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第47話 結婚式Ⅱ


「まあ! なんて可憐なお姿でございましょう!」


 女王は目をキラキラ輝かせながら、ウェディングドレスに着せ替えられた俺を抱き締めた。


 身体にふれるレエスやフリルがそわそわする。


 そんな俺と女王をほほえましく(?)眺めるメイドが尋ねた。


「アルト様、着心地はいかがですか?」


「脚がスースーするよ……」


 スカートの中でおのずと太ももがモジモジする。


 女物のウェディング・パンティを強制されているせいでポジショニングが悪い。


「あら、いかがなさって? 顔が真っ赤ですわ」


「恥ずかしいんですよ!」


「そんなことを言って本当は嬉しいのですわ。ほらッ!」


「きゃあッ!!」


 女王は俺のドレスのスカートをぺろんとめくりあげた。


「おほー♡ カワイイお尻ですわぁ♡ 純白のパンティにガーターベルトまでしちゃって」


「くッ……あんたのせいだろうが!」


「あら? まだご自分の状況というものがおわかりでないようですわね。アン、やっておしまい」


「……かしこまり」


 今度はメイドの方がスカートの前面をめくりあげてくる。


「前面はよせッ!」


「スキありですわ」


 なんとか股間を抑えて阻止するが、するとまた背後からお尻側のスカートをめくってくる女王。


 前を抑えると後ろ、後ろを抑えると前。


 女王とメイドのふたりで寄ってたかってスカートをめくってくるからどうしてもパンツを見られてしまう。


「マジよせって……(汗)」


「おーほっほっほっほ! 楽しい、楽しいですわぁ!」


 くそ……


 女王の権力を嵩になんという横暴だろうか。


「失礼します」


 その時、客間のドアが開き、時が一瞬止まった。


 入ってきたのはナディアである。


 よかった、助けてくれえ。


「陛下。ようこそいらっしゃいまし……え?」


 凛々しい女騎士が首をかしげてこちらを見ている。


「……アルト。楽しそうだな」


「どこがそう見えるんだよ!」


 俺はため息をついて女王へ振り返る。


「女王様。ナディアも来たことだし勘弁してください。もう十分でしょう」


「そうですわね。もう満足ですわ……」


 やれやれ、やっと終わるか。


「……このドレスは」


「へ?」


「アン、次のドレスを用意なさい」


 女王が命じると、メイドは別の衣装ケースからもう一着ドレスを出した。


「このドレスにはこちらのパンティをお召しください。同じく純白ですが、銀糸で花の刺繍がしてあって……」


「ま、待て待て! 一体何着用意してあるんですか!」


「アン、何着でしたっけ?」


「……10着でございます」


 一瞬、気が遠くなる。


「ご安心くださいませ。密かに調べておいたアルト様のサイズに合わせ、すべてぴったりにあつらえておりますのよ? さあ、お召しかえを♪」


 そう言って女王は再び俺を裸にしていった。



 ◇



「やれやれ、昨日はひどい目に合った……」


 翌日、俺は神木の前に設置された席でげっそりとしていた。


「アルト。元気なさそうだけど、大丈夫?」


 ふんどし少女のよめリリアが心配して来てくれる。


「ああ、大丈夫だよ。心配かけて悪い」


「んーん。タキシード姿、カッコイイわね」


「そう?」


「ええ。男らしくて素敵よ」


 リリアは微笑んで、ふんどしのお尻をぷりっと向けて去っていった。


 ふんどしか……


 ふと、あの少女王の尻へ強制的にふんどしを締めて辱めるイメージが頭に浮かぶ。


「いかんいかん」


 昨日の仕返しとしてもマジでそんなことしたら不敬すぎるか。


 そんなふうに頭をブンブン振った時。


 わあ……!


 村人たちのため息にも似た歓声があがった。


 おふくろに連れられ、花嫁が神木の前にあらわれたのである。


「ナディア……」


「むっ、そんなにジロジロ見るな。恥ずかしい」


 ウェディングドレスの女騎士は少し顔を赤らめながらうつむく。


 天気は快晴。


 真っ青な空の下に花嫁衣裳だけが白く映え、陽の光が長く美しい金髪ブロンド幻想的ファンタジックに照らしている。


「さ、アルト。神木へ向かって愛を誓いな!」


 おふくろの言葉で式が始まった。


 この土地の結婚式とは、神木の前で愛を誓うという儀式のこと。


 出席者はその証人だ。


 俺は神の前であるからギリギリ許されるような歯の浮くような愛の言葉を述べていく。


 ちょー恥ずいけどな。


 そして誓いの言葉が終わると、新郎は花嫁へ口づけすることになっている。


「アルト……」


 かつての勇ましい全身鎧の女騎士を思い返すと、目の前の美しい花嫁が夢のはすのごとく思われた。


 鉄仮面の代わりに白いレエスのベールが、籠手こての代わりにウェディング・グローブが、彼女の“女らしさ”を100%引き出している。


「ナディア、こっちむけ」


「う、うむ……」


 俺が肩を抱き顔を近づけると、ナディアは恥ずかしさをごまかすように少し冗談めかそうとしてこうたずねる。


「そう言えば、今日はウェディングドレスではないのか?」


「……ああ。花嫁衣裳は好きな女性ひとに着てもらう方がいいからな」


 そう答えて俺はナディアと唇を重ねた。



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