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初めての一大事業

 次の朝。自分では結構早いと思われる時間(時計がないので太陽の動きでしか時間が分からないので)に朝食をとった後港に向かった。

 港までは少し遠くて、途中で「自転車を持ってきたらよかったかな」と思ったが、ここで自転車に乗ると間違いなく騒ぎになるだろうと思い直したぐらいである。


 港に着くと、昨日唐助さんが約束してくれた通り、東側に泊まっていた船はいなくなっていた。

 湾の中央には昨日と同じように1隻しか止まっていないところを見ると、ただ単に、荷役が終わって出港しただけかもしれないが。

 で、その東側の岸壁の前には数人の人々がたむろしていた。

 多分昨日頼んだ手伝いの人達だろう。けっこうごっつい感じの人達だ。

 その人達に近づいて声を掛ける。



「おはようございます。私が颯太と言いますが、拡張工事の仕事で来ていただいた人達ですか?」


 そう声を掛けるとその中で一番強面の人が返事を返してくれた。


「おお、そうだ。お前が颯太か。貧相だな。ガリガリじゃないか。まあいい。

 俺はこの新港での港務をやってる『は組』の組長、権俵だ。

 お上の仕事ってんで、しゃあなしに若いのを4人連れて来たが、船を1隻しか入れねえで、なのに工事には4人しかいらんってどういう了見だ。俺の組員を食わせねえ気か。」


 なんか、ものすごい不機嫌そうにそう言われた、というか怒鳴られた…。

 どうやらこの組長さん、船の荷の積み下ろしを仕事にしているみたいだが、船を1隻入れなかったのに、あまり人を雇わなかったために怒っているらしい。

 まあ、これまでの水車小屋を造ったりは1人でやってたし、あまり経費がかさむのもどうかと思って4人しか頼まなかったけど、

どうやら、それが裏目に出たらしい。


「すみません、組長さん。ですが、この工事が終われば、来週には4隻が同時に入港できるようになっているはずですから。」

「あん、来週ってそんなに早く工事が終わるのか?」

「ええ、うまく行けば4日後には終わるはずです。」

「そんなに早く終わるのか。」

「ええ、ですからその間は組員さん達の休養日という事で。」

「うむ、まあ、そんなに早く終わるなら、許してやるか。」

「ありがとうございます。」


 ふう、何とか納得してくれたようだ。で、次は、


「えっと、ではあなた方は大工の方達でよろしいでしょうか。」


 組長さんと少し距離を置いて集まっている人たちに声を掛ける。


「ああ、この町で大工やってる河合衆の棟梁、五郎だ。まあまあ腕の立つ奴らを3人連れてきた。

 俺もお上の仕事というから参加させてもらう。

 でも、ほんとに俺らで良いのか?俺らは大工だぞ。

 家を造るのなら任せてもらうが、港を造るなら、土方じゃないのか?」

「ええ、あなた達大工さんが必要なんです。

 私はこれでも黄色魔法が使えますので土方の仕事は大概出来るんですよ。

 今回はけっこう木材の加工が多いので、手伝って貰いたいのです。」

「まあ、そういう事なら。木材の加工は大得意だから、そっちは任せてもらおうか。」

「ありがとうございます。もうすぐ材料が届くと思いますので、届いたらこの指示書通りに加工してほしいんです。」

「これか、うむ、かなり細かいな。わかった。作らせて貰おう。」

「ありがとうございます。では、材料が届くまでしばらく待っていてください。後は…。」


 と辺りを見渡す。


「ん、漁民か?奴らなら岸壁の下で待機してるぜ。」


 っと、俺が何を探していたのか気づいた組長が教えてくれる。


「ありがとうございます。」


 組長にお礼を言って、岸壁から下を覗き込む。

 そこには5艘の船とその船に1人ずつ真っ黒に日焼けしたこれまた体格のいい人たちが上を見上げていた。


「すいません。私が颯太です。いまからそちらに行きますね。」


