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後語り

 僕は――という形で、立花京介からの手紙は、終わっていた。果たしてこの続きがあったのかどうか、今となっては知る余地もない。また、この中途半端なエンディングにどういう意図があるのかも、私にはいまいちわからない。しかし、唯一わかることと言えば、立花は嘘をつくのが上手な人間であった、ということぐらいであろうか。

 彼の書いたこの小説は、非常に多くの嘘が混ぜられていて、彼を良く知っている私でなければ恐らく、その嘘には気づかないだろう。

 文中では自殺をほのめかすようなことを言っていたけれど、実際には、彼は行方不明ということになっている。

 死体が発見されることはなく。また、どこかで身柄を拘束されるようなこともなく。彼の生き死にを知る者はいない。

 けれど、彼が行方をくらませてから、七年が経った今頃、どうしてこんな手紙が送られてきたのかを考慮すれば、彼の思惑に少し、気づけるような気がするのだ。

 失踪宣告を受けてから七年が経過すると、その失踪人は死亡したと見なされる。つまりは彼も、七年が経った今ではすっかり、死人扱いである。

 そんな拍子に送られてきたこの手紙。

 もしかすれば、彼は私の知らないどこかで、生きているということなのかもしれない。

 前もって説明しておくが、彼は確かに、呼吸をするように嘘を吐く人間であり、なおかつそんな自分に嫌悪感を抱いていたのは間違いない。

 だからもしかしたら、失踪し、死亡扱いされ、生まれ変わりたかったのかもしれない。

 いずれにせよ、彼のこの小説は、素直になれない自分をどこか自虐的に書いたものであり、要所要所を彼の考えとは逆に捉えてみれば、彼をあまり知らない読者諸君にも、少しは彼の本当の気持ちがわかるのかもしれない。

 最後になるが、この場を借りて私から彼に、メッセージを伝えたいと思う。

 小説家という職業は、どうやら、面白い内容を書ければいいというものではないらしい。

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