奴隷でハーレムはユメのようです。
少しえっちぃ表現があります。ご注意ください。
鉄次さんに案内されたのは、商工省の人員管理課という役所の建物だった。
外見は他の役所と同じような石造りの3階建てで、看板なども全くなく、門に警備員と思われる人がいるだけだ。
門をくぐり馬車を建物の入り口で降りて中に入る。
入って直ぐの受付で鉄次さんが何やら聞くと、受付の人が建物を突き抜けた先にある別館に案内してくれた。
別館に入って直ぐのソファーで待つように言われて腰掛けると直ぐに鉄次さんと同じくらいの年齢の男性が現れた。
「五十嵐将軍でいらっしゃいますね。ようこそいらっしゃいました。
お待ちしておりました。この度は将軍職就任おめでとうございます。
私、商工省人事管理課の副課長で奴隷部門と担当しております榊と申します。以後お見知りおきを。
そして鉄次さん。副将軍おめでとうございます。ついに夢の奴隷持ちですか。同期の中で一番の出世ですね。」
「あ、将軍。榊は俺の同期で一緒に人員管理課就任を争った仲なのですよ。
結局あの時は俺が負けて、人気のない残り物の軍務部調達課に回されたのですが、それからもずっと奴隷について聞かされ続けていたのです。」
なるほど、鉄次さんの奴隷持ち願望はこんなところで増大されていたのか。
しかし、なんで初めから人員管理課希望なのかは聞かない事にしておく。
「まあ、私は奴隷の管理が仕事ですが、実際に奴隷持ちになられる鉄次さんの方がうらやましいですな。
では、無駄話はこれ位で、奴隷を見て貰いましょうかな。ついて来てください。」
一通り挨拶の様なものが済んで、場所を2階の1室に移す。
この部屋はホールの様な大きさで一人掛けのソファーの様なゆったりとした椅子が2脚と、その中間に小さなテーブルが置いてあるだけで、他は何もない部屋だった。
椅子に座ると女性の職員がコップに入った水とおしぼりを持って来てくれた。
「始めにお伺いしますが、何かご希望はございますか?」
「いや、特にない」
本当に希望はないのでそう答える。
「では、一級の奴隷たちを用意しましたのでご覧ください。
1級奴隷は今現在15名在籍しております。年齢について幅があるのはご了承ください。」
そう言うと外に向かって手を叩く榊さん。直ぐにドアが開いて女性が入って来た。
女性たちは皆首に赤い首輪をつけており、服は白い浴衣の様な服だ。帯まで白かった。
一瞬裸で出てこられたらどうしようと焦ったが、良かった。
でも、よく見ると、その服は白でも結構くすんでいて、所々汚れていた。
これが奴隷の扱いなんだろうか。近くに行くと臭いそうでいやだ。
始めに出て来たのは20代前半といった感じの女性だ。
20歳前には結婚しているのが普通で早ければ15歳での結婚も当たり前なこの世界では、年を取っている方だろう。
まあ、容姿は顔、体共にモデル級だが。
その後に、10代後半位の娘達が6人続く。
特筆すべきは2人目の子で、かなりの巨乳だ。ついつい目が奪われてしまうのは仕方がない。俺は直ぐに目をそらしたが、鉄次さんはガン見だ。
その後、10代前半と思われる少女が3人。最後は幼女と言うしかない子が4人出てきて並んだ。
どうやら年齢順に並んでいるようだ。
ドアが閉まると全員こちらを向き、腕を後ろに回して直立する姿勢をとった。
「どうですか、皆綺麗な娘ばかりでしょう。
一応ご説明をさせていただきますが、ここにいる全員が了承して国に身を売った正当な一般奴隷です。
全員主人の命令を絶対に実行する様に教育しています。
前から3人は経験済みですが、床の方はしっかりとこなせる様に教育しておりますので、ご満足いただけるかと。
その他の娘達は処女となっておりますが、経験がないだけでしっかりと教育は行っておりますのでこちらも十分満足していただけると思います。
その他、奴隷としての礼儀作法から家事全般に至るまでしっかりと修めた優秀な娘ばかりになっております。
どうでしょうか、どなたか気になった娘はおりますでしょうか。
なんでしたら側に行ってご確認いただいてもよろしいですよ。」
そう榊さんが問うて来た。
横を見ると、鉄次さんは4番目に入って来た娘、こちらからだと、ドアが左にある関係から右から4番目の巨乳の娘に夢中なようだ。
「どうぞ鉄次さん、近くで確認して来てください。私はもう少しここから選ばせて頂きますので。」
