第十八話 お血会
俺は目の前にある村長の家であろう建物の壁を蹴破り中に入る。
赤茶色のカーペットの敷かれた部屋から木製のコップを二つと部屋を照らしていたランプを一つ持っておっさんのところへ戻る。
ランプを村長の近くに置き、ついさっき殺した死体の腹にコップを二つ突っ込む。
そしてグリグリと適当に中でコップを動かし血を汲んだ。全体が血に塗れているが、そんな小さいことを気にする男ではないだろう。おっさんにコップを渡した。
「あんたは血塗れだから気にならんだろうが、少しは拭いたらどうなんだ? 私はまだ汚れていないんだから」
「今ので手袋が汚れただろ。もう気にするな」
「あぁ、気にしないことにするよ」
と言ってすぐ深いため息が聞こえた。これは確実に気にしてるな。
俺は村長の上に座り、おっさんのコップにコップをコツンと当てる。
「なんのつもりだ? 乾杯か?」
「……お血会だ」
「そんな言葉は存在しない」
「これがお茶に見えると?」
「見えるわけがないだろう。血生臭いお茶が存在してたまるかよ」
「だからお血会だ」
「……まあいい。乾杯」
「お血会で乾杯なんて言わない。優雅に血を飲め」
「…………」
無言になったおっさんは背を向けた。
せっかく一緒に食事する相手とコップを見つけたのだ。できることなら顔を合わせて食事をしたい。
が、仕方ない。俺は一人、おっさんの背中を眺めながら血を飲んだ。
腹の中に顔を突っ込んでも、コップで飲んでも味は変わらないな。美味い。
「血を飲み終えたらあれの続きをやる」
「あれとは?」
「この村で行われた儀式をやる。主役は十字架に縛り付けたこの男共だ。上手くいけば面白いものが見れる」
「そりゃ楽しみだ。なんなら今からやってくれても構わないが」
「そう……だな。血でも飲みながら見るか」




