二十、1つもまともな物はないのか!?
おいおい、なんだよこの村。普通の村かと思ったらだいぶ癖のある村に訪れてしまった。
「お兄さん、私の売るこの『魔法のクスリ』は要らんかね? このクスリはある一定の層に人気な――」
「大丈夫です!」
押し売りがましい……! しかも基本的に要らないアイテムの……!
商売人の多い村と近づいてすぐにわかった。何故なら今みたいにセールスマンたちがひっきりなしにやってきたからな。
「っ……」
フィアは俺の後ろにずっと隠れている。人見知りを発動してる上にこの押し売りのような圧が余計にプレッシャーとなってしまっているのだろう。
そんなフィアに対しても営業を仕掛ける輩が……ってうわっ箱ごと!? 在庫処理でももっと減らす方法あるぞ!?
「この剣は特定の呪文を唱えると理性を無くして自身を制御出来なくなる代わりに攻撃力を上げ目に付いたものを壊し尽くすようになる封印された魔法剣なんですよ! 凄くないですか〜?」
そんなもの箱に詰めるほど余ってんの!? というかどうやって仕入れたんだよそんなやばい剣!! つーかそんなもん売るなよ!!
それから宝箱とか、どこに当たっても絶対着用者にダメージを与える鎧とか、月日をランダムに表示するカレンダーとか、とにかく実用性がなさそうな道具ばかりが売られている村の中から宿屋を見つけ出し、避難することにした。
「変な道具しかないこともそうだが、やたら男がたくさんいるのが何か引っかかるな……俺らに対して変な目線を感じる」
「そ、そそ、そうですね……」
人見知りが人に出会いすぎるとこうなるのか……
何度か深呼吸して落ち着いたフィアが俺の疑問に答える。
「高みを目指していたベテラン冒険者が限界を感じ始めると魔物から得た物や危険な場所にある素材などを集めて転職し、商売人になるんです。ベテラン冒険者となると若い女性にはそろそろ目も向けてくれなくなる年齢なので……結果として独身の方が多いんですよね」
なるほど……年齢の近い俺とフィアが同じパーティだから嫉妬してんだな!
あのセールスも嫌がらせだと思えば可愛いものか。なんか突然可哀想に思えてきた。勝手に。
「たまに本当に凄いものが売ってるらしいので人はそれなりに来ているらしいですが……この宿は私たち以外居なくてほとんど貸切状態でしたね」
そう言えばそうだな。
というより俺たち以外の観光客というか、冒険者は見ていないような……?
う、うーん? この村やっぱりなにか……




