第四十一話。魔法のカード (執筆たつきさん)
我流師範の家は、田舎の山奥にあった。
猫柳師範と俊哉は、険しい山道を颯爽と乗り越え、遂に我流師範の家の前に辿り着いた。
「ここが、師範の師匠の家か……」
俊哉は、古い2階建ての家を見上げて言う。
「懐かしいのう。わしと犬神は、昔はこの山で、さんざん修行したもんじゃ……」
猫柳師範は、家のドアを叩いた。
「我流先生、猫柳です!」
すると、ドアが開き、我流師範が出てきた。
「うむ、気でわかったぞ。久しいな、猫柳」
「押忍。久しぶりです。先生」
猫柳と、我流はお互いにがっしりと握手した。
よく見ると、我流は目を閉じたままだ。
「そこの子供は、猫柳の弟子か?」
「はい、神竜寺俊哉という、才能のある弟子です」
「押忍」
猫柳の紹介の後、俊哉は短く挨拶した。
「私も、若い頃はかなりヤンチャだったが、俊哉くん。君も相当ヤンチャなようだな」
我流師範は、白眉を撫でながら言った。
「今日は、そんなことより、気功の話を……」
俊哉は、妹の小鈴の病状を話した。
「なに、それくらいの病気、治すのにわけはない。ここからでも治せるくらいだ」
「え? ここからでも!?」
俊哉は驚いた。
昔、テレビで遠隔気功と言うのをみたが、あれはインチキくさかったからだ。
「驚くことはない。私は君の師匠の師匠。君は私の弟子の弟子。亀の甲より年の功……いや、すまない。久しぶりに人と話したんで、話が長くなってしまう……」
「我流先生、そろそろ……」
猫柳は催促した。事態は一刻を争うかもしれないからだ。
「よし。むうぅん!!」
その時、我流から、眩しい青色の気のオーラが迸ったのが、はっきりと、俊哉にもわかった。
「これで、治ったぞ。君の妹は……」
「本当かっ?」
俊哉は確かに、気の波動を感じたが、一応訊いてみた。
「そのようじゃな。我流先生に不可能はない」
猫柳は、納得したようだ。
「じゃあ、オレは総合病院に、様子を見に行ってくる!!」
俊哉はそう言って、下山していった。
残された猫柳は、我流に言った。
「それにしても、我流先生は何故、さっきから目を閉じているのですか?」
「ふふふ。実は私は今、目が見えない」
「ええ!? 我流先生なら、自分で治せるのでは!?」
「……これを見てくれ」
我流は、懐から一枚のカードを取り出した。
「なんですか、これは?」
「呪いのカードだよ……」
我流はそう言うと、目を閉じたまま、涙を流した。