今にも立ち上がりたそうにしている鉄次さんにそう声を掛ける。
鉄次さんは解りましたとばかりに立ち上がって奴隷の娘達の方に向かう。
初めに礼儀なのか誤魔化しなのか3番目の娘の前に行って主に体の品定めをした後に、直ぐ4番目の娘の所に移動する。
いやいや、そんな事しなくても、もう皆あなたの狙いは解っていますから。
同じ考え方なのか、20代の2人と初めに品定めされた3番目の娘も顔には出してないが目を細くしてそんな鉄次さんを見ている。5番目の娘もだ。
まあ、鉄次さんは間違いなくあの娘で決まりだろう。私も早く3人選んで帰るかな。
そう考えて改めて奴隷の娘全員を観察する。
とりあえず、前3人は除外だ。理由は性病が怖いから。
この世界には抗生物質などないだろうから、いろいろ仕込まれる段階で病気をもらっていたら怖い。
この世界にもエイズとかあるかはわからないがそんな危険もある。
もっとも、奴隷を買ったから直ぐに性欲に使うというつもりはないが、同じ理由で風俗もいけないし、将来手を出してしまうかもしれないからだ。
なんだって俺も男なんだし。
という事で残りの娘達を改めて見渡す。
鉄次さんのお気に入りの娘は、別に俺は巨乳好きって訳でもないし、てか、その娘の巨乳が大き過ぎて逆に好かないのでパス。
もちろん鉄次さんの娘を横取りする趣味もないしね。
次の5番目の娘は隠そうともせずに鉄次さんを白い目で見ていて性格が悪そうなのでこの娘もパス。
こちらの世界ではちょうど結婚適齢期に入ったばかりの様な続く3人は、目をふせて我関せずな感じだ。
少しでも目立たなくしようと考えているみたいだ。どうやら買われたくないらしい。
次は十代前半の少女達3人。
まだ発育途中で体は幼い感じだが、顔はさすがは一級だと言わんばかりの美少女達だ。
後5年もすれば美女になるだろう。が、今の段階では手が伸びない。
彼女たちは鉄次さんの方ではなく俺をチラチラと見て様子を伺っている。
どういう意味なんだろうか。目が合うと顔を赤くしてうつむいてしまうがそれでもチラ見はしてくる。
残りの4人はもう幼すぎて家事も手伝えそうになく、小次郎さんや梅さんの手を煩わせるだけの様なのでパスである。
まあ、俺に買われたくないみたいだが、6、7、8番目の結婚適齢期に入ったばかり娘達にしようかな。
一応家事さえしてもらえればそれで良いし。そう考えていたところに榊さんが声を掛けて来た。
「どうですか将軍。気に入った娘はおりませんでしたか。」
その一言は俺でなく、奴隷の娘達に大きな影響を与えた。
20代の2人はもちろん、うつむいていた6、7、8番目の娘達まで突然俺に自分をアピールし出したのだ。
さっきまでの『買うな』という雰囲気が一気に逆転する。
鉄次さんにまとわりつかれていた巨乳ちゃんまでもが胸を俺に対して強調しだした。
巨乳ちゃんの両隣の娘も体をくねらせてこちらにアピールしてくる。
それを見た俺は思わず顔を手で覆ってしまった。
「将軍の御眼鏡にかなう娘はおりませんか。」
顔を覆った俺を見た榊さんがそう言ってきた。見ると美女達のアピールがさらに激しくなったように思う。
「皆、『将軍』に買われたいのですかね。」
堪らずそう榊さんに聞いてしまった。
「そうですね。貴族様はどうしても奴隷をぞんざいに扱いがちですので奴隷たちはできれば貴族様以外の所に行きたがります。
特に将軍職の方はこの国でも上位者ですし、これからもっと出世される可能性がありますから。
そういったうわさがどうも奴隷たちの中で回ってしまっているようで。」
「なるほど、それがこの彼女達の行動ですか。」
「すいません。言い聞かしてはいるのですが。」
そう言われて改めて見回す。年長者達の露骨なアピールはなりを潜めたが、それでも俺をしっかりと見つめて来ている。
視線を若年者の方に向けると幼女たちはさっきの会話の意味を理解していないのかぽかんとしていた。
少女たちはなぜか諦めの表情だ。
なんか、年長者のアピールを見て自分たちなんかは無理だとあきらめたようだ。
その表情がなんとなく俺のあまのじゃくな心を刺激する。
この子達を指名したらビックリするだろうなと。
もちろんそれだけじゃない。彼女達なら十分に小次郎さんや梅さんの手伝いを出来るだろうし、表情を隠す事を覚えている年長者達に比べて素直な表情のできる娘達の方が好意が持てるというのもあるからだ。
