、はぁぁぁ!!?」
「す、ずみまぜん! しかし魔法のクスリはうちには一つしかなくて……!」
結局こいつらは思い付きで強姦しようとして未遂になっただけでまだ前科はなかった。今できたし、後で吊るす。というか今他の二人は吊るしてる。
それで、俺を女の姿にしやがった薬は一瓶しかなかったんだと。しかも高いって。数十万するんだと。それは商人が間に挟んで買う場合。
原料のある場所なら今の俺らが持っているお金でも買えると。
行かなきゃいけんのかぁ……うわあ、めんどくせぇ。
「でもそれって……北の方の、あの『サイゾー山』の頂上まで行かないとですよね」
山ー? の頂上ー? だとー?
行くのも大変じゃん……このままでも……いや無理だな。異性の体でいるのキツいわ。そりゃあ今の体の各所は気になるもんだが、慣れない感覚といいフィアもいるから一人になれる状況でもないし、一人の方が危険な可能性さえあるからな。
それに、時間が経って女性としての体の機能とか発動したらショック受けそうだし、そうなると何だか男の体が遠のきそうだ。
「そうです! 頂上にある『ゴウチ村』で魔法のクスリは手に入ります!」
「嘘はないんだな?」
一応確認を取る。ここで嘘をつかれると後が面倒そうだ。
「い、いえ! 本当です!」
「本当か?」
真顔で見つめる。なんかこいつ目を逸らしまくったりして怪しいな……嘘ついてんじゃねぇのか?
「イチさん、多分その人嘘ついてませんよ……」
フィアに肩をぐいっと引っ張られた。どこか呆れた表情だが……なんでだ? 怪しむこと自体はこの場合、状況では重要だろう。
良し、と。村の真ん中にて吊るし完了。
とりあえずあの後一発殴って気絶させた。直前ですごい命乞いされたが、一発ぐらい殴らせろって言いながら容赦なく殴っておいた。
宿泊代も払わん。払う必要あるか? いや、逆に払っておけば俺らの正当性を示せるだろう。不服だが払っておこう。
「はー……休みに来てこんな疲れることになるなんてな……」
「そうですね……怖かったです」
そうだよな……フィアは俺より若いし、女だから今回の事件はより怖い思いをしただろう。今回は俺が火事場の馬鹿力みたいなのを発揮したから良かったけど、ちゃんと俺のステータス……俺の今のステータスどのくらいなんだ……? あの薬を飲まされてステータスが変わったとか聞いたが……
「でも、イチさんが落ち着けって言ってくれたので落ち着いて呪文を解除出来ました。イチさんのおかげです」
「……そんな事ないだろ。フィアはフィアで頑張ったんだよ」
別に俺は褒められるようなことはしてなかった。ただがむしゃらに理不尽に抵抗をしただけで、最後にフィアがファイアを使えたのはフィア自身があの呪文を自力で解けたからだろう。それはフィアの力だ。
「俺は何もしてないよ」
あー、全然休めなかったな。この村のアイテムは一々要らないものだったし。
早速サイゾー山に向かおう。他の村民や商人からの目線を感じて正直気まずい。




