後の祭りも大変だった。
朝日が完全に登って辺りが明るくなった頃。俺は後始末に追われていた。
『鷹ヶ城占領』の第一報は占領後直ぐに早馬で皇都に向けて送った。途中でカーラシア村とゼノンの街にも届けられるはずだ。
ゼノンの街では正規の連絡兵が待機しているから、そこまで連絡できれば俺の部下は帰ってくる予定になっている。
占領直後に本丸で俺の騎士団旗が振られたのを確認した第二大隊と俺直轄の衛生隊が、すぐに鷹ヶ城に入城してきた。
全員皮袋に川の水を入れてから来てくれたので、広場に並べた城内にあった空の桶は瞬く間にいっぱいになった。
その後は衛生隊による負傷者の救護が始まった。
何人かの重症者はいたものの、奇跡的に部下に死者は出来なかった。
ガルガラの話では、門を守っていた敵兵も水不足で脱水症状気味だったのか、力なく槍をふるうだけで簡単に制圧出来たらしい。
重症者は直ぐに魔法で治療した。
その他の軽症者も本人が嫌がらなければ治療したのだが、「包帯を巻いておけば治る。」と魔法による治療を拒む者がいた。
理由を聞くと「貴重な魔力をこれぐらいで使用するのはもったいない。」と言ってくれたので、ありがたく魔力を温存させてもらった。
しかし、後からガルガラに聞いた話では、「傷跡が残った方が箔が出る」と語っている者が多くいたそうだ。
まあ、その辺は本人の自由にさせる。俺なら痛いのは嫌だから早く魔法で直して欲しいんだがな。
負傷者は全員一足早く、カーラシア村まで帰還させる。
一応魔法で完治した者も、体力的には不安があるらしいので、彼らも一緒に帰還させた。
味方の治療が終わったら、次は捕虜の治療だ。
捕虜を治療すると言った時には皆に驚かれたものだ。
俺は3つの理由を説明して兵達に納得してもらった。
一つ目は衛生隊の訓練の為だ。
何せ実際に経験が積める練習台が一杯いるのだ。「包帯がもったいない」とか言った者には、「訓練に使う矢はもったいなくないだろう」と言って説得した。
二つ目は情報の為だ。
傷を治療してもらった敵は口が軽くなる。そうなれば敵の情報を得る事ができる。援軍が来るのか来ないのかがわかるだけでも大違いだ。
三つ目は今後の為だ。
あるかどうかわからないが、もしこれから帝国領内に進攻する事があった場合。
「敵兵を助ける」という噂があれば、敵は抵抗を諦めて捕虜になりやすいだろう。そうなれば敵の脅威が減る。
特に窮地に陥った敵兵が死兵となるのを防げる。
また、占領地の市民の感情もやわらげられる。
捕虜となった夫や恋人を殺した敵兵と治療した敵兵では、感情が変わるのはいわずもがなだ。
という訳で、部下たちを説得し、捕虜たちを治療した。
治療したと言っても部下たちとは違うやり方だ。
魔法で治療するのは命の危険がある者だけ、それ以外の者は応急処置を施しただけだ。
骨折は当て木をして固定しただけ。
刀傷はひどい者は魔法を使ったが、それ以外は傷口を消毒して、麻酔なしで縫い合わせて包帯を巻いた。
後は清潔にさえしていれば問題ないだろう。膿むかもしれないが、その時は魔法を使えばいい。
もちろん、他の捕虜たちにも水も与え、出来るだけ快適に過ごせるようにしている。
男の捕虜は何カ所かの小屋や倉庫に収容してケガ人たちの看病をさせている。
女の捕虜は本丸の一階に収容して、元気な者には俺達と捕虜全員の食事の準備をさせている。
材料は城に備蓄してあった食糧を頂戴した。
一応材料は部下に用意させて、監視の兵を配置したので、味方を巻き込んで俺達を毒殺しようとする様な事は出来ないはずだ。
しかし、工兵隊の他に司厨隊も作らなければならないと感じる。
これまでは自分の食事は自分達で作らせていたが、専門部隊があればいろいろ楽だ。
あと捕虜たちへの虐待は厳しく禁じた。
このため、金髪デブにご奉仕させられていた美女達も誰にも襲われていない。
捕虜たちへの虐待の禁止と共に、占領地での略奪、強姦を厳しく諌める教育を俺は部下たちに行っていた。
もちろん、虐殺などもっての外だ。
これらは、占領地に多大な悪影響を及ぼす。「百害あって一利なし」だ。
一応、俺の騎士団は防衛軍だが、今後攻撃に転じる可能性はなくはない。特に、鷹ヶ城を占領したこの段階では。
その教育のたまものか、美女の裸を見た者も強姦には走らず、城の宝物庫に殺到する兵もいなかった。
皆、規律正しく行動してくれたので、事後処理も順調に進む。
昼過ぎには、俺たちが踏み込んだ時に、本丸の一階や小屋などで重度の脱水症状を起こして倒れていた使用人や雑兵も復活したみたいだった。
十分な水を与えた後に食事をさせたのが良かったのかもしれない。
因みに、昼食は負傷者も多いので雑炊だった。
元気な物には雑炊の他に干し肉もついた。もちろん俺も干し肉に噛り付いた。