 そう漁民の人達に言ってから左右を見渡す。そして、両手を広げながら少しずつ横に移動していく。

 何をしているかと言うと、左右の岸壁の長さを計っているのだ。

親指を立ててみたりしてちょうど左右の岸壁の長さが一緒になった位置、つまり中間地点を見つけ出す。

 両手を広げたのは目安にするためだ。


 中間地点は大通りの中心より少し西側にずれていた。

中間地点を見つけると、岸壁の角に手を当てて魔力を送り込んだ。

イメージ通り岸壁に奥行き30㎝程の垂直な溝ができる。そして、その溝には等間隔で石柱が横に並んでいた。

 そう、梯子を造ったのだ。岸壁の長さを測ってたのはちょうど中間に梯子を作りたかったからだ。

 「おお~」とか「なにぃ」とか言う声が上と下から聞こえるが、とりあえず気にせず梯子を下りていく。

 岸壁から海面の高さは3m位だ。

 海面ぎりぎりにまで下りると、今度は梯子の左右の石に魔力を送り込んで、石にフックの様なかぎ型の突起を作った。


「ここに船をつけてもらえますか。」


 そういうと、5艘の船は近づいて来てくれた。

 よく見ると、昨日注文した通り、5艘のうち2艘はやや大きいようだ。

 船が近づいて来るのを確認すると、岸壁の上に戻る。


 岸壁の上に戻ると、大きな馬車が2台到着したところだった。

 停車した馬車からは颯爽と1人の男性が飛び降りてこちらに向かってくる。

 唐助さんだ。


「そちらにおられましたか。言われていた材料を持ってきました。

 大型の木材はやはり半分ほどしか準備できませんでしたが、それ以外はすべて持ってきましたよ。」

「ありがとうございます。」


 そう言ってから馬車の荷を確認していく。


「おい大将、この荷を降ろしても良いのか。」


 確認作業をしていると組長が声を掛けてきた。


「え、ええ、お願いします。」


 そう答えると組長は部下と言うか手下の人たちに「野郎ども仕事だ」とか声を掛けて木材を降ろさせていく。

 俺は積んであった縄を見つけると、だいたい10m位の長さになるように縄を切っていく。

 切った縄は両端をくくって解けないようにした。

 そんな縄が6本と、長さ40mで両端と中間に輪を作った縄を1本作った。

 そして、作った縄を持って再び梯子を下りていった。

 梯子の下では漁民の人達が船をフックにつなげて待っていてくれた。


「今日はよろしくお願いします。

 まずですね。大きい2艘の船をそれぞれ1艘ずつで引っ張れるようにこの縄でつなげて下さい。

 それから、ひかれる大きい船にこの縄をそれぞれ2本乗せておいて下さい。

 あ、漕ぎ手の人は2人共引っ張る方の船に乗って下さいね」


 そう言って10mに切った縄を渡す。


「で、この長い縄は、余ったもう一艘の船に乗せてください」


 こんどは40mの長い縄を渡した。

 漁民の人達が了解してくれて船をつなげる作業を始めてくれたので、また、岸壁の上にあがる。

 岸壁の上では馬車の荷物を降ろす作業が進んでいた。


「荷物を降ろすのに後どれ位掛かりますか?」


 両手を組んで作業を指揮している組長にそう質問をした。


「重い物が多いからな。午前中いっぱいは掛かるんじゃないか」

「そんなにですか。それは困った。唐助さん、人夫の人後4人追加で良いですか?」

「ええ、もちろん良いですよ。組長お願いします」


 横で作業を見ていた唐助さんにお願いすると、唐助さんは快諾してくれてそのまま組長に頼む。

 組長は「よし、任せとけ」と言い残して、西の岸壁で荷降ろしの作業をしていた船に向かって走って行った。

 そして直ぐに4人の怖そうな男の人を連れて戻ってくる。


「連れて来たぜ」


 となぜが俺を囲んでそう言う。ってか、顔が近すぎます。


「えっと、それでは、馬車から荷を降ろしている人達は、作業が終わったら、大工さん達の作業がしやすいように木材の移動などをお願いします。

 後の4人の人はついて来てください」


 そう言って梯子を下りようとして唐助さんに止められた。


