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第二章、なぜ二人は成功したのか?

私はこれまでに成功を手にした、数々のビジネスマンたちを実際に見てきましたが、彼らには共通する点があります。それは、市場を的確に分析し、未来を予測する能力に長けていることです。ここで紹介した、ビルゲイツをはじめ、ニューセンチュリーファイナンシャルに勤めていた私の友人、そして、リーマンブラザーズの破綻を見事に予見したマイケルバーリーは、まさにその能力によって現在の地位を獲得したのです。ニューセンチュリーファイナンシャルに勤めていた私の友人は、リーマンブラザーズが破綻する前に退職し、現在、運用資産残高2000億円を超える、グローバル企業の代表取締役を勤めています。


では、どうすれば、彼らのように市場を的確に予見することができるのでしょうか?


まず、彼らは一般のビジネスマンと比べ遥かに情報感知能力が高いということです。成功者は皆、一般人が見逃す一次情報、一次データを収集しています。マイケルバーリーは住宅ローンデフォルト率の「生データ」を読み込み、ビルゲイツは技術書、論文、社内報告書などを誰よりも早くそして深く読んでいます。


メディア学(Media Theory)とは、テレビ、新聞、ラジオ、インターネットなどの幅広いメディア現象を研究する学問分野です。ジャーナリズム論(Journalism Studies)とは、そのメディア学の中のサブジャンルです。具体的には、報道、メディア、記者の役割や倫理、社会的影響などを学びます。ほかには、コミュニケーション論、マスコミュニケーション、メディア技術論などがあります。


ジャーナリズム論における一次情報とは、記者が直接現地に足を運び、当事者への聞き取りや観察を行い、さらに原資料にあたることで得られる情報の事です。一次情報は他者の編集や解釈が加わっておらず、また、加工もされていない情報ということになります。それに対して、二次情報とは、報道機関や記者、専門家などによってまとめられた記事や解説、あるいは編集、要約、分析を経た情報であり、取材者自身が直接現地に赴いたり、当事者に聞き取りを行ったりして得た情報ではありません。


つまり、私たちが普段得ている情報のそのほとんどは二次情報によるものなのです。


新聞やニュースサイト、SNSやソーシャルメディアなどから得られるのは、あくまで、二次情報であり、一次情報ではないのです。


ビルゲイツは大量の論文や政府の技術戦略文書、大学の研究報告などを読んでいましたが、これらは全て、一次情報にあたります。一見すると二次情報に見えるかもしれませんが、学術論文などは、学者、研究者が行った実験、調査の結果を直接的に記述したものです。そこには、実験のデータや方法、結論などが、そのまま記録されているため、明確な一次情報となるのです。また、政府が公式に作成した元資料も同じく一次情報にあたります。


私がワイアードに掲載した、ソニー躍進のレポートを読んだことをきっかけに、ビルゲイツはXboxの開発に着手することになりましたが、その文書も一次情報にあたるということです。


また、ゲイツは開発者やメーカーなどの市場の声を直接聞き、現場のニーズを拾い上げて戦略に生かしていました。


マイケルバーリーの場合も同じです。彼は、住宅バブル崩壊前、他の投資家が誰も注目していなかった「住宅ローン債権の生データ」(モーゲージ債のデフォルト率、信用格付けの根拠)を読み解いていました。


ビルゲイツもマイケルバーリーも、一次情報にアクセスし、それを「自分の頭で解釈する力」を持っていたからこそ、時代や市場の動きを正確に予見できたのです。


次に言えることは、一般人とは異なった大胆な「逆張りの発想」で成功を手にしたことです。マイケルバーリーは、みんなが買ってるときに売り、みんなが安心しているときに、リスクを見ていました。群衆心理に流されず、多数派と違うポジションをあえて取る勇気がありました。


群衆心理とは、多くの人が「みんながやっているから」という理由で、同じ行動を取ってしまう心理現象のことです。


多くの人は、株価が上がると買い、SNSなどでバズるとその商品を買うことがあります。安心感や同調圧力、不安の回避などが動機になっているのです。


逆張りとは、群衆と逆の行動を意識的に取ることを指します。大多数が信じていることに対して、あえて異なる見方や行動をするのです。これは、先程とはことなり、合理的な独立した判断や懐疑主義、独自性が動機となります。


ゲイツやバーリーはこのように群衆の「思考停止状態」を逆手に取り、逆張りすることで、成功を手にしたのです。大切なことは、──それは、本当に正しいのだろうか?と自ら問い続けることが重要なのです。また、独自の判断基準を持つことも重要です。成功者は、自分だけの分析ロジックを持っています。バーリーは財務諸表から市場のバブルを見抜きました。ゲイツは「ソフトウェアが主役になる時代が来る」と確信し、OSとインターフェースに集中しました。こうした、他人のモデルではなく、自分の信じられるものさしを持つことが成功の鍵になったのです。


ビルゲイツは、自分の考えを常にノートに書き出し、構造化して考える習慣がありました。彼の特徴は次のような点です。シンクウィーク(Think Week)という1週間の思考週間を毎年持ち、誰にも邪魔されずに読み、書き、考えるという時間を設けていました。メモやドキュメントに自分の考えを書き出し、それを元に意思決定をしているのです。つまり、脳内で考えるだけでなく、同時にアウトプットもしていることになります。


マイケルバーリーもまた、金融に関する独自のブログを通じてアイデアを発信したり、投資先やファンド関係者に詳細な手紙やレポートを送り、自分の戦略や信念などを説明していました。それらのアウトプットは、彼自身の分析をより精緻にする機会になっていたのです。彼にとっては、アウトプットは「伝えるため」だけでなく、「自分を確認するため」の手段でもあったのです。


このように、ゲイツやバリーなどの成功者は、思考をアウトプットすることで自分の考えを「客観視」し、自身を見つめ直すことを習慣にしています。


もしアウトプットという行為がなければ、画期的なアイデアもただの「思いつき」で終わっていたかもしれません。


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