第二十四話 相性最悪④
俺は腕を伸ばし被り物に触れようとしたが、触れる直前で手を弾かれた。
「起きてたのか」
「寝てるとでも思ったのか?」
「反応しなかったからな」
「誰かさんが私の顔を蹴り飛ばしたせいで痛くてな」
「そうか。で、早くあの獣を殺す方法を教えろ」
「謝るくらいしたらどうだ?」
「何を?」
「あんたが私の顔を蹴り飛ばしたんだよ!」
ドロップキックをかましたのは逃げるため。それに聞き分けのないおっさんを黙らせるためだ。
「謝る必要がどこにある? そんな事よりも早く教えろ」
「あんたが謝らねえなら私は何も教えない」
何も悪いことはしていない。それなのに何故謝らなければならないのか。理不尽だ。
「なら教えなくていい。お前の死体を餌に俺は逃げる」
「冗談、だろ?」
「そのくらい自分の頭で考えろ。お前の選択肢は死ぬか獣の殺し方を教えるか、だ」
俺は首を絞めようと手を伸ばすと、おっさんは焦り気味に「今教えるから」と言った。
「まず奴の溶解液だが、ありゃ万能じゃない。少なからず自身にも効く」
「なら同じ場所を何度も攻撃すればいいわけか」
「考えとしちゃ悪くないが、そう簡単な話でもない。こっからの説明は実際に見た方が早いだろ」
おっさんが立ち上がり外へ出ていった。ガキの頭と体を手に、俺もおっさんの後を追いかけるように外へ出た。
ぐるりと周りを見るが、目に見える範囲に獣の姿はない。
「来てないな。せっかく餌を持ってきたのに」
「……今のうちに聞いておくが、聖者の涙は残りいくつだ?」
「残りは一つだけだが何か問題でもあるのか」
「いいや、多分足りるだろうな。っと、ようやく来たか」
家の陰から現れた獣は俺達に向かって飛びかかってくる。だが何の対策もない俺はそれを避けるしかできない。
そんな俺とは違い、おっさんは短剣を構えて獣の爪による攻撃を防いでいる。
「おい、奴の首を見てみろ」
言われた通りに獣の首を見る。見えづらいが、よく見ると一部だけハゲている。
「毛が無いな。さっき俺が触れた箇所か?」
「あんたの手を溶かした時、奴の首の毛も溶けた。つまり、あんたがもう一度触れればおそらく自滅する」
「それは要するに――」
「殺れ」




