第四十話。気功の奥義。 (執筆ラビリンスコーヒーLv1)
俊哉は子鈴の病気を治す為に、何でもやろうと決めた。その為だったら自分のプライドさえ捨てても構わないと思った。
「さっきは、あんな喧嘩腰で道場から出て行ってしまったけど謝って猫じいに気功を教えてもらおう。子鈴の為なら、俺はどんなピエロにだってなってやる。そしていつか子鈴が治ったら、あいつと一緒に将棋で熱い勝負をするんだ」
そんなことを思いながら俊哉は道場へと帰って行った。
「よおっ! 猫じい帰って来たぜ!」
「俊哉! どこ行っていたの? 心配したわよ」
扉を開けると由佳子が声をかけてきた。
「ああ、ちょっとな。それより猫じいに言いたいことがある」
「言いたいこと? なんじゃ?」
「実は俺の妹は謎の病気にかかっているんだ。そしてその病気を手術するには手術代が100万円かかるんだ」
「何じゃと?」
「だからこの間の100万円を使い切ってしまったから手術が妹は受けられなくなってしまったんだ。だから、俺もついかっとなってしまい、さっきはここから出て行ってしまったんだ」
「何と、そうじゃったか。それを知っていれば高級お茶漬けは買わんかったのじゃが。俊哉すまんのう」
「いいんだ、猫じい。どっちにしろ手術しても治るという保証はないって医者には言われていたからな。なあ猫じい、病気を治せるような気功はないかな?」
「病気を治せる気功じゃと?」
「ああ、もしあるんならば教えてくれないか。俺どんな修行にも耐えるからさ。頼むよ猫じい」
「むうっ。気功というのは二種類あっての攻撃の気功と治療の気功がある。しかし治療の気功というのは主に人間の内なる生命力を引き出すものじゃ。だから万能というわけではないのじゃ。滞っている悪い気を正常に治し、免疫力を高める、細胞を活性化するというのならば可能なのじゃが、ウイルスや菌や毒など全てに対処できるわけではないのじゃ」
「だめか……最後の望みだったんだけどな」
「すまんな。俊哉よ。力になれなくて」
「いいんだ。話を聞いてくれただけでも嬉しいよ」
「いや……待てよ! わしの気功の先生、我流先生ならばそれが可能かもしれん……。そうじゃ! 確か昔、我流先生の元での修行時代、我流先生に聞いたことがある、どんな病気も治すことが出来る気功があると」
「そ、そんな気功があるのかよ。早く教えてくれよ!」
「いや、わしにはその気功は使えん。我流先生が教えてくれなかったのじゃ」
「な、何で……」
「そう、その気功は奥義の気功で、誰かにその奥義を伝授すると自分が気功を使えなくなってしまうと我流先生はおっしゃっていた。じゃからわしと、犬神には教えてくれなかったのじゃ」
「そうなのか。じゃあやっぱり俺が行ってもだめだろうな」
「いや、まだ分からん。我流先生の所に行って話を聞いてみないことにはのう」
「じゃあ」
「うむ。俊哉よ。今からわしと我流先生の所に行くぞ。しばらく会っていないから、まだ生きてるかどうかは分からんがのう。もう年じゃし」
「その猫じいの師範の我流先生っていうのはどこに住んでいるんだ?」
「うむ。無人島にある山奥の中におるのじゃ」
こうして俊哉と猫柳師範は、気功の奥義を教えてもらう為、もう生きているかどうかも分からない我流先生の元へと向かうのであった。