何せ、山登りした上に、魔力も使ったので腹ペコだったのだ。
昼食後、遠くにカーラシア村からこちらに向かって行軍してくる赤穂将軍の兵が視認できた。あと一刻もすれば先頭集団が入城してくるだろう。
赤穂将軍の正規兵は副将軍の弘司殿が率いてきた。
騎馬隊もいる総勢1000名を少し上回る規模だ。
俺が古鷹砦を造るまで、国防の最前線のカーラシア村で戦っていただけあって皆屈強な兵士たちだった。まさに騎士である。
俺の騎士団も全員騎士だが、見た目はやはり兵だ。
装備への金の掛け方が違う。もちろん鍛え方もだ。
1人1人の戦闘能力では明らかに赤穂将軍の兵が上だ。
そんな俺たちがたかだか5百名位で鷹ヶ城を占領したのだから、弘司殿の驚きは凄かった。
「五十嵐将軍、お疲れ様でした。たった10日程でこの城を占領できるとは思いませんでしたよ。
今朝早く、早馬が到着した時は将軍の騎士団が全滅したのかと思ったくらいです。
でも、その早馬が鷹ヶ城を占領したと伝えたてきたのでそれは驚きました。
将軍の騎士団は人数も少なかったし、まさかこれほど短期間で占領するとはと何度も確認した位です。
ここに来る前に、鷹ヶ城に皇国の国旗が上がっていたので本当だとはわかりましたが、いまだに信じられない位です。
一体どうやったのですか?」
「なに、簡単な事ですよ。ここに来る途中で痕跡を見たと思いますが、水攻めで敵主力を片付けて、黄色魔法で城の裏口から侵入しただけです。」
「そういわれても良く解りませんな。もっと詳しくお願いします。」
「まあ、それは後にしましょう。まずは、この城の引き継ぎをお願いします。」
「そうですな。では、お願いします。」
この後、夜まで色々な問題を弘司殿と話し合った為に、俺の騎士団の撤収は次の日の朝になってしまった。
話し合いが長引いた一番の理由は捕虜たちの扱いだ。
捕虜の数は非戦闘者と合わせて400人近くに上った。
彼らの今後をどうするかという事になったのである。
色々検討した結果。暫定的に、カーラシア村の駐屯地を一時捕虜収容所として使用する事になった。
暫定的なのは、国王様と赤穂将軍の許可が必要だろうからだ。
また、今後の展開次第ではあるが、騎士団の駐屯地を皇都からカーラシア村に変更する予定だ。
皇都から前線までが遠過ぎるからである。これも国王様と赤穂将軍の許可が必要だ。
今回は捕虜の監視の任務もあるので、皇都まで帰還するのは俺と鉄次さんとその他皇都周辺に家族がいる者達だけで、その他の者はカーラシア村に留まって交代で休暇を取って貰う事にした。
しばらくは事後処理で俺は皇都から離れられそうにないし。
もちろん、駐屯地にいる兵は訓練をしてもらうが。
カーラシア村に騎士団が駐屯でき、捕虜も収容できる理由だが、弘司殿率いる部隊が使用していた施設があるという理由の他にもう一つ理由があった。
それは、国王様に依頼していた兵糧がカーラシア村まで届いているという事だ。
それを聞いた俺はすぐさま、兵糧を持って来てくれた伊達将軍の騎士宛てに早馬をだして、兵糧はカーラシア村の駐屯地に置いておいて欲しいと伝えた。
兵糧を運んでくれた伊達将軍の騎士達も鷹ヶ城占領を聞いて驚いていたそうだ。
それはそうだろう。なにせ自分たちは鷹ヶ城攻略に必要な兵糧を運んできたのだから。
それも春まで持つようにという事は、攻略に春までかかると思っていたのだ。
それがまだ兵糧を渡してもいないのに、もう攻略したと言うのだから。
伊達将軍の騎士達は、兵糧を古鷹砦まで運ぶか、皇都に持って帰るかで悩んでいたらしい。
とりあえず、第二報をカーラシア村で待つ事にしてくれたらしいが、それが幸いした。
古鷹砦まで持って来て貰っても、またカーラシア村まで運ばなくてはならないからだ。
鷹ヶ城に残された兵糧はそのまま赤穂将軍の部隊に引き渡す事になった。
俺達が使うよりもその方が合理的だ。カーラシア村に行けば兵糧は沢山あるし。
宝物庫の財宝については俺の騎士団が頂いた。
金髪デブの部屋に飾ってあった宝石キラキラの高そうな剣は国王様に進呈して、残りは皇都の大店で売って現金化し、特別配当として部下にでも配ろう。
後は、今後の鷹ヶ城の改修についての話し合いというか、補強箇所の意見を伝えた。
まず、真っ先に思い浮かぶ水の問題だが、これは俺たちが侵入した裏口を給水用に整備する事で解決できるだろう。
敵にこの裏口を利用される可能性もあるが、ほそい急斜面の道だし、それに裏口の入り口にたどり着くには、古鷹砦を抜かなくてはならない。
古鷹砦が健在なら、裏口に多くの敵が侵入する事はないだろう。
ゲリラ戦的に少数の兵で給水部隊を攻撃してきた場合は正面の入り口から守備兵を付けて給水すればいいだけだ。
もし、正面に大部隊を配置して、裏口をゲリラ部隊で封鎖した場合?