しかし、やっぱりこの時一番思ったのは、この素直な子達をほっとけないと言う思いだったのかもしれない。
「お気にめした娘がおられないようなので、他の娘を呼んでまいりましょうか。」
そう榊さんが言うと、幼女以外の娘達が一様にがっかりした表情になった。
「いや、鉄次さんはその娘で良いのですよね。」
榊さんに許可を貰ったのか、今や巨乳の娘の胸を鷲掴みにしている鉄次さんに話しかける。
「あ、はい。もちろん将軍がこの娘が良いのなら他の娘にしますが。」
「いえ、その娘で結構です。わたしはこちらの3人をお願いします。」
そう言って少女達3人を指さす。
指さされた少女達はもちろん、アピールしていた娘達も凄く驚いていた。
あんな見え見えのアピールで指名して貰えると思ったのだろうか。
その後、榊さんに4人を残した他の奴隷の娘達が部屋を追い出された。
年長者達が部屋を出る時不貞腐れた表情で出て行ったので自分の判断が正しかったと思った。中には露骨に舌打ちをしていく娘もいた位だ。
榊さんは奴隷たちを退室させた後、自分も書類を取りに行くと出て行った。
榊さんが出て行くと、俺が指名した少女達はそろって俺の前まで来て深々と頭を下げた。
「ご指名いただきありがとうございます。ただいまから一生懸命お仕えいたしますのでよろしくお願いします。」
決まり文句なのか3人が声を揃えてそう言ってきた。
「初めまして、私は五十嵐という者です。最近将軍職に任命されました。これからよろしく。」
俺からも返事の言葉を返す。少女達は少し驚いたようだが、直ぐに平静を装って、俺の横に控えた。
「しかし、将軍。若い娘の方が良いのは解りますが、ちょっと若すぎませんか。そんな平らな娘では物足りないでしょう。それとも将軍はそういった趣味ですか?」
もはや遠慮はなくなったのか、鉄次さんが服の中に手を入れながらそう聞いてくる。
「鉄次さんと一緒にしないでください。性格がよさそうな娘を選んだだけです。
それよりも鉄次さん。もう少し自重したらどうですか。ここは役所の中ですよ。」
私はそんな鉄次さんを見て再度顔を手で覆いながら答えた。
「あ、すいません。ついつい。続きは家に帰ってからにします。」
鉄次さんがあわてて巨乳ちゃんから手を放す。
そんなことをしていると榊さんが帰って来た。
鉄次さんは再び椅子に腰かける。巨乳ちゃんは自然と鉄次さんの側に控えた。この巨乳ちゃんも性格は悪くなさそうだ。まあ、内心の所は解らないが。
帰って来た榊さんはそれぞれの奴隷の金額について話始めた。
「将軍様にご指名いただいた奴隷は3人合計で金貨220枚となります。鉄次さんの方は金貨100枚です。お支払いはどうされますか?」
「持って来ているので、それで。」
俺はそう答えて懐に入れておいた皮袋二つと、腰に下げておいた皮袋から金貨20枚を取り出して榊さんに渡す。
鉄次さんも懐から皮袋を1つ出して榊さんに渡していた。
この世界の金貨は意外と小さい。厚みは5㎜位あるのだが大きさは1円玉位だ。
それでも300枚はかさ張るし重い。100枚入りの小袋2つで懐はいっぱいになってしまい、もう一つは腰から下げていた。
ここに持って来たのは金貨300枚だ。
事前に将軍などが買う1級奴隷は金貨100枚弱の値段だと聞いていたので300枚持って来たのだ。
因みに、本来なら副将軍は1級ではなく2級の奴隷を勧められるが、今回は俺と同行したために、鉄次さんも1級奴隷が買えた。
金貨100枚ならかなりの上等な奴隷と判断できる。俺の指名した3人はまだ若いのでそこまでの値段ではないのだろう。
金貨の数を数え終わったのか再び榊さんが戻って来た。手には書類を持って来ている。
「お代金は今数えておりますが、大丈夫だと思いますので書類を持ってまいりました。こちらに署名をお願いします。」
そう言って俺に3枚、鉄次さんに1枚書類が渡された。2人とも素早く署名を済ます。
「では、いまから一通り決められた注意事項を説明します。」
書類を回収した榊さんは署名を確認した後に注意事項の説明を始めた。
簡単に訳すと、「奴隷を殺すと殺人で罪に問われる事」や「殺人罪の除外項目について」また、「奴隷の衣食住を保障する義務」や「国の許可しない者への譲渡の禁止」「譲渡する際の税について」と「売買の禁止について」などであった。