「っちょっと、颯太さん。何処に行くんですか?」

「あの崖の所ですが何か?」

「私もついて行った方が良いですよね…その船に乗って…」


 と最後の方はかなり小さな声で聞き取りにくくなる唐助さん。


「いえ、別に良いですよここにいて貰って。忙しい様なら、別に役所に戻って貰っても構いませんし」

「役所に戻るなんてとんでもない。今私は、颯太さん専属ですので拡張工事が完了するまでここにいますよ」

「じゃあ、ここにいてください。組長や棟梁もいますから、何か問題が起こった時にはよろしくお願いします」

「わかりました。お任せ下さい」


 なぜか、ここにいてくれと言うと元気になった唐助さん。その理由は船に乗って気が付いた。

 そうか、もしかして唐助さん、船に弱いのかも。


 梯子を下りると、船の連結作業は終わっていたので、新しく来てもらった人夫の人達を乗せてさっそく出発する。

 配乗は、大きな船にそれぞれ人夫さん2人、大きな船を引く船に漁民の人2人、そして残りの船に俺と漁民の人だ。

 漁民の人達は櫂ではなくオールで船を進めていく。

 大きな船を引っ張っている人達は、2人で息もぴったりにオールを漕いでいく。

 櫂でどうやって船を引っ張ろうと思っていただけに、うれしい誤算だ。

 しかし、やっぱりこの世界、結構和風な要素が強いのに、妙なところで洋風が入っている。

 今だって、乗っている船は明らかに和風な作りなのにオールって。

 大型帆船も大航海時代のヨーロッパ調なのに、旧港の方に出入りしている中小型船は和風な作りの物の方が多い。


 そんなことを考えていると目的地に着いた。

 湾の西側、ちょうど崖と砂浜の境目の所だ。砂浜に乗り上げて止まった船から砂浜に飛び降りる。

 人夫さんと漁民の人達も船から降りて来たがとりあえずその場で待ってもらって1人崖に近づいていく。

 崖の側まで行って、崖に手を掛けると崖は結構固い岩で出来ているのが分かった。

 崖に手を付けたままま魔力を崖に送り込む。

 崖の一部が小さくえぐれて目の前に直径50㎝長さ15m程の固い石で出来た円柱が出来上がった。

 円柱はそのまま手前に倒れてきて砂浜に倒れ込む。


 砂浜に転がった円柱を人夫さん達に転がして船の近くに運ぶように頼む。

 そのまま同じような円柱を20本作る。砂浜に20本の石柱が並んだ。

 石柱作りをいったん止めると、その内の1本を砂浜に対して直角になる向きで全体が水の中に沈む位置に移動させる。

 そしてその上に大きい船を持って来る。

 次に船の舳先に縄の端を括り付ける。反対の端は石柱の下を通してから再び舳先に今度は直ぐに解けるように括る。

 石柱の下が砂なので縄を通すのは簡単だ。

 同じ事を船尾でもすると、石柱は船の下でU字に縄で吊られる様な格好になる。


 もう1組の船にも同じことをするように人夫さんにお願いして、俺はつながっていない船に乗り込む。

 そして、石柱を吊った船を引っ張るように漁民の人にお願いする。

 石柱を吊った船につながっている船に乗っている漁民の2人は懸命にオールを動かして引こうとするが、初めは全く動かなかった。

 途中で人夫さん達が石柱を海に向かって押しくれ、ようやく船は動き出した。

 砂浜から離れだした石柱を吊った船は、石柱が砂から離れるにしたがってだんだん沈んでいき、今にも沈みそうになったが、何とか石柱をすべて浮かす事に成功した。

 石柱を吊った船が何とか浜から離れて西の岸壁に向かうのを見て人夫さん達は再び残ったもう1艘の船に石柱を取り付ける作業を始めた。


 石柱を吊った船よりも一足先に岸壁に戻ると、さっき作った梯子と岸壁端の中心をまたもや両手を広げて測定し、そこに目印のフックを作る。

 次に長さ40mで両端と中間に輪を作った縄を2回折って10mを測定し、その部分にもフックを付ける。

 そしてそのフックに先ほどの縄の片端を掛けて岸壁から20mの位置を測定する。

