十二、1は0にはならず!
「なぁ、さっきレスレスについて何か知っていたようだったが」
「魔物図鑑で見た事があったんですよ。レスレスは下級魔物ランキング上位で注意すべきだと」
「あんな技持ってて下級なの?」
「本体が植物で、戦闘には特化していないようですからね。もっと強くてレスレスと同じ呪文を使える敵もいますから」
ひええ……外れないデバフかけながら強いとか、そんな奴とは戦いたくねぇ……
「植物なので私の〈ファイア〉が有効打になります! 期待しててくださいね!」
あ、そっか。属性的には火は木に強いもんな。
植物とかスライムが属性あるのは分かるが、それなら人間とかは……?
「なぁフィア。人間って――――」
「来ましたよ!」
む、レスレス……ってうわ、植物って聞いたけど足とか生えてんじゃん。
何と言うか……バオバブの木の小さい、俺の腰くらいまでしか無いのが歩いている感じというか……え、これ、生き物? 生理的に受け付けない印象が……
「レスレ……ス! 《ステータスロス》!」
それ鳴き声!? じゃなくてなんか灰色の煙っぽいのが飛ばしてきた!
盾を構えてフィアに魔法の準備を指示!
盾を煙に当てて散らせ――煙が盾を貫通した!? やば――――当た――死……
なない。死なない! 死なない!?
「イチさん! 呪文は盾などでは防げません! 避けてください!」
なるほど! いや、でもそれはダメだ。フィアに当たってレスレスを討伐しにくくなったら余計に面倒くさい。それに俺の見立てでは当たっても平気だ!
「大丈夫だ! 俺が攻撃を引き受けるからお前は魔法に集中しろ!」
「っ! いくらステータスが1とはいえ、呪文を受け続ければただでは……!」
「良いから早く!」
レスレスにダッシュで近づいて盾ごとタックル! レスレスは盾を根っこのような触手でガードしたが俺の体重がかかっている盾を押し返すことは出来ないようだ。さすが下級。これで拘束出来たも同然だろ!
「分かりました……〈ファイア〉!」
シュウウウゥゥという風のような何かを吸い込むような音が背後でする。
ボン! と音が鳴ると熱のこもった球が盾で押さえ込んだレスレスに直撃した! 熱を感じる距離だし俺ごと燃えたりしたら怖いので一旦離れる。
「レェェェェ!!」
燃えたレスレスがその燃えた身体を消そうと触手で揉み消そうとするがもちろん消えず。触手にも火が回り全身が燃える頃になると倒れてゴロゴロし始めたが時すでに遅し。段々と黒くなってきてそのうちそれは動かなくなった。
こっっっっっわ!!
うぅぅぅわ、これが焼死……? 焼けて死ぬってこんななのか……
「何とかなりましたね……」
えっ今の見て無反応? マジ? めっちゃ意思ある感じの苦しみ方だったけどマジ?
あっでも俺もスライム刺した……しな。あいつは破裂したからなんか実感なかったけど。俺も殺ったんだよな……なんか、ごめんな。今更だけど。
「それにしても新しく買ったこの杖、魔力が上手く伝わって高火力で出せました!」
あのやたらと金を食った杖がハズレじゃなくて心底安心したわ。これで期待外れだったとかぬかしたら俺がフィアを燃やそうかと思ってたし。
「良し! クエスト完了! 楽勝だったな!」
「そうですね。でも、こんなに楽ならもう討伐されていてもおかしくないとは思うのですが」
「何でだろうな。まぁでも勝ちは勝ちだぜ。報告に村に……」
物音がする。どこから?
いや、何体いる……?
「……レスレスってのは下級のモンスターだったな」
「群れで来るかよ……!」
「……さっきはああ言いましたが、頼みます。イチさん。私が《ロスト》を受けたら終わりだと思ってください」
十数体のレスレスが草むらから現れた。




