第十四話 真の見せしめとして
俺は「逃がすな」と、村長にジジイを押し付けた。
落ちていた腸を拾い、近くにいた少し背の高い髭男に「手伝え」と言って渡した。
「そいつで輪を作れ。小さくてはダメだ。大きすぎてもダメだ」
俺の要望に応え、髭男は固結びで腸の輪を作った。輪の大きさはまだなんとも言えないが悪くはない。
髭男から腸の輪を奪い取り、それさっきまで俺が張り付けられていた十字架に引っ掛けぶら下げる。
次に俺はジジイを指差し、髭男に「こいつの手を後ろで縛れ」と命令する。
一瞬嫌そうな顔をされたが、髭男は何も言わず従った。俺は縛り方に緩みがないかを確認した後、村長からジジイを取り上げる。
「や、やめろ! お主、何している? 何故皆何もしないんだ! 何故……助けてくれないんだ……?」
初めは暴れていた。だが誰も助けてくれず黙って従うだけの人間共に絶望したのだろうか。突然ジジイは泣きだした。
「うるさい黙れ」
俺は首根っこを強く掴み、無理矢理黙らせようとする。が、更に泣き喚いた。
うるさいし黙っててほしい。が、よくよく考えるとこのままの方が色々と都合がいい。
この場にいる誰も、俺に憎しみを持つ余地は与えない。絶望のみを植え付ける。
「これは見せしめだ。目に焼き付けろ」
腸の輪にジジイの頭を通す。
「やだ……死にたくない。なぜ……? 嫌だ……まだ死にたくない! 助けて! 誰か助けてくれ!」
しばらく首根っこを掴んだまま、ジジイの命乞いを聞かせた。
「目を逸らすな」と一応念押しをする。見せしめなのだから見てもらわなくては困る。死の間際まで。
俺はジジイの首から手を離した。
暴れていたが数秒後、全く動かなくなった。
首吊りをさせるは初めてだ。死んだフリをしているだけなのか、本当に死んだのかがよく分からない。
だが朝まで首を吊っておけば確実に死ぬだろう、とジジイをそのままにした。




