第57話 山越え
ダダリの戦闘領民たちは、塩戦争のときより格段にレベルアップしている。
まず、大工にリフォームさせていた戦闘関連施設がランクアップしていた。
訓練所は『訓練所(中)』へ。
魔法研究所は『魔法研究所(中)』へ。
祠(中)は『祠(上)』へ。
施設をランクアップさせるとより他の施設が解放されたり、対応するジョブを持つ領民のレベルUPスピードがあがる。
領内施設は成長の基礎なので、引き続き大工にリフォームを指示しておいた。
で、肝心な現状戦力について。
・剣士 17人
・槍戦士 15人
・武道家 15人
・騎士(New!) 3人
・怪力 10人
・忍者 5人
・弓士 15人
・魔法使い 20人
・回復術士(New!)3人
まず上から物理攻撃系ジョブが50名いる。
物理攻撃系のジョブとは狩人から進化する『剣士』『槍戦士』『武道家』の三種だ。
ちなみに一人が転職を繰り返しこれら三つ全てをレベル8まで上げると上級ジョブ『騎士』が解放される。
ので、例えば剣士でレベル8までいったヤツがいたら、そいつを次に槍戦士に転職させてまたレベルをあげて、その次は武道家に転職……というふうに『騎士』をめざすように育てていたんだ。
もちろんこの育成期間にも戦いはあるので、経験させるジョブの順序はバランスよく散らしてたんだけどな。
そして、三つのジョブをレベル8にまで上げた成長の早い者がすでに3人いた。
つまり現状、騎士は3名。(ちなみに弟のラムがそのうちの一人である)
残りの47名が剣士か槍戦士か武道家を経験中って感じだな。
まあ、まだ『馬屋と乗馬施設』を建設できないので馬に乗らせることはできないのだけれど、騎士は総合的な戦闘力そのものが高いので頼りになるはずだ。
その他、狩人から進化する特殊ジョブに『怪力』『忍者』『弓士』がある。
怪力は力は強いがスピードが遅いので攻撃というよりは前線で敵の攻撃を受け止めたり、岩や木を持ち上げて道を作ったり、敵の施設や城壁を破壊したりするジョブだ。
10名ほどがこの怪力のジョブを持っていて、当初から怪力として戦いに加わっていたゴーグルはレベル24に達していた。
忍者は盗賊からの進化ジョブで、戦場では斥候の役目を担っている。
一番最初に忍者へ進化したリッキーを中心に普段からも諜報活動で活躍していた。
弓士は名前の通り弓矢で遠距離攻撃をするジョブ。
弓矢は現状でも強いし、この先に進化系があるから徐々に増やしているところ。
そして、魔法系。
魔法使いは20名、攻撃魔法を使う。
薬師から占い師、占い師から魔法使いへと進化するジョブで、育てるのに施設の進化が必須だったりして大変なんだけど強力なのは間違いなし。
今は弟のヨルを中心に炎系と風系の魔法を使う者が多い。
新しく増えたジョブとして回復術士が3名いる。
回復術士は回復魔法を使うのだけれど、魔法使いとは育て方が違う。
まず薬師から始めるのは同じだが、その後に霊媒師から神官へと進化する。
神官まで進化させて、なおかつ祠が(上)にまでいってやっと『回復術士』のジョブが解放となるので、魔法使いよりさらに育てるのが難しいんだよね。
回復についてはまだまだ薬草に頼らざるを得ないけど、薬草は荒地を開拓した畑でかなり育てているのでオーク攻めで受けるダメージくらいなら十分回復していけそうだ。
以上、103名。
部隊を庭に集めると、一人一人装備を確認し、アイテムを持たせていく。
「ごめんねー、アルト。あたし行けなくて……」
そんな様を家族が見ていて、ふいにノンナがしょんぼりと声をかけてくる。
「気にすんな。そんなことより安静にしてろよ?」
「……うん!」
そう言ってやさしくお腹をなでてやるとノンナは笑顔で返事した。
そう。
彼女は妊娠していたのである。
まだ15歳の村娘ながら発育がよいのできっと元気な赤ちゃんを産んでくれるだろう。
まあ、それがなくてもお嫁にした女を戦場へ連れていくつもりはないんだけどね。
リリアもナディアも早く赤ちゃんを産みたいってせがんでくるしな。
まあ、できるかできないか……そればっかりは運だけどね。
「じゃあ行ってくる」
こうして、俺は103名の隊を連れて館を出た。
領地の道を列を作って歩き、鉱山の方へ行くと、ダンジョンの入口まで案内する。
「いいか! 迷うと厄介だからな! ちゃんと俺について来るんだぞ」
そう指示すると、俺はこの大人数を連れてダンジョン地下1Fへ降りていった。
しーん……
魔物の出現するダンジョンに大人数で入るのは危険だ。
だが、すでにボスは倒れているので魔物は出ず、静まり返っていた。
そしてマッピングもしてあるから階段の場所もわかっている。
これだけの人数でも地下8Fまでは半日とかからず降りることができ、長い階段を上がると鉱山の反対側に出ることができた。
ハンニバルとまではいかないが、けっこう斬新な山越えだろ?
「全員ついてきたか?」
「問題ないでやんす」
とリッキー。
そして、マギル族の集落へと連れていくと、別視点の俺(本体)からも部隊が見えてきた。




