第十九話。束の間の休息。 (執筆たつきさん)
由佳子たち4人は、街を歩きながら話している。
「5人目のヤツも連れて来てくれよ」
俊哉は由佳子に言った。
「じゃあ、ちょっと待ってて」
仕方なく、由佳子は家に帰って弟の真吾を連れてくることにした。
「どれくらい待てばいいんだい?」
勇気が言った。
「う〜ん、2時間くらいかな」
「そんなにあったら映画が見れるぞ」
卓郎が呆れたように言った。
「じゃあ、映画見たら? 今は最新作のアクション映画が上映中だよ」
由佳子は昨日、テレビで見た映画の予告編を思い出しながら言った。
「じゃあ、そうするか」
「そうだね」
…………………………。
由佳子は家に着くと、弟の真吾の部屋に行った。
「真吾〜! 起きてる?」
ドアを開けて言った。
「なんだ。姉ちゃんか。そっちこそ、ノックくらいしろっての」
弟の真吾は、ベッドに仰向けになって、漫画雑誌を読んでいた。
「なんの漫画を読んでるの?」
「今、映画化もされた、空手の王国(野生の拳)だよ」
「ええ? 私の友達もさっき、その映画を観に行ったよ」
「ふ〜ん」
「それで、その友達も大会に出るの。五人目のメンバーも見たいって言うから、真吾も来てよ」
「えっ!空手の王国が観れるの?!」
真吾は目をキラキラさせながら言った。
「うん。そうだよ」
既に映画が始まっている可能性が高いが、早い段階からガッカリさせてもいけないので、由佳子は軽く答えた。
「じゃあ、行こう!」
由佳子と弟は、映画を見に街に繰り出した。
「いや〜、面白かったね」
と勇気。
「まぁまぁ、だったな」
と俊哉。
「……」
卓郎は感動のあまり、涙を流している。
「あ、由佳子だ」
彼らは映画、空手の王国(野生の拳)を見終わったのだ。
俊哉は目ざとく、由佳子と真吾を見つけた。
「みんな、助っ人を連れてきたよ〜」
「真吾です。中学でボクシング部の主将をしています」
「なんだ、中学生か」
卓郎の発言に、真吾は少しムッとした。
「私の弟なの」
由佳子はフォローするように言った。
「それで、映画はもう終わったんですか?」
一応、高校生たち相手ということで、真吾は敬語を使っている。
「終わったよ。とっても良い映画だった。特に最後のシーンは……」
「あ、ネタバレは控えてください」
真吾は、勇気の発言を遮るように言った。
「さっきから、いけ好かないやつだな」
俊哉がジロリと真吾を見た。
「まぁまぁ。皆で団結して大会に出るんだから、仲良くしようっ」
由佳子は女性らしく、弟をフォローしておいた。




