第二十六話 相性最悪⑥
俺は一旦後ろに飛び退き獣から距離をとる。
今無理に攻める必要はない。それにあとはおっさんの仕事だ。
「お前が殺れ」
ここまでお膳立てしたんだ。断る理由はないだろう。
「いやいや、この調子であんたが殺った方がいい気がするけどな」
「ふざけてるのか? お前が一人じゃ倒せなさそうだったから手伝ってやっただけだ」
言い終えると同時に獣の爪が俺の頬をかすめた。
「モテモテじゃねえか。こりゃあんたが適任っつーことだな」
確かに獣はずっと俺にしか攻撃してこない。だからといって俺が適任、ということにはならない。
俺と獣の間におっさんを立たせるように動くが、獣の攻撃はおっさんを無視して俺に全て向かってくる。しかもおっさんは俺の考えを読んでいるのか、間に立たないように獣の背後に回っている。
ちょろちょろ動いてめんどくさい。
俺はガキの脚をおっさんの腹に振り当てる。おっさんの身体は吹っ飛び、木にめり込んだ。
俺はすぐにおっさんを追いかけ、めり込んだ身体を引きずり出す。そして動かなくなったおっさんを獣に向けて投げる。が、やはりと言うべきか。獣に当たることなくどこかへ飛んでいった。
思い通りにいかず深くため息をついた後、俺はガキの脚を獣の顔に振り当てる。
また溶かされるだろうと思っていたが、今回は違った。ガキの脚は引き裂かれバラバラになっていたからだ。
準備する時間を与えてしまったのか、行動が予測されたのか。どちらにせよ俺の武器が足首から下しかないことが問題だ。
投げるくらいしか使い道がない。それに投げたとしても当たるかどうか分からない。
獣の横を走り抜けおっさんの元へ駆け寄る。
「おい、起きろ」
肩を揺らし声をかけるも返事がない。
「なら死んどけ」
俺はおっさんを思いっきり上に投げ、後ろに飛び退いた。