その時は正面の敵を鷹ヶ城の兵力と古鷹砦の兵力で挟み撃ちにして粉砕すれば解決である。
このように、鷹ヶ城と古鷹砦、双方を連携させて運用すれば敵の反撃を防げると提案した。
その後は正式に鷹ヶ城の防衛は赤穂将軍の部隊に渡したので、俺達はささやかな祝勝会を開いた。
城に残っていた酒はこの祝勝会で大方無くなったが、次の日に二日酔いの顔をした者は見つけられなかったから、皆限度をわきまえての結果だったみたいだ。
次の日朝、荷車二台分の財宝と捕虜約四百人を引き連れて俺達はカーラシア村まで移動した。
部隊の移動に先んじて、昨日の晩に書いた国王様と赤穂様宛の第2報を皇都に届けるべく早馬が飛び出して行った。
カーラシア村では部隊の臨時編成(皇都に向かう俺の護衛部隊と駐屯地に残る部隊の編成)と駐屯地の一角を捕虜収容所に改造する作業を行った。
捕虜収容所は兵舎の1つを柵で囲んで、櫓をいくつか建てるだけで完成だ。
日頃からこのような作業も想定して訓練している工兵隊が短時間で作成した。
捕虜の扱いだが、とりあえず俺が帰って来るまで何もしない様に言っておく。「何もしない」とは、拷問はもちろん、尋問もさせない予定だ。
つまり、捕虜たちは俺が帰るまで、ただ食事をして、寝る、以外の事をする必要がない。
何か希望があれば指揮官の裁量の範囲で許可しても良いと言ってあるが、強制労働等は禁止した。
ただし、1つだけ監視の他にお願いした事がある。それは、情報収集だ。
情報収集と言っても、捕虜同士の会話を盗み聞きしてもらってその内容を記録しておいてもらうだけだが。
捕虜の尋問は結構テクニックがいる。
ただ恫喝するだけならほとんど情報が入らないだろう。むしろ警戒されてだんまりを決められるだけになるはずだ。
その為、俺が帰るまでは捕虜への尋問は禁止した。
俺もそこまで尋問のテクニックがある訳ではないが、多分、ここにいる誰よりも上手に情報を聞き出せるだろう。
部隊の編成や捕虜収容所の作成に1日の時間を費やしたので、俺が出発したのは次の日の昼だった。
俺と鉄次さんの乗った馬車をガルガラと約50名の皇都帰還組が守る形で行軍する。
居残り組は楓が指揮をとる。
といっても楓も休暇を与えてあるので、その間は第一大隊第一中隊の中隊長と交代する。
今日はゼノンの街で一泊し、皇都にはさらに途中で1泊するので明後日に到着予定だ。
急ぐ必要のない凱旋なので行軍は日中だけで、夜は途中の街で宿泊する予定だ。
街で宿泊と言っても、俺と鉄次さん以外は広場か駐屯地の天幕の中だが。
断っておくが、来た時同様に俺も天幕で寝泊まりする予定だったが、小隊長どころか兵達までもが
「凱旋の将が天幕なのはおかしいです。」
と直談判して来たのでやむなく宿を取る事にしたのだ。
もちろん、そんなに高い宿には止まっていない。
凱旋の途中、馬車の中では捕虜たちの会話の記録に目を通していた。
また、夜は国王様に提出する戦闘詳報を作成と結構忙しい凱旋となった。
捕虜たちの会話の記録はカーラシア村の分だけでなく、鷹ヶ城占領直後から、兵達が覚えていた会話を書き留めてくれたので、結構な量があった。
どうでも良いような事も多かったがかなりの情報を得る事が出来た。
この分だとカーラシア村に帰った際の情報も期待できそうだ。
ゼノンの街では事前に情報を伝えておいたので、俺は赤穂将軍の公邸で宿泊できた。
公邸内にいる人々は、鷹ヶ城占領の祝いの言葉を述べて喜んでくれているみたいだったが、街の中は情報を知らされていないのか祝賀的な雰囲気はなかった。
ゼノンの街を出てからも、途中で泊まったカカオリアスの街を含め通過したすべての村も来た時と変わりなく、とても凱旋しているとは思えなかった。
しかし、この状況は皇都では違った。
皇都に着くとまず驚いたのがその国旗の数だ。
城壁上にこれでもかと国旗が並べられている。
そして、俺達を確認したのか城門の近くまで行くと、数騎の騎兵が出迎えに来てくれるみたいだ。その他多数の兵が城門前で整列している。
「五十嵐将軍。大勝利おめでとうございます。僭越ながら城まで先導させていただきます。」
馬車の前まで来た近衛騎士団の指揮官はそう言って先導を始めた。
