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オオカミ少年の真実【電撃大賞4次落選作】  作者: 衍香 壮
第2章「天才というのは、いつだって孤独でいたがる」
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第21話「論点先取の虚偽」

「何か得たものは?」


「狼谷君」


「アンタ演技下手過ぎ」


「そう言われても仕方ないじゃない! 演技なんて中学生以来で……それよりどこに行ってたの?」


「そこからすぐの曲がり角曲って軽く一周してきただけ」


「嘘?」


「お好きなように。で?」


「パン屋で朝食を摂ってただけみたい。でも……」


「でも?」


「何かスッキリしないというか……」


「だろうね。じゃあ俺、学校に行くから」


「あ、ちょっと! 犯人分かってるんでしょ!?」


「俺は幽霊が見たものしか分からない」


「どういう意味?」


「この力は万能じゃないってこと。それにアンタに教える義務はない」


「義務がないって……!」


「でも俺には学校に行く義務があるわけ。だから引き止めないでね。お姉ちゃん」


 私の言葉なんか聞こえないとばかりに彼が遠ざかっていく。狼谷君が犯人を教えてくれたら一発なのに……! なんて想いを抱えながら、拳を握り締めた。


 こんなに残虐な事件ですら、彼は解決しようと思えないのだろうか。否、彼は呼ばれて(・・・・)来たのだ。ということは解決する気はあるということ。では何故、教えてくれなかったのだろうか。


「私が生きてるから?」


「そりゃ、お前は生きてるよな」


 苛立ちを含んだ刺々しい声が耳介を刺激する。一気に背筋が冷えた私は恐る恐る顔を上げた。視線の先には青筋を浮かべた猿島警部が立っている。それも腕を組んで至極不機嫌そうだ。


「お前は、いつも勝手にいなくなるな。そんなに犬用の首輪でも欲しいか?」


 それはパワハラであり、セクハラです。などと言える訳もなく項垂れる。足元に目線を落とすも、彼の怒りが治まるわけもなかった。


 なんとかご機嫌取りをしようと先程得た情報を話すも、怨恨の線で洗っていくと豪語している彼には寝耳に水。更に怒りを煽るだけだったようだ。日が上がっていく度にギャラリーが増える。公衆の面前で叱りつけられる私は、恥を忍んで唇を噛み締めたのだった。

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