 目視のため限界があるが出来るだけ岸壁と直角に20m離れた位置に来ると、石柱を吊った船を待つ。


 しばらくして石柱を吊った船が到着すると舳先がちょうど岸壁から20m地点に到着したところで船尾の縄を解いた。

 石柱は船尾の支えを失った為、舳先を支点に船尾側を海底に向けて沈めていく。

 すると舳先より先に出ていた石柱の端の部分が海上にせり出してきた。

そして、せり出してきた石柱が直角になった時点で今度はそのまま立った状態で沈み始める。

 しばらくして石柱の底が海底に着き、少し潜って止まった。


 今度は海の上に直立した石柱に魔力を流して石柱を海底に固定すると同時に海上に出ている部分が岸壁と同じ高さになるように調整した。

 石柱の固定が終わると、石柱と船を結んでいた舳の縄も解いて、また石柱を運んで来てくれる様に頼む。


 次は西側岸壁の中心から10mの位置に作ったフックと中心を挟んで反対側にフックを作る。

 初めに立てた石柱にもフックを作ると、長さ40mで両端と中間に輪を作った縄の両端をそれぞれのフックに掛けた。

 掛けた縄の中間の輪を引っ張った地点に、次に運ばれてきた石柱を立てる。

 これで1辺が20mの正方形の頂点にそれぞれ石柱を立てられたはずだ。

 まあ、正方形ではなく多少いびつな菱形になっているとは思うが、まあ仕方がない。

 その後も長さ40mで両端と中間に輪を作った縄などを駆使して20m間隔で2列の石柱を10組、岸壁から沖に向けて立てて行った。


 昼休憩にちょうど良い時間に20本すべて立て終わったので、休憩にすることにした。

 岸壁では大工さん達がかなりの量の木材を加工し終わっていて、今日午後の作業分はすでに出来上がっていたので、こちらにも昼休憩の事を伝えた。

 因みに休憩時間は1時間。

 これまでのジジカ村での生活でこちらの1日は24時間であることが分かっていた。

 1時間は多分地球にいた時と同じように感じるが、計る手だてがないのでわからない。

 1時間が60分というのもおなじだった。


 唐助さんおすすめの定食屋で昼食をご馳走になって、岸壁でしばらく雑談していると、皆ちゃんと時間前に戻って来た。

 腕時計等ないのにさすがである。

 俺が時間が分かるのは、唐助さんがでかい懐中時計を持っていたからなのだが。



 昼休憩が終わると、今度は岸壁で組み立て作業を行う。

 この作業には船は使わないので漁民の人達には帰って貰った。

明日も1艘出してくれれば良いと言ってある。

 組み立て作業は想像よりも簡単にできた。

重い木材も軽々持ってくれる人夫さんが8人もいるし、大工さんは正確に木材を加工していてくれたので、手直しなしで組み立てられたからだ。

 組みあがったのは、高さ5m程もあるやぐらである。

 その櫓の土台には鉄製の軸に木製の車輪がついていた。

 櫓の頂上には太い木材が乗せられていて、前側に10m伸びている。

 後ろ側には3mほど伸びていて、そこに1辺が2m厚さ50㎜位の石板が5枚括り付けられている。

 そう、可動式のクレーンを作成したのだ。

 クレーンの先端には滑車を取り付けてある。

 重たい木材を吊るために見かけの倍力を4倍にしたかったので、ロープが2本通る滑車を2つ要求した。

 しかし2本掛けの滑車はないと言われたので、とりあえず、滑車を4つ頼んでおいた。

 そして、この場で大工さんの道具を借りて二つの滑車をつなげた。

 と言っても、かすがいを4本ずつ打ち込んだだけだが。


 動滑車に2本のロープを通すように滑車を配置して、さっそく試しに太さ200㎜角、長さ20mの木材を持ち上げてみる。

 人夫さん4人で楽々持ち上がったので成功だ。

 そのまま、木材を移動させて、岸壁から一番近い石柱と岸壁に架ける。


 その後、あらかじめ大工さんに開けておいてもらった穴に、用意しておいた拳よりも少し大きい石を押し当てて魔力を流し込めば、石は木材に開いた穴に溶け込んでいき、その下の岸壁と石柱にくっついて一体化。木材を固定する事に成功した。

