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猟銃
オサムオサナイは、
「みんなで必死に祈ろう。レイを助けるんだ!」
とみんなにメールを送った。
王宮ではこう着状態が続く。狂った皇太子は絶対にレイと
視線をあわせようとしない。充分にその鋭いまなざしを
感じているはずなのに。
銃口を向けられた時の恐怖は経験したものでしか分からない。
レイはナムストーンをしっかりと握り締めて必死で念じながら
皇太子の瞳をうかがう。
視線が合ったときが最後の一瞬だと本能が感じ取っている。
そしてついに視線が合った。
4mほどの先で銃口を向けられ視線が合ってしまった。
実に悲しい瞳だ。あまりの悲しみのゆえにその瞳の奥は
黒さを通り越してぶきみに鈍く輝いていた。
『ナムストーン!』
心で叫んだその瞬間、皇太子は猟銃を床に落として
短銃をすばやく自分のこめかみにやるや、
引き金を引いていた。