一、俺のステータス全部1!?
「ス、ス、ステータス、ALL1!!?」
こ、こんなことって――――
意識がある。呼吸もできる。俺……死んだんじゃ……
たしか死ぬ前……公衆トイレにいた……あぁそうだあのクソガキ共だ。トイレにたむろしていたクソガキ共にちょっとばかり注意したらいきなり便器に頭をぶつけられて集団でボコられて……
くっそ、ぜってぇ許さねぇ。こうして意識あるってこたぁ、倍返しだ! をしてもいいって神が言ってくれたって事だよな。
俺の名前は稲福壱だ。よし、覚えてる。性別は男。好きなものは明太子。よし。しがないサラリーマンだったことまで覚えてるぞ。
えっと、とりあえず――――
「お主が召喚された我が国を魔王の手から守りし勇者か!」
えっと……?
ここは何処だ? 王室?
はっ、まさか! 異世界転生!
おぉ〜、すげぇ!
……死んだ理由を除けば最高のリスタートかもしれん。
「いきなりですまないが、我が国は危機に瀕している。守ってはくれぬか?」
ザ・王室って感じの絨毯に兵士、側近がいて中央の玉座に構えた王様が言う。
「あぁ、いいぜ! ただし! 条件がある」
はっはっは、俺が召喚されたってことはつまり! チート能力を持って来たって訳だ! 違いないね!
「この城に王女はいるか?」
彼女いない歴=年齢の俺は彼女が喉から手が出るほど欲しい!
チート能力に見合った人物と言えば、もう王女くらいしか居ないよな。
「お前! 自分で何を言っているのか分かっているのか!?」
側近がガチ切れ。おーこわ。しかしそんな風に威張っていられるのも今のうちよ。
「物凄い自信じゃな……。まぁよい、恒例のステータスチェックを行ってみれば分かるはずじゃ」
おぉーステータスチェック!
つまり俺の強さが数値化されちまうって訳だな?
もはや数字じゃなくて、「無限」とか書かれちゃったりしてな。
「こちらが〈ステータスチェック〉の水晶でございます」
兵士の一人が水晶とそれを置く台を運んできた。
ま、普通に数字だったとしても一万とか余裕で行くだろ! むしろカンスト上等!
「『ステータス』と叫ぶと、現在のステータスが表示されます」
使い方の説明をしてくれた兵士に小さくお礼を言って水晶に構える。
みんなが俺を見ている! 驚くことになるぞ〜!
だって俺が! 今から! 歴代最高の結果を叩き出すことになるからなぁ!
「行くぜ! 『ステータス』!」
水晶が力強く光り始めた! 確定演出に違いない!
うおおお! 来い!
HP 1 MP 1
攻撃 1 防御 1
魔法 1 素早 1
ひっっっっっく!!?
「ス、ス、ステータスALL1!!?」
こ、こんなことって、ありえないだろ――――!?