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皇太子

どうも結婚問題で両親ともめていたらしい。

次期王となるべきこの皇太子は数年前に日本に来たことがある。

恰幅のいい柔和でハンサムな青年だった。


親の決めた王族との結婚式が迫っていて、すでに子供までいる

平民との婚姻は認められなかったのだ。王族ゆえの

世代の葛藤が悲劇を生んだ。


現代でも不条理はどこにでも転がっている。

ついこの間、アラブの皇女が斬首された。ヨーロッパ留学中に

他宗教の青年と恋に落ちたからだ。そしてこの事件。


実はこのときレイは3人の従姉妹を両手でしっかりと包みおじ夫婦

の脇にいた。年老いたおじは顔面蒼白で口元がぴくぴくと震え続けている。


おばは目を閉じて天を仰いだままピクリとも動かない。

皆立ったまま流しを背にして大型冷蔵庫の隅に

6人身を寄せて息を止めている。


皇太子は入り口をテーブルでふさいで小さな窓枠越しに、

時々人質に目をやりながら外のスピーカーに耳を傾けている。

殺気立って落ち着かない。こう着状態が続く。


皇太子は銃口をこちらに向けたりあちらに向けたり。

手元はかなり震えている。レイはしっかりと石を握り締め

ナムストーンと心で強く念じ続けた。


その瞳はじっと皇太子の顔面を捉えて放さない。

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