 もっとも、石柱側を固定する際、幅200㎜の木材の上を渡って行くのには、正直怖さを感じたが…。


 とりあえず、1本架けた所で日没間近になったので、作業は終了。明日へと持ち越した。

 宿に帰って夕食をとる際に、唐助さんから延々と「凄い技術をお持ちだ」とか、「よくそんな発想ができますね、尊敬します。」とか目を輝かせながら喋りまくられ、今日一番疲れた作業になったのは余談である。



 次の日は朝から石柱の上に木材を架ける作業の続きを行う。

 左右2本の木材を架けるとその間に厚さ50㎜の板を横向きに敷き詰めていく。

 板は大工さんが鉄の釘で固定してくれる。

さらにその上に厚さ10㎜の板を今度は縦向きに敷き詰めて強度を増す。

 もちろん石柱間にも、横向きに200㎜角の木材を入れておく。

 ここまで終わると、クレーンを出来上がった部分に進めて、さらに次の2本を石柱に架けるという作業をこなしていった。

 多くの重たい木材の移動という事で、結構な時間ととられてしまい、作業は昼過ぎにようやく最後の石柱の所まで行った。


 昼休憩後、桟橋と船とがぶつかる事による損傷を防ぐための防舷材の設置を行う。

 防舷材と言っても、普通より少し柔らかい100㎜角の木材を石柱の側面に付けるだけだ。

 これは大工さんが5寸釘のような大きな釘を防舷材上部と、船に乗って水際の良い位置に打ち付けるだけで終わる。

 あまり頑丈につけると防舷材が損傷した時に交換が大変なので、ある程度時間がたてば落下する事を承知の上で簡単に設置した。

 そして最後に、石柱の上に両手で何とか抱えられる位の石をおいて、魔法で石柱が木材を貫いている四角い部分と固定。

 石柱と一体化させ、さらに形もキノコの様な頭の部分が大きい円柱形にする。

 これはビットといって船のもやい綱をこの部分に括り付け、船と桟橋を固定するためのものだ。

 こうして、作業開始から2日で長さ200mの桟橋を完成させる事に成功した。



 その後2日で東側にも同じ桟橋を作成し、2本の桟橋が完成したその夜、俺は慰労会と言う名の晩さん会に招待された。

 場所は男爵様の館で、男爵様の主催だそうだ。

 晩さん会では、男爵様も出席されて色々とお話をさせて貰った。

 まあ、大半は俺の事を聞かれただけだったが、まさか異世界から来たとは言えないので、以前ドクトルさんの所で考えた『魔法の実験中に暴発して遠い所からここまで飛ばされた』という事で茶を濁した。

 また、この4日間で仲良くなった大工の河合衆棟梁や人夫の『は組』組長と先を争って、立食パーティ形式で出される料理を堪能したりと、かなり楽しいひと時をすごした。

 そして、晩さん会の最後に男爵様から直接恩賞の金貨100枚が入った皮袋を頂いた。

 その日は男爵様の館でこれまで(元の世界でも)使ったことの無いような豪華な部屋の豪華でフカフカ過ぎるベットで1晩ぐっすりと寝させてもらった。



 そして次の日、男爵様の用意してくれた馬車で村に戻った。もちろん唐助さんに見送られながら。


 因みに、クレーンはそのまま港において、船からの積み荷の積み下ろしなどに使って貰うつもりだった。

 しかし、上部に旋回機能がついてないので、結局は船に積み荷を積み降ろしするのではなく、船の積み荷を馬車から積み降ろしするのや、重い荷物の移動に使われているそうだ。

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