それらの説明が終わった段階で正式に奴隷の取得が終了した。
すべての手続きが終了し、榊さんに見送られながら俺は人員管理課の建物を後にした。
鉄次さんは榊さんに辻馬車というタクシーの様な馬車を手配してもらっていたのでその馬車で直接帰宅するそうだ。
なので帰りの馬車には俺と奴隷の少女達しか乗っていない。
奴隷少女達は俺の正面の席に3人並んで座っていた。
皆大人しく席に座っている。少しうつむき加減にしているが、時々こちらをチラ見するのは可愛いと思ってしまう。
こうして見ていると皆美少女ばかりだ。
つい表情が緩んでしまうが、それよりもさっきから少し気になる匂いがする。
やはり、1級奴隷といえど、清潔にはさせて貰ってないようだ。
奴隷部屋に風呂を造ったのは正解だった。
家に着くとまず居間で小次郎さん達を紹介する。
続いて奴隷たちを名乗らせようとして、名前がないと言われた。
「あの将軍様。奴隷は主人が出来た時に、主人から名前を貰うものなのですが、将軍様はまだ名前を与えておられないのでは?」
無いわけないだろうと思っていたら、そう小次郎さんが教えてくれた。
「そうなのですか。では私が名前を付けてあげればいいのですね。といっても直ぐには思いつかないですね。以前の名前を使うのはダメなのですか。」
「そういった方も中にはおられますが、奴隷になる前の名前は未練が残ると言われておりますので。」
「なるほど、では前の名前を参考に少し変えた名前を付けるのはどうですか。」
「それなら別に良いと思います。」
「では、以前の名前を教えてくれますか。」
そう奴隷少女達に聞くと年長の娘から順番に答えてくれた。
「桜子です。」
「百合子です。」
「梅です。」
「これは、見事に全員花の名前ですか、珍しいですね。」
「20年程前に花の名前を付けるのが流行った時期がありまして、その影響だと思います。」
「なるほど、そんなことがあったのですか。では、新しい名前ですが、そうですね。
『桜香』『百合花』『小梅』としましょうか。どうでしょう?」
「珍しい名前ですが、良いのではないでしょうか。彼女たちの雰囲気にもあっているかと。」
「ありがとうございます。名に恥じぬように頑張ります。」
「素敵な名前かと。ありがとうございます。」
「ありがとうございます。頑張ります。」
なんか少し適当感もあるが、本人たちは気に入ってくれたようだ。
まあ、悪魔とか名付けても感謝の言葉が返ってきそうではあるが。
因みに、『オウカ』『ユリカ』と来たので小梅も『~カ』としたかったが、梅は『バイ』以外の読み方が思い浮かばなかったので『小梅』となった。『バイカ』は主義に反するので。
「では、顔見世はこれ位にして、まずは君たちの部屋に案内する。ついてきなさい。」
そう言って改装が終わった奴隷部屋に連れて行く。
「この部屋が君たちの部屋だ。部屋はいつも綺麗に清潔にしておく事。
それから、部屋に置いてある物は何でも自由に使って良い。というか、積極的に使ってほしい。
とりあえず、今から4分の3刻時間をあげるから、まずは風呂に入って体を綺麗に洗いなさい、その際備え付けの石鹸を使用するように。
その扉の向こうのが君たち専用の風呂場だから。最低でも4分の1刻以上かけて体を綺麗にすること。
風呂が終わったら、箪笥に入っている服を着なさい。
一番気に入ったのを着て来るように。
それから、化粧台に置いてある飾り紐なども自由に使って良いからなるべくおしゃれして来るように。
終わったら居間まで来なさい。ではまた後程。」
部屋に入って固まっている娘達に、とりあえず言いたい事を言うだけ言って居間に戻る。
4分の3刻後、どのような格好で彼女たちが現れるか楽しみである。
居間に戻って料理場を覗くと、夕食の仕込みが始まっていたので、小次郎さん達に夕食は1刻後にとれる様にお願いして、四朗さんに馬車を出してもらった。
馬車で出かけた先は本屋である。
この国の歴史本と庶民が読む用の法律書、この国と周辺の地図、それから読み書きを覚えるための本を買った。
この時代だから識字率も低いし本は高いかと思ったが、そうでもなかった。
なんでそんなに安いのかと聞くと、店主が白魔晶石を使った写本の方法を教えてくれた。