状況を察した指揮官達がこれまで馬車を挟む形で前後に展開していた部隊を、馬車を先頭に兵種ごとに分かれて隊列を組み直した。
護衛用からパレード用に変更した形だ。
俺の乗る馬車は近衛騎士団の指揮官の騎兵に先導され、今回騎乗していたガルガラを横に付ける形で、その後ろに50の兵を引き連れての行軍を開始した。
皇都の城壁を抜けた外縁部では、近衛騎士団の騎士達が等間隔で大通りに並び、その間から一般市民が旗を振って出迎えてくれた。
振られている旗はほとんどが国旗だが、俺の騎士団旗を振っている者もいた。
人々は内壁に近づくにつれまばらになり、内壁の中では誰もいなくなった。
まあ、皇都の内壁の中には貴族や豪商の他は役人しか入れないから当然と言えば当然ではある。
しかし、皇城の城門では近衛師団の小隊が左右に整列して迎えてくれて、開け放たれた城門内も、執務棟まで近衛騎士たちが等間隔で整列していた。
あっけにとられてその光景を見ていると、鉄次さんが疑問を解消してくれた。
「ここ何年か皇国は帝国に攻められっぱなしで、ずっと負け戦が続いていたんです。もちろん、それなりの被害を出していました。
将軍が鷹ヶ城を占領した事は、近年まれにみる戦勝だけでなく、今後は帝国による攻撃にさらされる事がなくなる事を保証するものです。
国を挙げて祝うに値する出来事なのですよ。」
そう説明して微笑む鉄次さん。
なるほど、そう言われれば、皇国の歴史を調べた時に内戦は除いて、他国との戦を撃退した事はあったが、その一部を奪った事はなかった。
鷹ヶ城は皇国の国境から少しの所にあるがまぎれもなく帝国領(元河南国領)だ。皇国史上初めて国境線が動いたことになる。しかも広がる方向に。
これは確かに一大事だろう。
そんな事を考えている間に事態はさらに進み、俺は近衛騎士団の指揮官に案内されて将軍に任命された時の部屋、「謁見の間」の前に案内された。
近衛騎士団の指揮官が脇に控えると軽快なラッパの音が鳴り響き、扉が内側に開いた。
前回と同様に、正面遠くにある国王様の座る台座まで、一直線に赤絨毯が敷かれている。
左右には着飾った貴族や武装した武者たちが並んでいた。そんな中をゆっくりと歩いていく。
居並ぶ人々と俺の服装のギャップがもの凄い。
槍を持った鎧武者や紋付き袴の男性人。そして、きらびやかな着物を幾重にも纏った貴族の夫人達。対して、俺と鉄次さんの服装は鷹ヶ城占領時と大差ない。
移動がしやすいように、というか予算不足のせいでもあるが、つけているのは革の鎧という軽装だ。
しかも、夜襲をしやすいように真っ黒に染めてある。
所々に行軍や戦闘でついた汚れまである。
唯一の救いは、野営する時用にと持って来ていたマントを馬車積んでいたので、馬車を降りる時それを鉄次さんが気を利かせて着けてくれたことか。
マントのおかげで何とか体裁は保てたが、滑稽な気がする。
せめて一度屋敷でお色直しというか、着替え位はさせてほしかった。
周囲の目線に晒されながら、ようやく国王様の壇上の前に着く。
前回教えられたとおり、片膝をついて青龍を前に立てて柄頭を両掌でおさえて指を伸ばす。
両手はなるべく直角に交差するようにする。
その状態で頭を下げた。
「五十嵐将軍。此度の戦、ご苦労であった。では、まず報告を。」
「は、この度我が騎士団は敵、鷹ヶ城の主力を古鷹川までおびき寄せ、水攻めにて大打撃を与えました。その後、夜襲にて鷹ヶ城を攻略、占領いたしました。その際、敵大将を討ち取る事に成功しました。」
「うむ、見事である。」
と、ここで国王様が立ち上がられた。
俺は儀仗礼のままでよく見えないが、どうやら俺の前まで来られたようだ。
そして、突然ラッパの音が鳴り響く。
「五十嵐将軍。貴殿を此度の戦勝により、男爵位を与える。」
そう言って国王様が銀の懐刀を渡してきた。
男爵位?そんなの聞いてないぞ。
と心の中で思いながらもとりあえず懐刀を受け取る。
「ありがたき、幸せに。」
なかばパニックになりながらもそう返せた俺は、自分を褒めてやりたい感じだ。
「うむ、期待しておる。」
そう言い残して、国王様が元の位置に帰られると、またもやラッパが鳴り響き、その後割れんばかりの万歳三唱が続いた。
