第一章 1話 油断は禁物なのだから。
(あらすじをご覧ください)
『ー…』
1人雨の中、建物の屋上で長い銃口を向ける。
それが、私の仕事だ。
『…隊長』
「あぁ…ごめん、なんか言ってた?」
『こちら、現地に到着しました。標的の姿も確認できています』
「わかった。タイミングは合わせる」
『ありがとうございます』
ピッと声が途切れた後、今度はまた違う機械が鳴る。
『ユーカさん、任務中失礼します』
「…何?」
遥か遠くを見つめながら、体は微動だにさせずに耳だけ傾ける。
『伝言です。今回〝実験〟として使われる弾ですが…天候によってはコンマ数秒起動が遅くなるとのこと』
「…なるほどね。それって伝え忘れ?」
『様子的には、今わかったことかと。…すみません、よく指導しておきます』
「あー…まぁいいよ。試作段階で欲しいって言ったのは私だし。なんとかするから」
『ーわかりました。失礼します』
ふぅ、と短いため息を吐き、〝ユーカ〟は部下の様子を見守る。
『隊長、行きます』
「うん」
打ち合わせの際では着弾後3秒後に起動、という話だったがズレがあるとすると、またもう一度考え直さなければならない。
(ーさて、どうするか。)
ユーカはフードを下ろした。
〈部下視点〉
「誰だ!?…ガハッ」
1人、2人、と1発ずつ丁寧に弾を当てていく。
構成員となってから5年、命を失うことへの怖さは無いものの、いつも緊張というものは付き纏ってくるものだ。
しかし、今日は特段に体が軽い。
これが〝安心感〟
幹部の方と共闘できるという、喜び。
それを心の中で感じつつも、素早い動きで着実に敵を仕留めていく。
「ぐあぁぁっ」
最後の1人が倒れたのを確認し、通信機に手を当てる。
「こちら、一掃完了いたしました」
『…………』
相手からの返答はない。
もともと大人しい方だという話は聞いていたため、特段何も感じずに通信機を閉じる。
(あとで何故〝実験〟をしなかったのか聞いてみよう)
そう思い、帰ろうとした瞬間。
ヒュルルルルルルルルル
「!?」
〝銃弾とは思えない、高音の機械音〟、それが新型の音だ、と隊長は言っていた。
これが何を意味するか。
急いで特殊なサングラスをつけ、後ろを振り返った。
初投稿です。
完全な初心者なので、温かい目で見ていただけると嬉しいです。
更新頻度は未定ですが、ゆったり少しずつやっていこうと思っています、時間があったら読みにきてくださると嬉しいです