第四十三話。西洋の魔女 (執筆たつきさん)
俊哉は急いで、病院にまで辿り着いた。
病室の小鈴のところまできたが、すでに小鈴は退院していた。
「さすが、我龍師範だ!」
俊哉はスキップしながら、自宅へと帰った。
家に帰ると、小鈴は元気ハツラツといった感じで、将棋盤に熱中していた。
「小鈴、治ったのか?」
「うん。なんだか、病気になる前より、元気になったくらい!」
俊哉の目から、涙が流れた。
「良かったなぁ!」
「お兄ちゃん、大げさよ。それより一局、相手してね」
その後、俊哉は将棋でボロボロに負けたそうな……
一方、由佳子たちは、猫柳師範の道場で盛り上がっていた。
「す、すごすぎます。師範!! 紙からお茶漬けができるなんて!」
「ほっほっほ。やはり気に不可能はないんじゃ」
猫柳師範は、髭を得意げに撫でて言った。
「でも。元は紙でしょ。健康に悪いんじゃないの?」
由佳子は、あまりにも気楽な猫柳師範たちを、たしなめた。
「卓郎、お主もこれくらいマスターするんじゃな」
「はい。師範、学ばせてもらいます!」
と、道場の門を叩く音がした。
「なんじゃ。こんな夜更けに。卓郎、見てきなさい」
「押忍」
卓郎が急いで門を開くと、外に妖艶な美女が立っていた。
金髪に白い肌、日本人というわけではなさそうだ。
外国人か、ハーフだろう。
「あのう。どちらさまでしょうか?」
卓郎は、相手の美貌にドギマギしながら、尋ねた。
「私はエリーゼ。ここは、我龍師範の道場かしら?」
流暢な日本語だが、英語のイントネーションが入っていた。
「いえ。ここは猫柳師範の道場です」
「我龍師範はいないのね?」
「はい」
「なら、用はないわ。じゃあね」
エリーゼは、そう言って去っていった。
「今の人、何だったんだろう?」
卓郎は猫柳師範に今の話をした。
すると、猫柳は狼狽えた。
「なに、エリーゼ!? まさかあのエリーゼか!?」
「どうしたんです。猫柳師範」
本元勇気も口を出した。
「後で話そう……こうしちゃおれん。早く我龍先生に伝えねばっ!!」
猫柳師範は、鬼気迫る表情で、道場を後にした。




