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オオカミ少年の真実【電撃大賞4次落選作】  作者: 衍香 壮
第4章「欲しいものが貰えないからプレゼントというのだ」
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第70話「空飛ぶ鳥も落とす」

 *


「犬養さん……私はまだ刑事を辞めたくないです!!」


「アタシだって辞める気はないよー」


 時刻は午前十一時。堂々と不法侵入を果たした私達は傍目から見れば堂々と、内心焦燥を抱えながら綾崎宅を荒らしていた。


「陽正が一課で良かったよ。アタシなら鍵を拝借出来なかったからねぇ。こういう時、三課ってのは困るね。まぁ自分で選んだ道なんだけどさ」


「犬養さんはどうして三課に?」


「真空の為だよ」


 真空の為。彼女がそう言ったということは、本当のことを話しているのだろう。ということは狼谷君が口にしていた〝自分の所為〟というには〝嘘〟ということになる。けれども、それでも腑に落ちない。拭えない違和感に身を投じたまま、私は更に質問を投げかけた。


「どういうことですか?」


「一課だと忙しいだろ? 給料は高いんだけど、あの子の面倒を見てやれないからね。異動願を出して、治まったのが今の地位ってことさ」


「狼谷君は自分の所為と言っていましたが」


「あの子は優しいからね。自分の為にアタシがキャリアを降りたって気にしてんのさ。何回、気にしなくていいって言っても『俺が気にしてるわけないじゃん』って嘘を吐くんだよ。虚言癖のクセに嘘が下手だよねぇ」


 彼は嘘を吐くのが上手いが、虚言癖があるからと言って上手い嘘が吐けるわけじゃない。それを分かっていながらも、こういうことを口にするということは、彼女も傷付いているということなのだろう。


 血の繋がりがあるからと言って仲が良いわけではないし、血の繋がりがないからと言って不仲なわけではない。それでも、やはり埋められないものがあるのだ。家族というのは、そういう時〝血〟というものに頼るのかもしれない。


「犬養さんは何がしたくてココに来たんですか?」


「永と綾崎は仲が良かったみたいでね」


 あの後、狼谷君と反りが合わなかった永君は、すっかり口を噤んでしまった。私は狼谷君を送って行った為、その後のことは知らなかったのだが、どうやら二人は仲を深めていたらしい。私は永君から聞いたという話に耳を傾けた。


「たまにココに来ては遊んでいたらしい。でも資料を見ても、それらしい物は何一つ見つからない。不自然だと思わないかい?」


「それらしい物、ですか?」


「子供が喜びそうな物だ」


 彼女の指摘に思わず室内を見渡す。整理整頓された2LDK。本棚には洋書が揃えてあり、とても子供受けするようには見えない。ましてやテレビゲームも無ければ、プラモデルの類も無かった。

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