第三十七話。俊哉のバイト〜地下格闘技〜 (執筆たつきさん)
神竜寺俊哉は、柄にもなく神妙な面持ちで、河原で佇んでいた。
「バイトか。したことねぇな」
俊哉の家は、別に貧乏というわけでない。
どちらかと言えば、裕福と言えるだろう。
父親は不動産の仕事をしている。
「ん〜。なんかこう、一石二鳥のバイトがいいな……修行にもなって、金も稼げる……」
そして、俊哉は思いついた。
「そうだ、地下格闘技が最近ブームだな。よし、隣町まで行ってくるか!」
その頃、本元勇気は、趣味の読書に励んでいた。
バイト探しの本を読んでいる。
「ふむふむ。なるほど。僕に合うバイトと言えば、これくらいかな?」
勇気は、地下格闘技の優勝賞金100万円のところを赤ペンで印をつけた。
由佳子は、弟の真吾と話をした。
「どうする? 姉ちゃん。お金……」
「ちょっと待って。今、インターネットで調べてるの」
カタカタとノートパソコンで調べると、由佳子は言った。
「うわぁ。魔堕天のやつ、オークションで100万円で、こないだのチケット売ってるよ」
「100万円!? 高い!」
「でも、誰も落札してないみたいだから、逆にそれくらいの値段の方がいいかもね」
田中卓郎は、猫柳師範と道場にいた。
「師範、僕より先に弟子を取っていたのですか!」
「まぁ、そうじゃ……昔はカンピーネは良い子じゃってな……いや、あの頃から実は内に秘めた悪さはあったのかもしれん」
と、卓郎の電子端末に、着信音が鳴った。
「なんじゃ、彼女でもできたのか、卓郎?」
「違いますよ。師匠……あ、由佳子ちゃんからだ」
「なんて書いてあるのじゃ?」
「え〜と、なになに。地下格闘技の大会に出ることになった、卓郎さんも是非って書いてあります」
「なんじゃと! この間、試合したばかりじゃろうが。まだ怪我が……」
「格闘技の大会と言っても、前座の余興をするようです」
「そんなんで、あのチケットが買えるのかの?」
「それが、どうやら格闘技の有名プロモーターがチケットを100万円で買ったらしくて。メールしてみたら、余興に出て会場を盛り上げてくれたら、チケットを譲ってくれるって……」
卓郎の言葉に、猫柳師範は天を仰いだ。
「逆に、難しくないかの?」




