第三十一話。決勝戦 中堅戦 本元勇気VS大知 (執筆たつきさん)
そう言えば、魔堕天のメンバーは大和じゃなくて大知という名前でした。
魔堕天の中堅は、あの大柄な大知だった。
由佳子たちの中堅は、本元勇気だ。
勇気は、軽くリングロープを飛び越えると、呟いた。
「やれやれ、またデカイのが相手か」
そう、一回戦のプロレス研究会の中堅も、荒川優というデカブツだった。
「安心しろ。オレはデカイだけじゃない。スピードもある」
大知は、自信満々に言った。
「スピードがある?」
勇気はいつの間にか、大知の背後に居た。
「卓郎さんの、見よう見まね影法師の真似!!」
なんと、勇気は卓郎の技を一度見ただけで盗んでしまっていたのだった。
「……後ろか」
しかし、大知は動じずに、静かに言い放った。
「な、なにっ!?」
勇気は一瞬、動じたが背後から打撃を数発、叩き込んだ。
大知の背中が、衝撃で揺れるが、すぐにその衝撃は大知の背中の筋肉に吸収され、分散された。
「ふふふ。1ダメージといったところか。オレのHPが1000として」
「くそっ。打撃では分が悪いか」
「どうする、今度はこっちのターンだ」
サッと大知が今度は逆に、勇気の背後に回りこんだ。
そして、重い一撃を放つ。
「大逆転パンチ!!!」
その一撃は、ネーミングは最悪だが、威力は凄まじかった。
「ぐはっ!」
勇気は、2メートルほど吹っ飛び、ダウンした。
レフェリーがカウントをしようとする。
しかし、その前に、勇気は素早く立ち上がった。
「確かに、今のはヘビー級のパワーだった。でも、僕が極悪高校で不良たちを倒したのは、打撃ではない。サブミッションだ」
静かに勇気は言った。
「サブミッション? なんだそれは」
大知はキョトンとしている。
「どうやら総合格闘技は素人らしいね。実は僕は関節技と絞め技の達人でね」
「なにぃ?」
「小学生の頃は、SSGスーパーサブミッショングランプリで優勝したこともある」
勇気は、大知ににじり寄った。
「でも、危険過ぎるから、今までは使っていなかったんだけど……由佳子さんたちの為だ。この大会では使おう」
「ま、待て! それは危険な技なのか?」
「とても。骨が折れたり、失神したりするかもしれない」
それを聞いた大知はビビって、降参した。
「大知選手、試合放棄につき、勝者は、本元勇気選手!!」
レフェリーが高らかに宣言した。
「すごい、そんな大会に出てたの? 勇気くんっ!」
由佳子はキラキラした目で勇気を見た。
「まぁね。今回も使わなかったけど」
「ちっ。最初から言っとけよな」
俊哉は勇気と喧嘩した時に、勇気がサブミッションを使わなかったことを、手加減されたと感じたようだ。
一方、魔堕天陣営では、犬神師範の怒声が響き渡っていた。
「お前ら、あと一敗したら負けだが、ワシに恥をかかせるなよ?」
あまりの迫力に、魔堕天のメンバーはうなだれている。
「副将は、リンネか。任せたぞ?」
「はい、犬神師範。私はプロの暗殺者の家系。必ずや、しとめます」
次回、副将戦が、始まる。