万歳三唱が終わると、音楽隊により国歌が演奏され、その後まず国王様が退出し、続いて重臣達が後に続く。
その後国王様が退出された出口とは別の、俺が入っていきた出入り口から俺が退室し、戦勝祝い兼任命式は終了した。
退室した俺は、近衛騎士に呼び止められて待機室に向かった。
しばらく待合室で待っていると赤穂様がやって来た。
「おつかれさん。帰って来て早々に男爵位を授けられてすまなかったな。驚いただろう。」
「ええ、まさか何の情報もなく自分が主役の任命式に参加させられるとは思いませんでした。」
「そうだと思う。私も国王様も反対したのだが、加賀侯爵に押し切られた形になった。面目ない。」
「はあ、また加賀将軍ですか。」
「そうだ。五十嵐殿は相当加賀侯爵に嫌われているみたいだな。まあ、人の事は言えないがな。たぶん、戦闘でボロボロになった姿を晒そうという魂胆だろう。」
「たしかに、この姿は恥ずかしいですね。出来れば着替えたかったです。」
「加賀侯爵の一派は五十嵐殿のその姿を見て笑っていただろうが、民衆や我々からしたらかっこいい歴戦の騎士のようだぞ。」
「ご冗談を。」
「まあ、まだ話したいことが沢山あるのだが、時間がなくてな。とりあえず続きは歩きながら話そう。」
そう言うと、赤穂様は部屋を出て行く。俺もその後をついて部屋を出た。
「これからまだ何かあるのですか。」
「作戦会議だ。」
「作戦会議って何のですか?」
「これからの事について話し合う予定だ。鷹ヶ城は攻略出来たが、その後帝国領内に攻め込むのか、それとも守りを固めるのか。」
「つまり、戦略会議ですか。」
「戦略?なんだそれは。」
「戦略とは今後国としての軍事目標の事です。」
「なるほど、それを決める会議が戦略会議か。確かに、そうだな。今後国としてどうするか決める会議だからな。」
「で、現在の情勢はどうなんですか?」
「7:3位の割合で帝国侵攻派が有利だ。」
「侵攻派の先鋒はやはり。」
「加賀侯爵だ。」
「という事は、国王様や赤穂様は反対と言う訳ですね。」
「もちろんだ。侵攻するには兵力が足りな過ぎる。」
「でも、それじゃあなぜ侵攻派が有利なのですか?」
「伊勢侯爵に北条侯爵までもが侵攻を推奨している。」
「皇国の4侯爵の内3人が侵攻派ですか。」
「そうだ。伊勢侯爵は単純に領土拡大が目的で北条侯爵は戦争による金属類の需要を見込んでいるみたいだ。もしかしたら伊勢候爵も兵糧による利益が目的かもしれん。」
「厄介ですね。」
「ああ、まったく。戦闘を知らない貴族共が目先の利益に流されおって。国王様の意見を聞かないとは。」
「まったくです。しかし、そうなると。」
「ああ、侵攻は避けられないかもしれん。そうなると先方は五十嵐殿だな。」
赤穂様は言い終わると盛大にため息をはいた。心底参っているようだ。
俺がいない間にかなりの政争があったみたいだ。
「という事だ。まあ会議の成り行きを出来れば貴殿の知恵で何とかしてほしいのだが。」
「残念ながら、戦事の知恵はありましても、政争にはお役に立てそうにありません。」
「残念だな。」
ここまで会話をしたところで私達は、本丸3階のいつもの部屋の前に着いた。
中に入ると平民将軍はすでに全員来ていて貴族将軍の中では3番目だった。
これまでの私が座っていた場所ではなく、貴族将軍の側の一番末席に私の座布団が用意されていた。
着席してしばらくすると加賀将軍が取り巻きを引き連れ入って来た。
その顔はいやらしい笑みで満たされていた。
取り巻きの貴族将軍達も俺の姿を見て明らかに見下していた。
『おまえらの作戦だろ』っと思いつつも気にしないそぶりをする。
全員が揃ったところで、太鼓の合図とともに国王様のおられる部屋の襖が開いた。
「皆の者ご苦労である。さて、この場では今後我が国として帝国に攻め入るべきかどうかを判断したいと思う。
この場に先だって開催された貴族院太政会議では、騎士団が可能であれば侵攻すべしと決定された。よって、この場では主に我が国の騎士団が現状で侵攻可能かどうかの議論をしてもらいたい。意見のある者は?」
国王様の問いに加賀将軍が真っ先に手を挙げて発言する。
「は、私は今こそ帝国撃滅の好機と考えます。
