第三十四話 同業者
「自分で歩ける」
俺は手を払い、おっさんよりも一歩前を歩く。
「ガキかよ」
呟く程度の音量の悪口が聞こえたが無視だ。
その程度の戯言で反応するほど俺はガキではない。
「そういえば、まだ仕事内容を聞いていないんだが」
「んー? ああ、この森の支配者の殺害」
「ってことはお前……」
「お察しの通り、私は殺害屋だ」
はあ……最悪。
思わず舌打ちする。
「同業者かよ」
「あ? 力だけで全て解決させてるあんたが私と同業者だと? こいつは冗談でも笑えねえな」
「おい何勝手にキレてるんだ? 俺もお前も殺しを生業としてる。同じだろう」
「……ま、殺す点では同じだな。でもな、私はただ殺すだけじゃない。毒殺でも焼殺でも自殺誘導でも暗殺でも公開処刑でも。死体の処理だって頼まれればやる。それに比べてあんたはどうだ? どうせただ殺すだけで終わりなんだろ。そんなもんと私の仕事を一緒にするな」
黙って聞いていればペラペラペラペラと。自慢か?
「殺害屋に上も下もない。お前の作ったオプションがどうだろうとそれは個人の勝手だ。殺していることに変わりはない」
「結果は同じだろうと過程が重要っつー事が分かんねえのか? ただ殺すだけなら誰だってできるだろ」
「何を言ってる? 殺せないから殺害屋がある。そんな単純なことも分からないのか?」
「…………」
「なんとか言ってみたらどうだ?」
足を止め黙り込んでいるおっさんに詰め寄る。
反論もできないか。
「確かにその通りだと思ってな。だとしてもだ。私の仕事とあんたの仕事を一緒にはされたくないな」
「好きにしろ。ただ、お前がどう言おうとやってることは俺と変わらない」
そう言った後、俺はおっさんの二歩ほど前を歩いた。が、おっさんに肩を掴まれ足が止まる。
「何だ?」
「ひとつ聞きたいことがあってな。あんた、本当に殺害屋か?」
そのまま「殺し屋」だとなんかダサいな、って思いました。なので「殺害屋」と書いて「ころしや」と読ませました。
それと、はっきり言います。主人公が殺害屋、という設定は後付けです!




