第八話。由佳子、バスケのシュートをする (執筆ラビリンスコーヒーLv1)
「今度は、由佳子は一番最後な。また壊されたら、皆の体力測定が出来んからな」
ははは、と冗談とも本気ともつかないような口調で西山先生が言った。
「分かりました」
由佳子は少しむっとしたが、黙ってクラスメイト達のシュートを眺めることにした。
「シュートは一人10本フリースローを行う。じゃあ、始めるぞ」
ランダムにクラスメイトが並び、一人、また一人とシュートが終えていく、そして次は春美の番だ。そして最後が由佳子だ。
「由佳子ばっかり、活躍しているからね。今度は私がいい所見せるよっ!」
春美は立ち上がると、由佳子に、にっと笑って言った。
「頑張って! 春ちゃん」
「うん!」
宣言通り、春美はこれまでのクラスメイト達の中で一番の10本中9本フリースローを決めることに成功した。
「凄い! 春ちゃん9本も決めるなんて!」
「えへへ。一応これでも中学時代はバスケ部だったからね」
春美は照れくさそうに頭の後ろを掻きながら言った。
「最後、由佳子! びしっと決めろよ!」
西山先生が、熱血漢ぽい口調で、由佳子に向かって激を飛ばした。
「先生、あまりプレッシャーかけないで下さいよー」
由佳子は立ち上がって言ったが、内心は声をかけてくれたことに対してどこか嬉しく思っていた。
そういえば、私、夢で見たことが現実になったのかしら。さっきの空手の正拳突きといい、もしかして、私、夢で見たように気功もマスターしちゃったりしているのかしら。昔私、気功の本を読んだことがあるけれど、気には内気功と外気功があるのよね。私が夢で見たのは他人の難病を治せるようになっていたから、内気功よね。でも、気功をマスターしているっていうことは外気功も使えるっていうことよね。それはつまり体外に気を排出することが出来るっていうことよね。それはつまり、もしかしてだけど、気功の力で物質を動かせたり出来ちゃうのかしらん?
由佳子はそう思い、その考えを実行してみることにした。
由佳子は空手は得意だが、他の運動に関してはあまり得意ではない。というのも運動神経自体はあるのだが、興味が空手にしか向いていない為、他の運動を上手になりたいという意識があまりないからだ。由佳子はだからこのシュートは10本中1本でも入ればいい、と思っていた。だからこれは自分が気功が使えるかどうかの、実験するチャンスでもあると由佳子は思った。
「えいっ!」
由佳子はバスケットゴールに向かって両手で、バスケットボールを投げた。しかし、ボールはゴールとは検討違いの場所へと飛んで行った。
「あ~あ。だめだなこりゃ」
西山先生が呆れたような口調で呟いた。
由佳子はそのバスケットボールに意識を集中させた。そして、気功を放つイメージをした。
「曲がれ曲がれ曲がれ曲がれ~~」
由佳子は呟くような小さな口調でぼそぼそと言いながら、ボールに向けて手を差し出した。すると、バスケットボールが空中で軌道とは別の動きをゆらゆらとし始めた。
いける!
それを見て、由佳子は自分に気功が使えることを確信した。
動け動け動け動け-!
由佳子は手をバスケットゴールの方向へと動かした。それと同時にボールも、ゴールの方へとゆらゆらと動き始めた。
「「な、何だ?」」
クラスのみんなが妙な動きをするバスケットボールを見て、がやがやと騒ぎ始めた。
そして、バスケットボールは、まるで野球の魔球のような動きをしてゴールネットへと吸い込まれて行った。
や、やったわ。私、凄いわ。
由佳子はその後、9本全てのシュートをゴールへと叩き込んだ。
私、極めた空手と、難病を治せる内気功、そしてこの物体を動かせる外気功を使って悩み相談所でも開こうかしら。
由佳子はそう思った。




