第一章 2話 大好きな、大好きな。
「なっ」
カキン、という音とともに、後方の敵が撃った弾と隊長が撃ったのであろう弾ぶつかった。
その瞬間、一方の弾ははじかれ、もう一方がパカっと開いた。
「ぐあぁぁぁっ」
残ったのはもちろん隊長のもので、無事に効果が発動され、昼間かと思うほどの光が放たれた。
(…なんて人だ。)
そう思いつつ、敵が目を閉じている一瞬の隙を見逃さずに引き金を引いた。
〈ユーカ視点〉
(ふぅ…)
無事に効果が発動したこと、敵を一掃したことを確かめ、ユーカは30分ほどぶりにスコープから目を離す。
『すみません…油断しました』
「私がいてよかったね。ーこれからは、こういうことがないように」
『はい…すみませんでした』
「ーとはいえ、実験する機会も作ってくれたし。動きも悪くなかったよ」
『ー、ありがとうございます』
「うん、おつかれ」
通信機を切り、入れ違いにプライベートの用のスマホを取り出す。
任務終わった。今から帰る
即既読マークがつき、返信が返ってくる。
私も今日は早く終わりそう。ユーカって23番地だ
よね?
うん
じゃあ私のほうが早く着くかも!ご飯作っておく
ね
ありがとう、と打ってから階段を降り、人気のない路地を歩く。
いつのまにかにわか雨が降っていることに気づき、耳をすます。
静かでうるさい、この均一な音がユーカは好きだった。
このことを聞いたら、「じゃあ踊ろう!」とマイは言いそうだけど。
アパートの外の階段を登り、顔認証で部屋に入る。
「ただいま」
「おかえり、ユーカ…って、また濡れてる…!」
キッチンからドタバタと走ってくる音が響く。
「あ…ごめん」
任務が始まってからフードを被り直すのを忘れていた、と今更ながらに気づく。
「はい、タオル。風邪ひいちゃうから、早くふいてね?もう少しでご飯できるから!」
「あ、ありがとう」
受け取ったタオルを、パサっと自分の頭にかける。
自分の頭をわしゃわしゃとふきながら、くんくんと匂いを嗅ぐ。
今日は、ハンバーグだ。
そう確信した瞬間、パアァァァァと目の前が輝いて見えた。
ジュ〜という焼き音、抑えきれていないトマトの芳醇な香り。
これこそが、ハンバーグ。
カチッとコンロの火が消される音がする。
「ユーカ、ご飯…」
二つの皿を持ちながら目の前を横切るマイから、目が離せない。
その瞬間、マイが笑い出した。
「あはははっ、目こっち向きすぎ!一応狙ってやったことだけど、そんなに喜んでもらえるとは思わなかったなぁ」
「いや、だって…マイのハンバーグは久しぶりだし…。」
「ふふっ、はいはい、ありがとう。…食べよっか!」
「うん」
マイに促されるまま、椅子に座る。
「「いただきます。」」
2話目を出させていただきました!
温かい目で見ていただけると嬉しいです…!




