十九、1時間歩いても何もねぇ!
コード村はあの最初の国――最初の国の名前も分からなかったから聞いた――メオメ国の南側だった。
それでもあの国よりもそう遠くは無い位置に村はあるので行くべき方向は基本的に東。コンパスも買っといたから迷う心配はないな。
それで少し北東に進み、道っぽい道を見つけ、ずっとその道に沿って歩いているのだが……
「何もねぇ……何もねぇな……」
歩いて得られた物というと、この世界の季節は多分春くらいで寒くも暑くもないって事が分かったくらいだ。そうじゃなければほとんど運動してこなかった俺は今頃氷漬けか脱水症状になっていたかもしれん。
「人も魔物もいませんねー」
「あっ、二人きり……ですね」
何一つ雰囲気でねぇよこんな晴れてて爽やかな風が吹いてる所じゃ!
「お前はその魔導書を早く読み切って魔法を使いこなせるようになってくれ!」
「む、聞き捨てなりませんよ! この一冊一冊が魔法一つ一つの解説なんです! この複雑さを理解せず早く読み切れとは、未熟なまま魔法を放ち自爆しろと言うのですか!」
げっ……そんなに魔法覚えるの大変なのか……俺が魔法を覚えるのは諦めた方がいいな。魔法のステータスも1だしな。覚えたところで雀の涙かもしれん。
「す、すまん」
「良いですよ。それに私、新しい魔法を習得しましたから」
最高かよ! この短期間でもう魔法を覚えたってのか!
やっぱ魔導書貰っといて良かった〜!
「〈ファイアウォール〉」
その名前だと火を守るほうじゃ……多分火の壁だろう。
ファイアの火の玉を撃つ時よりも風を吸い込む音と火の勢いは弱いが、その火の玉が火炎放射のように連続して発射されていく。フィアが反時計回りに火を吹くと火の玉は空中にアーチを描かせながら地面に着地する。そこから火の玉の勢いは強くなりフィアの立っている位置から弧を描くような火の壁を作り出した。
「ふ、ふぅぅぅ〜〜〜。上手くいきました!」
額を拭うフィア。
今のもしかして失敗してたら自爆……いや、考えるのはよそう。
「凄いじゃないかフィア! ファイアマスターみたいな称号が貰えるんじゃねぇの?」
「ファ、ファイアマスターなんてそんな……私はまだまだですよ」
いやでもこれ本当にすごいな。レスレスの時これ覚えてたらかなり楽だったと言っても過言じゃない。見知らぬ敵が出てきた時も防御としてすぐに使えそうだ。
火は一応消えるまで見張っておいたので火事の心配はないぞ。
地図によるとこの辺に「アイテ村」があるらしい。痛がってそう。特に用事がある訳でもないが寄れる所は寄っていこう。野宿はあんまりしたくはないからな。宿屋経験したら野宿はできる限り避けたいわ。
コード村と違って何も問題を抱えていない普通の村だろう。




