第十五話。気を身につけた本元勇気! (執筆たつきさん)
「はっ」
勇気は猫柳師範に、遠慮のない蹴りを放った。
その蹴りは、猫柳師範の顎に届くほどの高さだった。
しかし、気づくと猫柳師範は勇気の背後にいた。
「なっ!?」
驚愕する本元勇気。
猫柳師範はお茶漬けを食べている。
「今日は鮭茶漬けか」
「はい。師範の大好物ですよね」
卓郎は言う。
「うむ。おいしいぞ」
「くっ! なぜ僕の攻撃が当たらない?」
勇気は、悔しそうに言う。
「ふふふ。何故だと思う?」
「情熱、気品、優雅さ、勤勉さ。僕に足りないものなどはない!」
またしても蹴りを放つ勇気。今度は上段蹴りだ。
しかし、猫柳師範はお茶漬けを食べる動作で、軽く躱した。
「ちっ。勇気のやつ。心を乱されている。あのじいさんをよく見ないとダメだぜ」
俊哉は、由佳子の隣で、勇気と猫柳師範の闘いを、観察していた。
「そうね。勇気くんは、動体視力だけで相手を追っているわ」
「そうだ。あのじいさんの動きは、心の眼で見ないと追いつけない。勇気のやつは、自分の身体能力を過信しているが、喧嘩慣れしてないみたいだな」
俊哉は、腕組みを解いて、勇気に言った。
「勇気、目で見るな! 心の眼で見ろ!」
闘いの最中、勇気はだんだんと心が落ち着いてきた。
「心の眼……そうか。深呼吸だ」
闘いの最中、突如。勇気は深呼吸してリラックスした。
猫柳師範はお茶漬けを食べる手を止めた。
「ほう。分かったようじゃな」
「今、閃きました。感謝を込めて。心眼気合手刀!!」
勇気は、右手に気を集中させ、猫柳師範に閃いたばかりの必殺技を放った。
猫柳師範は、勇気の手刀を箸で受け止めた。
「熱っ!」
勇気は慌てて、手に息を吐きかけた。
「フーフーっ。熱いじゃないですか!」
「すまん、すまん。だが、お主も気を身につけたようでよかった。あちらの者もな」
猫柳師範は神龍寺俊哉の方を見て言った。
確かに、そこには全身に気のオーラを纏った、俊哉がいた。
「俺も分かったぜ。気のコツが。ありがとな、じいさん」
「ふふふ。卓郎、このお茶碗を片付けておいてくれ」
「はい、師範!」
卓郎はお茶碗を片付けに、奥の方へ行った。
残された三人に、猫柳師範は言った。
「実は、最近。この辺りで悪さをする連中がいてな……魔堕天と呼ばれるグループじゃ。知っておるか?」
勇気と由佳子は首を横に振る。
俊哉はそんな中、口を開いた。
「俺は噂で聞いたことがある。隣町で有名らしいな。俺は群れるのは嫌いだから、関わっていないが」
「近々、魔堕天が地下格闘技の大会に出るらしい。わしは悪い予感がするんじゃ。しかし、わしももう年じゃし、お主らに行ってもらいたい」
「その大会は、いつ行われるんです?」
「……一週間後じゃ」




