第三十一話 おっさんの武器
「一応聞いておきたいんだがお前、武器をいくつ持っている? それと神授は何だ?」
俺の質問に、おっさんは黙り込んだ。
当然の反応ではある。これに答えるということは手の内を晒すのと同じ。
だが、俺はおっさんの手の内を知っておかなければならない。
主人が奴隷の手の内を知らず、背中を刺されて死ぬという無様な終わりを迎えたくないからだ。それに、弱みを握れる可能性もある。
「悪いが、武器の数も神授も今はまだ言えねえな。あんたの手札を教えてくれりゃ私も今ここで手札を晒すが」
……仕方ないか。
「元々もっていたナイフは無くした。つまり武器は何も無い」
「そりゃ残念だな。で、神授は?」
「普遍」
「フッ、嘘は良くねえなぁ! 普遍っつったらなんの力もねえってことだろ? その嘘は無理があんじゃねえのか? 素手で臓物ぶち撒くなんて普通じゃありえねえ」
「鍛えた。それだけだ」
なんて口だけで言っても信じてもらえないだろう。俺は上着を脱いだ。
「触れてくれてもかまわない」
「別にいい。……っ! ちょ、おい、近寄るな!」
「何故?」
「キモい」
は? 腹立つな。
舌打ちをしながら俺は上着を着る。
「分かっただろ。神授は普遍。嘘はついてない」
「はぁ、分かった分かった」
「次はお前だ。武器と神授を言え」
渋々といった感じでおっさんは服の下から短剣を三本、形のない黒い何かを一つ、水色の羽を一本、灰色の粉の入った瓶が一つ、俺の目とだいたい同じくらいの大きさの灰色と黒色が混じった玉を三つ出した。
黒い何かは空喰だろう。羽は重力操作の道具。粉は爆弾だろうな。だが、
「その玉は何だ? 見たことがない」
「こいつは特別なもんだからな。使い方はただ手で潰すだけだ。やってみろ」
渡された玉を受け取る。
軽く指で摘むと綺麗な丸は楕円形になった。そこらの石程度の硬さはあると思っていたが予想以上に柔らかい。
俺は言われた通りそれを握り潰した。
小さな破裂音が手の中から聞こえる。
どうなったのか。そっと手のひらを開くとそこには何も無かった。跡形もなく手の中から消えていた。
空気中に散った可能性は恐くない。灰色と黒色の混じった何かが空気中に散らばったところは見ていないのだから。
だとすれば、どこにいったのか。そしてこの武器は何なのか。
それは考えるまでもなく俺の身体に、効果として現れた。
神授は個人個人の能力みたいなものです。たぶんどこかの話でちゃんと説明します。
あと「神授」と「空喰」は、名前としては(仮)状態です。いい名前が思いついたら変える可能性があります。