原理は簡単だ。天板がガラスの机の下で白魔晶石を光らせる。
そしてガラスの上に写したい本を分解した紙を置き、その上に新しい紙を置く。
すると下の字が透けるので、後はなぞって行くだけの作業だ。
この方法をとると、文字を知らない人でも簡単に写本できるので値段がそれ程でもないそうだ。
なるほど、電球の技術が活版印刷の技術よりも先だとこういう風になるのか。
たしかに、ロウソクとかの火だとガラスに煤とか着きそうだし、ガラスも熱くなったりするだろうが、熱を出さず、強烈な光を出す事が出来る白魔晶石ならこの方法は便利だ。
本屋で思わぬ勉強をさせられた。やはり、勉強は大事だ。
まずは今買ったこの国の歴史から勉強せねば。と思いつつ帰宅する。
因みに、さっき買った地図は方位磁石がまだないので、大まかな街道や川の道筋と海岸線が書かれただけの物で、一目で正確でないことがわかるが、書かれている地名などは参考になる為に購入した。
家に帰ると四朗さんを家に帰した。
まだ少し時間があったので居間でくつろぎながら先ほど買ってきた歴史書を読む。
皇国はこの大陸でもかなり古くからある国みたいだ。
初めの方は古すぎてあまり参考にならないなと思いながらも読んでいると時間になったのか奴隷少女達が居間に入って来た。
居間と廊下の間の襖は全開にしていたので、彼女たちが声を掛ける前に気付いた。
入り口で並んで立っている彼女達に声を掛ける。
「とても綺麗になりましたね。」
実際に彼女達はかなり綺麗だった。
桜香は長く伸ばした髪を首の後ろ辺りで一つにまとめており、服は無地の薄い赤の着物を着ている。
帯まで赤系の物にしたのは名前を意識したのかも知れない。
グラビアアイドルのような顔立ちもあってすっきりしたお姉さん系だ。後5年したらだが。
百合花は逆に白地に青の模様が入った着物を着ていた。
帯は細い黄色の物だ。髪は肩より少し上位なので紐でくくらず、櫛で梳いただけのようだ。
小梅は赤字に何色かの模様が入った派手な着物で、帯も模様入りの派手な物だったが、背が低く顔立ちもかなり幼いのでそれほど気にならない。
むしろかわいい子供という印象だ。髪は後ろでくくりたかったが、出来なかったのか右に少しずれていた。
3人とも、着飾ったおかげでとても人員管理課であった人物と同じとは思えない変わりようだ。とても綺麗になった。
「小梅の髪形を少しいじらせて貰いますね。」
そう言って中途半端に横にずれていた髪を真横に持っていってくくり直す。この世界では可笑しいかも知れないが、前の世界で見慣れている俺には可愛くなった。
小梅の髪をくくり直している時に、3人とも良い匂いをさせていたので、ちゃんと石鹸を使って体を洗ったみたいだ。
小梅から離れて改めて3人を見渡す。3人とも少し恥かしそうにしていたが、どことなくうれしそうだ。
「おやおや、これはまたかなり可愛くなりましたね。こんな可愛い奴隷など初めて見ましたよ。」
ちょうど食事の用意をしに来た梅さんが奴隷たちを見てそう言う。
「そうでしょう。やはり、奴隷を着飾るのはいい事でしょう。」
「そうですね。これほどになるとは。
これまで奴隷は汚いものだと思っていましたが、この方がいいですね。
良い匂いもさせて、何処へ連れて行っても大丈夫そうではないですか。
でも、その恰好では家事は難しいですね。」
「そうですね。今日はもうこのままでいいですが、普段はもう少し作業しやすい服装をするようにさせましょう。ということで、そのように。」
「分かりました。」
桜香が代表して答える。
「それから、暇な時で良いからこの本で字を勉強してください。読み書きは出来ませんよね。」
桜香が他の2人を見てから答える。
「はい、できません。ありがとうございます。頑張って勉強します。」
「よろしくお願いします。急がなくて良いので。それよりもまず、小次郎さんと梅さんの手伝いの方をお願いします。」
「はい。」
その後、これからの注意事項(毎日風呂に入るように等)を説明してから食事をとる。
もちろん、全員で同じ食卓で同じ食事を取る事に桜香達は驚いていたが、俺の希望だと言っておいた。
そして、きちんと布団で寝るように言い聞かせてから、後片付けの手伝いを任せて、俺は一人寝室に戻り就寝した。
一応朝まで1人で寝た事を強調させて貰う。俺はロリじゃない。はずだ。