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不死者  作者: 紫崎 蒼
第二章 殺害屋
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第四十五話 方法

 配達屋のフリが通じないのは分かる。荷物を持っていないことがデブに知られたのだから。だが、自らを殺害屋だと名乗る意味は分からない。これではドアを開けさせることができない、絶対に。


「何故名乗る? これでは出てくるものも出てこないだろう」


「さっき言っただろ? 恐らく誰が何を言ってもあのデブは出てこない。恐怖で怯えてるからな。だったらもっと怖がらせてやればいいんだよ」


「それでどうなる? 何の意味がある?」


「恐怖に耐えきれなくなって勝手に暴れてくれるだろ、多分。そうなりゃこのドアも開くんじゃね?」


 全く意味が分からない。それに確実な方法ではない。やるだけ無駄だ。

 このまま無駄に時間だけが過ぎていけばデブに逃げられるかもしれない。…………いや、一つ方法があった。

 インターホンに向かって「こっちはいつでも殺せる準備ができてんだ」「早く出てきてくれれば即死させてあげられるのになあ」「ほんの少し、ちょびっとだけ殺させて! お願い!」などと言っているおっさんの腕を引っ張り隣の部屋の前まで連れていく。


「おい、いきなり何すんだよ」


「お前に言われた通り戦略を立てた」


「は? 何言ってんだ?」


「デブを殺す方法を見つけたという意味だ」


「どうするんだ?」


「ベランダから入ればいい」


「……あ、そういうことか! んじゃどうする? あんたがやるか?」


「いや、お前がやれ。俺はここで待つ」


「仕方ねえな。で、デブは?」


「縛りあげておけ」


「殺さず捕らえるってことか」


 おっさんは頭を小突きながら「声出すなよ」と言う。ため息をつき、俺は「ああ」と返した。

 言われた通り、インターホンを押してからは口を閉ざした。


「すみません、上の階の者ですが……」


 おっさんがそう言うと、部屋の住人はすぐに出てきた。


「ええと、どうかしましたか?」


「言いづらいんですがベランダにモノを落としてしまいまして。取らせていただけないでしょうか?」


 その部屋の男はしばらく悩んだような顔をした後、「ええ、構いませんよ」と言っておっさんを部屋にあげた。

 見知らぬ人間を部屋にあげるとは。あの男の頭は相当狂っているだろうな。まあ、そのおかげで作戦は上手くいったが。

 俺はデブの部屋の前に戻り、ドアが開くのを待つ。

 手際がよければ五分もかからないうちにドアが開くだろう。最低でも五分間、俺は暇を持て余すことになる。

 何をしていればいいのか。特にやることのない俺は銃口を覗き込んでただぼーっとしていた。

 デブの生捕りはそんなに大変なのか?

 何分経ったか数えてはいないが、五分くらいは経っているだろう。

 見た目からして動けるデブではないのは確かだ。ただの殴り合いなら確実におっさんが勝つ。

 厄介なのは神授の方だ。おっさんがデブの神授を知っているかどうかは分からないが、知っていたとしても対処できない場合はある。

 俺もベランダから回り込んで加勢に行くべきか?

 不安だ。おっさんがデブを確実に捕らえられるという保証はない。

 ……考えるのは疲れた。まあ、ダメならその時考えればいいか。

 そう思っていた時、デブの部屋のドアが開いた。

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