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オオカミ少年の真実【電撃大賞4次落選作】  作者: 衍香 壮
第4章「欲しいものが貰えないからプレゼントというのだ」
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第69話「手が空けば口が開く」

「お姉さんも信じてくんないんだ?」


「そういうわけじゃ……」


「このお姉さんは味方だ。その証拠に今、幽霊が見えるお兄ちゃんがココに来るからな」


「え!? 刑事も霊感捜査とかすんの!?」


「いや、アタシの息子が霊感持ちでね。ココにいんのも暇だろ? 特殊能力持ち同士、話が合うだろうと思ってさ」


「狼谷君が来るんですか!?」


「ああ。そろそろ……」


 そこまで言いかけた時、着信を告げる旋律が鳴り響いた。スマホ片手に退室したあたり、狼谷君を迎えに行ったのだろう。私は見ず知らずの少年と二人きりにされたことで心細くて堪らなかった。


「えっと……永君が使える超能力ってどんなやつなの?」


「サイコキネシス」


「サイコ……?」


「物とか動かせんの。今は出来ないけど」


「どうして出来なくなっちゃったの?」


「分かんない。分かんないけど、俺、人を殺したんだ……殺人は悪いことでしょ。悪いことをした俺は捕まらなきゃいけないから。だから冤罪を晴らしに来たんだ」


「冤罪?」


「うん。本当の犯人は俺だから。間違って捕まってる綾崎(あやさき) 和眞(かずま)を釈放して」


 ストーカー殺人事件の犯人だった。何故、気付かなかったのだろう。写真のみとはいえ、私はこの少年を知っていた筈なのに。


 事件自体は、さして特筆すべき点のないものだ。殺されたのは土岐家の夫で、被疑者は綾崎和眞。隣に住む会社員である彼は、菫に対しストーキング行為を行っており、事件の日は菫が暴行されているのを発見し逆上、犯行へ及んだ。


 結果的に菫を助ける形になったことで綾崎には執行猶予がつき、菫の『穏便に解決して欲しい』との意向もあって、事件は大事になることなく幕引きとなった。犯人が自首してきたことも、大きな要因となったのだろう。直接的な死因は絞殺だが、その前に綾崎は自宅から持ち出したナイフで被害者の腹部を刺していた。逃げられないようにしてから絞殺に及んだらしい。凶器は雑誌等を縛る紙紐で、吉川線があったこと、被疑者の供述に矛盾がなかったことから何事もなく解決へと向かった。


「えっと……つまり……」


「殺したのは俺だよ」


 悪魔の囁きだった。彼の言葉を疑うことは、狼谷君を疑うこととと相違ない。けれども真っ直ぐ信じるには、あまりにも無謀で、馬鹿正直と言われ続けた私にすら難しかった。


 額を伝う脂汗。喉元に張り付いたかのように出て来ない言葉。背筋は粟立ち、目眩がした。どうか夢で在って欲しい。けれども、その願いは永遠に叶うことはなかった。

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