敵主力はたった5百の兵の前にあっけなく敗走。我が国の騎士団の士気の高さと練度を持ってすれば敵兵恐るるにたらず。簡単に占領できるでしょう。」
……。あっけにとられるわ。よくもしゃあしゃあと。
そもそも確かに士気は高かったかもしれないが、俺の騎士団の練度はかなり低いと思うぞ。
それこそ必要最低限しか訓練できなかったのだから。
ひとえに勝てたのは、補給の概念でこちらが上回り、敵には予想外の罠が嵌ったからだと俺は考えている。
俺が唖然としていると、赤穂将軍が手を挙げた。
「加賀将軍は我が方が有利と言われたが、私は疑問である。
昔の河南国であったならば国力はこちらが有利であったので、今回の勝利で間違いなく戦力は逆転できよう。しかし、現在の相手は帝国である。
こちらの10倍近い国土を持ちその国力は脅威である。そしてその兵は対外戦を幾度とこなして来た者だ。我々とは経験が違う。
聞けば今回の敵兵は華南人の部隊との事。
帝国本国の部隊が出てきた場合、こちらに勝ち目はありません。」
「それは異なことを言われる。たとえ帝国本国軍が出て来たとしても我々の敵ではない。」
「その根拠は?もし帝国に侵攻した部隊が壊滅したら国を守る騎士団が居なくなるのだぞ。」
「なら、防衛に必要な人員を残して攻撃すればよい。」
「そんな中途半端な戦力で帝国を占領できるか!」
「そんな事やってみなければわからないだろう!」
「やってからでは遅いと言っているのだ!」
「まあまあ、二人とも落ち着きたまえ。」
加賀将軍と赤穂将軍の言い争いに発展したために、国王様が諌められた。
「加賀将軍。貴候の意見だが、現状防衛には赤穂将軍の騎士団が必要と考える。その他補給や予備の騎士団として最低3個騎士団。国内の治安維持にも5個騎士団は必要だろうと余は考えるがいかがだろう。」
「はい。そう思われます。」
「あの、恐れながら発言を良いでしょうか?」
そう言って恐る恐る手を挙げたのは平民将軍の一人、西条将軍だ。
「西条将軍。何かね。」
「はい、私の騎士団はご存じのように主に皇国北東部で魔獣を相手にしております。
私の騎士団が帝国に向かうとすれば魔獣やモンスターの被害がかなり出ると思われます。」
「なるほど、確かに。では西条将軍の騎士団も除いて、侵攻可能な騎士団は3個騎士団か。加賀将軍この戦力でどこまで攻められる?」
「3個騎士団だと華南部は十分に占領できると思われます。華南部を占領し、そこで兵を徴兵すれば十分に帝国を撃滅出来るでしょう。」
そんなとんでもないことを胸を張って発言する加賀将軍。
この人本当に軍事のプロかと疑いたくなる。
国力(この場合、領土と人口の事だが)を考慮すると帝国は100個騎士団相当の兵量を有しているかもしれないのだ。
皇国以外の近隣諸国とも戦争中という事を考えてもとうてい3個師団程度でどうにかなる相手ではない。
この瞬間俺の中で加賀将軍が馬鹿確定した。
「では、加賀将軍。貴殿が3個騎士団を率いて帝国に侵攻してくれ。」
加賀将軍の言葉を信じた訳ではないだろうが国王様がそう言われた。
「わ、私がですか?」
「そうだ。貴候が出来ると言ったのだろう?」
「そ、それはそうですが、私は、そう、シュウ王国の海賊どもが最近猛威を振るっており、その対策に忙しいのです。
ですから、そう、私の騎士団も侵攻できません。」
加賀将軍があわてて言い訳をしている。国王様はこれが狙いだったのか。
「では、残るは2個騎士団。その兵力では侵攻は無理だな。」
その国王様の一言で加賀将軍は悔しそうに眉をひそめ、赤穂様は安堵の表情を見せた。
「あのう、発言よろしいですか。」
そう言って小さく手を挙げたのは加賀将軍の取り巻きの一人、上杉将軍だ。
「何かね?」
国王様が嫌々といった感じだが発言を促す。
「えっとですね。確かに2個騎士団では帝国本土侵攻は無理ですが、ある程度華南部を切り取る事は可能ではないかと……。」
とここで防戦に纏まりかけた意見をひっくり返した。もう少し場の雰囲気をさっして欲しい。
そして、この発言で加賀将軍の目がキラリと嫌な輝きを放った。
「そ、そうです。この機会にある程度帝国の領土を切り取っておくべきです。華南部に少し進行する程度なら2個騎士団でも十分です。
