第九話。由佳子、転校生を見る (執筆たつきさん)
由佳子は空手に関しては、前々から凄腕だったが、気功まで身についたのは、夢を見たおかげかもしれない。
体育の授業が終わり、次は数学の授業になった。
由佳子は、眠気と闘いながら授業を受けた。
難しい数式が次々と黒板に出ては、黒板消しで消されていったので、由佳子には苦痛の時間だった。
気づくとあっという間に、1日の授業が終わり、ホームルームの時間になった。
由佳子は今頃になって、そう言えば、始業式の日なのに、始業式が行われなかったことに気づいた。それも時代の流れかもしれない。
「よ〜し。今日はみんなよく頑張った。特に、由佳子。空手に関してはすごいじゃないか!」
西山先生はそう言って、由佳子を褒めてくれた。
「そう言えば、さっき連絡があってな。転校生が来たらしい。いや、転入してくるから、転入生か? まぁ、どっちでもいい。ささ、入って入って」
西山先生は教室の扉に向かって、話しかけた。
すると、転校生が現れた。
転校生は男で、由佳子が見たところ、かなり鍛えている感じだ。
もっとも、今は学生服を着ているので、どこまで鍛えているのかは分からない。
「押忍。極悪高校から、転校してきた、本元勇気です。よろしく!」
転校生の勇気は、短く自己紹介した。
クラスの皆は、極悪高校と聞いて、皆でヒソヒソと噂した。
「極悪高校? 超ヤンキー高じゃないか」
「やだ。こわ〜い」
「皆、静かに! 彼は確かに極悪高校に通っていたが、それは不良たちを更生するためだ! 実際、彼は極悪高校を変えた……まぁ、結果的に極悪高校は潰れてしまったが。な、そうだろ、勇気君?」
「ええ。確かに僕は極悪高校の不良たちを更生させました。彼らはもともと弱い心の持ち主だったのです」
「てめぇ、偉そうだな! 不良をなめんじゃねぇぞ!」
勇気の発言に対し、このクラスの問題児、神竜寺俊哉が声を荒げた。
「僕は事実を言ったまでです」
「んだと? このやろう!」
「ま、まぁ。待ちたまえ君たち! 喧嘩は駄目だぞ!」
「僕も転校早々、問題は起こしたくない」
勇気がそう言うと、俊哉は「放課後、校舎裏にこいや!」と小声で言った。
西山先生はそれを聞き取れなかったらしい。
「じゃ、今日はここまで。解散!」
西山先生の発言とともに、クラスの皆は散り散りになった。
一部の者は、勇気と俊哉の喧嘩を見ようと、校舎裏にスタンバイした。
由佳子も、少し気になって校舎裏に行くことにした。
春美も来たがったが、危ないからやめた方がいいと由佳子に言われ、仕方なくバスケ部の方へ行った。




