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不死者  作者: 紫崎 蒼
第一章 彷徨の森
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第十話 俺式安眠方法

 俺は飛び起きてリュックの中を手で探る。

 やっぱりだ。左手がない。盗まれた……?

 盗まれたところで何も感じないと、そう思っていたが実際に盗られると腹が立つ。が、またどこかで獣を殺せばいい。

 今はゆっくり休もう。無駄なことで体力を使いたくない。

 おやすみ。

 俺は大きく息を吐いた後、リュックを枕にして眠った。


 ぐっすり眠った、はずだ。なのに何故扉を開けた先の空は暗いのだろう。足元は明るいのに何故まだ朝にならないのだろう。

 神経質になっているのか? なんでもない物音ひとつで目が覚める不便な体になっているのか……?これだと疲れがとれない。

 いつ襲われるか分からない状況ならこれほど役に立つ体質はない。だが、今の俺には邪魔なものだ。

 ポケットから聖者の涙を取り出す。安眠をとるか、聖者の涙をとるか。

 しばらくにらめっこした後、俺は家の中に戻り寝転がった。

 初めは九個あった聖者の涙も今は一つだけ。いつどこでまた手に入るか分からない。

 だが貴重だからといって使わないのが一番もったいないことだ。

 俺は聖者の涙を手の届く場所に置いた。そして手のひらで両耳を叩いた。

 鼓膜を破った。これで音が気になることはない。

 耳から血が流れていたが、気にせずに目を閉じた。


 ――寝れない。


 俺は何も見えない中、手を伸ばして聖者の涙を掴む。

 痛くて寝るどころじゃない。それに耳鳴りがする。うるさい。

 両耳の中に三滴ずつ垂らしてからしばらく、痛みと耳鳴りが消えた。

 振り出しだ。今のまま寝てもまた物音で目を覚ます。だから、次に俺は自分の首を強く絞めた。

 死ぬかもしれない。でもこうして意識を飛ばさなければ安心して寝られそうにない。

 苦しい。だんだんと意識が遠のいていく。あと少しで寝れる。そう思った時、俺の意識は完全に落ちた。

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