それに、我が国には領土が少しでも必要な理由があります。
陛下。先ほど男爵に任命された五十嵐将軍は貴族とは名ばかりで領地がありません。彼に領地を与えるためにも、彼には自分でその領地を獲得してもらおうではありませんか。
そうすれば貴族院も納得するはずです。」
なに!!俺か。俺のためか?てか、ぶっちゃけ領地なんかいらないから。
てか男爵位もいらないから。だから俺の騎士団だけで帝国を相手になんか、かんべんしてくれよマジで。
「ふむ。」
ふむ、って国王様まさか侵攻可能とか言わないで下さいよ。
「国王陛下。いくら五十嵐将軍でもさすがに荷が重いかと。」
そう思っていると赤穂様が援護してくれた。
「だが、少し侵攻して華南部の領土を幾らか切り取るくらいなら五十嵐将軍なら出来そうな気がするがな。
なに、無理のない範囲で侵攻してくれればいいのだ。
『時間も侵攻する範囲も指定はしない。』それならどうかな?」
と国王様。いくら俺でもそれは無理なような。
「そうですな。『時間も侵攻する範囲も指定しなければ』確かに大丈夫かもしれませんな。」
と赤穂様までそんなことを……。
ん?『時間も侵攻する範囲も指定はしない。』?ってまさか。
ある事に思い当たり赤穂様と国王様を見ると何やら小さく笑って おられる。どうやら俺の考えは正しそうだ。
「では今後の方針として、五十嵐将軍の騎士団に帝国領へ侵攻してもらおうと思う。
『侵攻する時期と期間』については五十嵐将軍に一任する。
また、五十嵐将軍が占領した地域はそのまま将軍の領地とし、『最終目的地』も将軍に一任する事とする。
以上を決定事項とするが異論のある者は?」
国王様がそうまとめられて参加者を見回す。加賀将軍もにやけた顔で異論はないようだ。
「では会議を終える。」
国王様がそう宣言されて襖が閉められた。
会議が終わると早々に立ち上がった加賀将軍が俺の横を通る時に
「よかったな男爵殿。貴殿に領土が出来るぞ。せいぜい励みたまえ。」
と低い声で話かけてきた。
そして答えを聞かずに爆笑しながら出て行った。
……。
やっぱり馬鹿だ。国王様と赤穂様の意図に気付いていない。
俺も赤穂様と連れ立って退室した。
赤穂様の執務室に向かおうとしたところ、女性に声を掛けられた。
女性は国王様付の側女らしく国王様がお呼びとの事で、そのまま案内される。
案内されたのは先ほどの部屋の奥の国王様がおられた部屋の隣みたいだ。中に入ると国王様が一段高くなった上座で、肘起きに持たれながら待っていてくれた。
「赤穂将軍に五十嵐将軍。とりあえず座りたまえ。」
国王様は座り直しながらそう声を掛けられる。
とりあえず、俺も赤穂様に習って国王様の前に用意されている座布団に座った。
座布団の位置はかなり国王様に近く小声でも会話が成立しそうだ。
てか、かなり近すぎの気がする。
でも、この部屋にいる護衛の近衛やさっき案内してくれた側女達も壁際に張り付くように待機している事から、これからは密談が行われるようだ。
まあ、さっきの件に関してだろうが。
「まず、初めに五十嵐将軍。男爵位おめでとう。それと急な任命すまなかったな。」
「そんな、国王様に謝られるなど畏れ多い。確かに急でしたが、私にはもったいない物です。」
「色々迷惑を掛けるな。王といえども貴族共の意見が無視できなくてな。
将軍に爵位を与える条件として早急な任命式となったのだ。
貴殿は爵位はそれ程魅力ではない事は解っていたが、余の味方を少しでも増やしたくてな。これからも頼むぞ。」
「もったいなきお言葉。これからも変わりなく励んでいく所存です。」
俺は畳に付きそうなくらい頭を下げた。というより、畳についていた。
今まで国王様は結構貴族に好き勝手されているイメージがあったが、国王様は国王様なりに結構考えて行動しているようだ。
それでも加賀将軍の行動を見るに、一部の貴族はかなりの権力を持っていると思われる。
これからは国王様を見直さなければならなそうだ。
「うむ。でな、もうわかっているとは思うが、ここに来てもらったのは他でもない。帝国侵攻についてだ。
さっきも言った通り、この件は五十嵐将軍に一任したいと考えておるが、将軍はどう考える。侵攻可能か?
