第二十五話。中堅戦! 卓郎VSキララ (執筆たつきさん)
「フフフ。私が女だからって手加減はしないでよ」
綺麗川キララは甘い声で言った。
「良いだろう。正々堂々と勝負だ」
卓郎は猫柳師範から教わった、独特の構えをした。
「レディ? ファイトッ!」
レフェリーが試合を開始する。
「ハァッ!」
プロレス研究会のキララは、いきなり右のハイキックを卓郎の頭部に放った。
「ふんっ」
卓郎は、それを片腕で払い、もう片方の腕でキララの腹にレバーブローを打ち込んだ。
「くっ!」
キララは思わずその場に座り込んだ。
すかさずレフェリーがカウントを数える。
カウント8でなんとか、キララは立ち上がった。
「なかなかやるわね。強い男は好きよ?」
「なっ?!」
卓郎は、普段言われないようなことを言われて、思わず顔を真っ赤にした。
その直後、キララは卓郎の背後に回り、腕で首を締めた。
「なっ! あいつ反則じゃねえか?」
俊哉はレフェリーに反則をアピールしようと立ち上がった。
「俊哉君、どうやら今回は関節技、絞め技はありらしい」
勇気は、試合会場で配っていたパンフレットを俊哉に見せた。
「ったく。きいてねえぞ!」
俊哉は仕方なく、椅子に座り直した。
キララのチョークスリーパーの前に、卓郎は必死に耐えている。
レフェリーはいつでも止められるように構えている。
由佳子は、このままでは負けると思い、声援を飛ばした。
「卓郎さん、頑張って!!」
「由佳子ちゃん……」
卓郎の耳に、由佳子の声が届いた。
キララもそれを耳にしたらしく、「チェッ。彼女持ちかァ」と一瞬、残念そうにした。
「今だ!」
卓郎はその一瞬の隙を見逃さなかった。
「見よう見まね発勁!!」
いつも猫柳師範からくらっている発勁を、試合中にとうとう、体得した卓郎。
キララは場外まで吹っ飛んでしまった。
観客たちはシーンと静まり、その後、どっと歓声を上げた。
「すげえ!」
「何だ今の?」
「ヤラセみたい!!」
会場全体が総立ちで、卓郎に拍手を浴びせた。
「一回戦、空手愛好会VSプロレス研究会は、空手愛好家が先に3勝したので、空手愛好会の勝ちです!!」
実況の声が会場全体に響く。
「よっしゃあ!」
卓郎も思わずガッツポーズだ。
「やったね!」
由佳子たちも喜んだ。
その会場の隅で、五暴連を束ねる謎の老人は、携帯型電子端末で誰かと電話していた。
「ふふふ。どうやらお前さんの弟子だったようじゃな?」
「なに、隠しても分かるわい。元同門のわしらの弟子同士の対決。お前さんも来るか?」
パンフレットによると、由佳子たちの次の対戦相手は、茨高校の風紀委員会だ。
なんでも、不良たちを更生すべく、大会にエントリーしたらしい。




