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レイ シッキム -4
夕食の時間だ。兄と姉は今留学で海外にいる。
父は議会に出ているので、半身不随の祖父と
元気な祖母。病気がちであまり外には
出たがらない母との4人での食事である。
レイは石のことが気になってボーっとしながら食べている。
右ポケットには確かに石が存在している。
早く部屋に戻りたいと思ったそのときに祖母が、
「今日買った腕輪はどうしたの?」
専門店であつらえてもらった高級品のことだ。
「とても素敵なのでお部屋に飾ってあるわ」
レイがそういうと祖母は
「あ、そう」
といって兄さんたちの便りの話になった。
今がチャンス。
「ごちそうさま。歩き疲れたから部屋で休むわ」
と言って部屋に駆け上がった。
なんて不思議な石だろう私の気持ちのとおりに反応する。
レイはそっと石をシルクのハンカチの上において語りかけた。
「石さん石さん、どこから来たの?」
石は薄い黄緑色のままだ。
「ねえ教えて、あなたのことが知りたいの」
石の色が水色に変化し始めた。
そのままレイは眠り込んでしまった。