先ほどの会議の場では発言しなかったが。」
「はい、今の所はまだわからないと言うのが本音です。
まだ鷹ヶ城を占領したばかりなので、それから先の事はまだ考えていませんでした。
まずは相手の情報を知るのが先だと思います。」
「帝国の情報?100個師団相当の兵力を有しているが、そのほとんどは占領地からの徴兵兵で士気が低く装備や練度も低い。
本国部隊は多分本国から動かないだろう。
皇国以外の周辺諸国とも戦争状態にあるみたいだしな。
そんな感じだが、これでどうだ。」
「いえ、その情報ではあまりに不十分です。
殆どこちらの推測でしかありません。
本当に本国部隊は動かないのか。
どの国と戦争をしていて、その戦争にどれほどの戦力を投入しているのか。
こちらに裂くことのできる戦力はどれ位いるのか。
などもっと正確に調べるべきです。」
「なるほど、しかし、それが解ったとしてなんになるのかね。」
「敵の兵力を知る事はこちらにとってかなり有利になります。
正面から攻撃して勝てるのか。
奇襲をかける場合はどこにかけるのが一番効果的かなどかなり勝率を上げる事が出来ます。
『敵を知り己を知れば百戦危うからず。』
私の国の古い諺でありますが、その通りと私は考えます。」
「なるほど、赤穂将軍。彼はかなり変わった考え方をするようだね。」
「は、そうでなければたった500に満たない兵力で鷹ヶ城を落とせないと思います。」
「なるほど、確かにな。では、その判断にどれ位掛かるかね。」
「1か月は欲しい所です。部隊の再編に必要になると思いますので。」
「1か月が、結構長いな。まあ、この件は将軍に一任する事にしたのだ。口は出すまい。
しかし、出来れば少しで良いから領土を切り取って来てくれるとありがたい。貴族院を抑えるのも大変でな。」
「分かりました。善処します。」
「うむ。そうだ。それから、将軍の騎士団だが、新たに新兵を臨時に募集中だ。
どれくらいの人数が集まるかはわからないが、集まった人数をすべて将軍に任せようと思う。
もっとも、初期訓練もしていない本当の新兵で、使い物になる者が何人いるかわからないがな。」
「ありがとうございます。」
「うむ。後何かあるかな?」
「はい、実はですね。カーラシア村の赤穂将軍が使用していた駐屯地の使用を許可していただきたく思います。」
「うむ、余は問題ないが、赤穂将軍は?」
「は、部隊はすでに鷹ヶ城に移っておりますので、私も問題ありません。」
「では、許可しよう。他には。」
「はい、後、その駐屯地に現在敵の捕虜を収容中です。
詳しくは報告書を作成しましたので後程確認いただければと思いますが、この捕虜たちの処遇についても一任していただきたく。」
「うむ、捕虜が居たのか、まあ当然か。よいぞ、将軍の思うようにせよ。ただし、捕虜の分の経費は出せぬが。」
「は、経費に関しましては、今回の作戦でご用意いただいた兵糧をそのまま頂ければ問題ないかと。」
「そういえば、春まで持つ分の兵糧を渡したな。
予想よりかなり早く鷹ヶ城を落とせてかなり余っているという事か。
かまわん。一度将軍に与えた物だ。好きにするが良い。」
「は、ありがとうございます。」
「うむ、他は何かあるかね。」
「いえ、以上であります。」
「うむ、赤穂将軍は?」
「は、こちらもそれ程は、後で鷹ヶ城修復の経費と維持費の請求をさせて貰う事となりますが…」
「そうだな。分かった。税務管理局に出しておいてくれ。」
「は、ありがたく思います。」
「うむ、では両名共良い報告を期待しておるぞ。」
そう言い残して国王様は退室された。
その後、赤穂将軍と少し話をした後にようやく俺は家に帰る事が出来た。
赤穂様と話をした結果、加賀将軍は俺が皇都を出発してからかなり暗躍したそうだ。
実際、赤穂将軍があれこれ手を回してくれなければ、兵糧の到着はもっと遅れていたみたいだ。出発がかなり遅れたと言っていた。
それでも何とか5日遅れで出発できたのは国王様や赤穂様、伊達将軍の尽力があっての事だったようだ。
その他にも色々と小細工されていたようだが、俺が予想以上に早く鷹ヶ城を攻略したために、実を結ばなかったとか。
危ない危ない。
春までと保険を掛けずに、直ぐに攻略してきますとか大風呂敷を広げていたらどうなっていたことか。
後で、国王様と伊達将軍に感謝の手紙でも送っておいた方がよさそうだ。
もちろん、赤穂様にはこの場で感謝の言葉を述べておいた。
しかし、加賀将軍。やっぱり、俺が帝国に攻め込んだら死ぬと思っているんだろうな。
まあ、その予想を大きく覆してやるがな。
こうして、鷹ヶ城占領時並みに気力を必要とした長い1日がようやく終わりを告げたのだった。
戦闘は勝利するのも大変だが、その事後処理もかなり大変だと気付かされた一日だった。
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